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「うっひゃ〜…でるわでるわ…」
雨宮栞の家にある盗聴器を見つけにきたが、
合計で23個も見つかった。
「リンちゃんが盗聴されてるって言ってたから、あるんだろうな〜って思ってたけど、こんなにあんのかよ…」
正直、僕もここまで出るなんて思っていなかった。
多ければいいって訳でもないだろうに、
バーゲンセールでもしていたんだろうか。
盗聴器が見つかったことで盗聴されていたことが、
実際にわかり、雨宮栞は怖がって何も話さない。
「雨宮さん。もう盗聴されてないんですから、話しても大丈夫ですよ?」
「いやいや、そういう問題じゃないから」
橘に冷めた目で軽く睨まれた。
冗談だったんだけどな
相変わらず優しく寄り添うように
大丈夫だからと雨宮栞の肩を撫でている橘は
これからどうすんの?と聞いてきた
「盗聴器が壊されたことはすぐにわかるだろうから、今後どんな行動をしてくるか次第だとは思うけど…」
「じゃあ、ストーカーがなんかしてくんのを待つことしかできないのかよ」
「ストーカーだって証拠がないことには、何もできないだろ」
「そりゃ、そうだけどさ…」
橘は悔しそうな顔をしている。
傍から見たら彼氏だと思われてもおかしくないなと
思いながら、内ポケットに手を伸ばす
「雨宮さん。ここは禁煙ですか?」
「えっ…あっ…はい…」
「いやいや、普通に考えたら女の子の部屋でタバコ吸うか?」
「喫煙者の女性だっているだろ。失礼だぞ」
雨宮栞も成人している女性だ。
喫煙者だとしてもおかしくはない
「ベランダでなら大丈夫でしょうか?」
「は、はい…」
雨宮栞に許可をいただき、ベランダの方へ歩く
ベランダには鉢植えがあり、花が咲いている。
普段、手入れをしっかりとしてるんだなと思いながら
タバコに火を灯す。携帯灰皿を持ってきてよかった。
煙を吐き出しながら、窓越しに二人を見ると
他愛もない話をしているようだった。
橘の励ましが効いたのかわからないが、雨宮栞は少し、ほんの少しだけだが元気が出たようにも思える。
些細な人の感情なんて、僕にわかる訳ないか…
携帯灰皿でタバコの火を消し、吸い殻を入れる。
ベランダから二人の方へ歩きながら今後の話をしよう
「雨宮さん。とりあえず、橘と行動していただけますか」