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カラコロカラン
「あの…すいません」
「あれ?有村さんじゃないすか?どうしました?」
有村由美が入ってきたので、橘が話しかけた。
僕はタバコを吸いながら、軽く頭を下げた。
「あの…こちらから頼んでおいて、申し訳ないんですけど…旦那は…大智は不倫してませんでした」
「旦那さんから直接、聞かれたんですか?」
「はい…最近、前のように…その普通に帰ってくるようになったので、聞いてしまったんです。何か悩みがあったんじゃないかって帰りが遅くて心配してたって」
「そうですか…それで旦那さんは何て言われたんですか?」
「心配かけてごめんって、学生の時に仲の良かった三島優子さんって方の相談に乗っていたって…信じられないかもしれないけど、おかしな体験をしているみたいで…心配だったから色々と神社のお祓いとかそういう関係の人達を調べて教えていたそうです」
「そうだったんですね」
有村由美は安心した表情で話している。
「それで、この間三島さんに言われたそうです。相談できる相手が見つかったから、その方々に頼ってみるって…それで解決できるならよかったって話をしたと聞きました」
「そうですか…こちらでもお調べしましたが、不倫ではなくご相談に乗っているんじゃないかと思っていたところでした」
「そ、そうだったんですね…私って、その心配症で…」
「旦那さんもそれがわかっているから、心配をかけないように話されなかったのかもしれませんね」
「そ、そうかもしれません」
「旦那さんと直接話されて、不安が取り除かれたのなら、本当によかったです」
「はい。安心しました」
「また何かありましたら、いつでもご相談ください」
はい、ありがとうございましたと頭を下げてから
立ち去っていった
カラコロカラン
「うん!一件落着だぜ!」
橘は嬉しそうにしている
「あとは、三島さんの依頼だね」
僕がそう言うと、嫌そうな顔でわかってるよ!と
ソファにバタンと倒れ込んだ。
「俺さ〜幽霊とか苦手なんだよね〜」
「知ってる」
「だってさ〜めっちゃ怖くね?」
「橘は霊感ないだろ?多分」
「うーん。ないと思うけど…」
「なら大丈夫だろ」
それでも怖いもんは怖いだろ!と返事を返された。
今の時代までどれだけの年数が経っていると思っているんだろうか…人が死んでいない土地の方が少ないんじゃないか?と心の中で思ったが、怖がらせても可哀想なので、何も言わずにタバコの煙を天井へと吐き出した。




