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「うーん、わからん!」
橘はわからんと言いながら、部屋を調べていた。
「リンちゃん、この謎はわかる?」
「…はぁ…もう帰りたい」
いや!謎解かなきゃ帰れないじゃん!と言っている橘に、返事を返さずにタバコの煙を吐き出した。
いや、本当に謎でもなんでもなくない?
こんなに簡単なの?
僕はそう思っていた。
クローゼットの中を見ていた橘が、
俺もいつかこんな服着てみたいな〜と取り出した。
「タキシード着たいんだ」
「なんかさ!カッコよくね!」
「そうだね。似合うんじゃない?」
「マジで?着てみていいかな?」
僕は返事を返さなかったが、ジャケットを羽織った橘がどうどう?似合ってる?と聞いてきた。
返事をせずにタバコの煙を吐き出す。
やっぱり、不味いな…
「あれ?なんか内ポケットに入ってる?」
ん?あれ!これ鍵じゃね!と橘は僕に見せてきた。
うん。そうだろうね。
「なんかわかんなかったけど、見つけたぜ!」
「先、行こっか…」
カチンと鍵をあけ、扉を開く。
扉の先は廊下になっていたので、歩いていく。
あぁ、香水の匂いがしなくなってきたな…
「なんかわかんないけど、謎解いてんな!」
「こんなの謎でもなんでもないけどね…」
栞ちゃん!待っててくれよ!と声をあげた橘の背中を見ながら、僕は考えていた。彼…可哀想だな。ここのホテルを準備し、部屋を用意し、謎を作る。結構なお金かけてんだろうなと思う。それなのに、一つも謎を解かれないまま先に進まれているって…
まぁ、謎という謎を作れていないからな…
そもそも簡単に見つかる場所に鍵を置くなよ…
歩いていくと扉があった。
そこにもカードが貼り付けてあった。
ベリッと剥がして見ると
しのかおりがした
おちたひとびとに
りゆうなどないが
ちのにおいがした
こう書かれてあった。
さっきからさ…死の香りとか血の匂いとか…
野蛮な人間たちとか…
そもそも、死の香りも血の匂いも知らんだろうに…
野蛮な人間たちって言うなら、
謎解きゲームとか持ちかけてくんなよ…
理由がないなら、そっとしといてくれよ…
僕はため息をついた。
「こいつは…何を伝えたいんだっ!」
もう橘のテンションについていけないよ…
僕だけ先に帰らせてくれないかな…
扉を開き、中を見る。
中は洋風な室内だった。
部屋の真ん中に大きなテーブルがあり、
合計8個の椅子があった。
ちょっと、モダンな感じがするな…
テーブルの上に紙が置いてあった。
日本を象徴する鳥
一本の長い刀を持つ男
左に回り続けている
だが、全て少し違う
紙にはそう書かれていた。
僕は部屋を見る。
壁には綺麗な風景画があり、本棚や大きな時計
他にも高そうなインテリアがある。
この部屋が明るいのは高そうな照明のおかげか…
「くそっ!今度はどういう謎なんだっ!」
橘さ…ちょっと、楽しんでない?
そう思ったが、部屋を調べている橘に
僕は何も言わなかった。




