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「私…呪われているんです」
「…呪われている…ですか」
三島優子は子供の頃、霊感があったらしい。
横断歩道を足のない人が歩いているのを見たり、
電信柱から地面を見続けている頭だけを見たり、
そういう不思議な体験をしていたようだ。
だが、二十歳を過ぎた頃からそういう体験もなくなり、
霊感もなくなったんだなと安心していたそうだが、
つい最近になって、友達に誘われて心霊スポットに行ってしまったらしい。本当は行きたくなかったが、断れない雰囲気で行ってしまいましたと話した。
橘は俺、こういうの話って苦手なんだよなと、
呟きながら聞いている
「その、すんません…それって何人で行ったんすか?」
「私を含めて男女4人です…」
「あー、それでそこで何かあったんすか?」
「友達達は何もなかったけど…怖かったねって言っていたんですが…その…私、聞こえたんです…その、こ、声が…」
三島優子は手を震わせながら話している。
「こ、声が…き、聞こえたんすか?」
「と、友達にも話したんですが…そんなの聞こえなかったって…怖がらせないでよって…わ、笑いながら話すんです…でも…でも!わ、私は!」
「三島さん。落ち着いてください」
す、すみません…とコーヒーを一口飲んだ。
「その声というのは…何と聞こえたのか、お聞きしてもよろしいですか?」
「…その…お、おかえりなさいって…聞こえたんです」
「おかえりなさいですか」
「そ、それから…また、おかしな事が起こるようになって…わ、私…もう、耐えられない…」
そう話した後、シクシクと泣きはじめた。
「お話ししてくださり、ありがとうございます。僕たちがお力になれるかはわかりませんが…色々と調べてみますので」
「…うっ…あ、…ありがとうっ…ご、ございます…」
「霊能力者の知り合いもいますので、相談してみますよ」
お、俺も!全力で調べるんで!と橘も笑顔で話しながら、三島優子の肩を優しくさすっていた。
三島優子は泣きながらありがとうございますと何度も、
何度も繰り返し言い続けた。




