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第五章、いざ開幕!

神影忠三朗。これは僕の父の名前だ。

父と言っても血は繋がっておらず、

僕はじいちゃんと呼んでいたが…

とても豪快に笑う人で、とても優しかった。

この人に出会えたから、

今の僕の人生があるといえる。

じいちゃんが亡くなる前に僕に言った。


お前の人生はお前だけのもんだ

好きに生きればいい

大丈夫じゃ、お前はワシに似て優しい

だから、好きに生きればいい

だが、そうじゃのう…

何もしたいことがなければ人助けでもせい


僕はこの言葉を忘れない。

そんなじいちゃんの最期の言葉は、


あー、美味いタバコが吸いたいのぉ


本当にじいちゃんらしい言葉だった。




カラコロカラン


「グッドモーニーング!ってあれ?リンちゃん一人?」

「あぁ、誰もきてないよ」

「珍しいね!いつもインチキ女がきてたのに」


そうだねと返事を返しながら、タバコに火を灯す。

橘はいつも通り、元気な様子で入ってきた。


「まぁ、毎日くるほど暇じゃないんじゃない?」

「そう言うリンちゃんは暇してるんだ?」

「困った人がいないのはいいことだろ?」

「たしかにね」


あー!今日は天気いいねー!と窓から空を見る橘に

何も返事を返さずに、コーヒーを一口飲む、

僕はこのゆったりとした時間が好きだ。


カラコロカラン


「やっほー!コーヒーちょうだい!」


…僕の好きな時間はそう長く続かないらしい


「うげぇ!なんだよ!やっぱりきたじゃん!」

「えー?何の話ー?」

「なんでもねーよ!!」


橘にニコニコ笑いながら話した後に

カウンターにふへーーーとした感じで、

両手を伸ばして突っ伏した。


「…また、お仕事があったんですか?」

「そうなのよ〜。やっぱり、肩凝っちゃうのよね〜」

「そうですか…」

「ねぇ〜、肩揉んでくれない?」

「橘に頼んだらどうですか?」


俺やんないぞ!とソファの方から聞こえてきた。


「やってくんないって。鈴はしてくんないの〜?」

「お断りします」

「そうよね。してくれるよね」

「…お断りします」

「うん。わかってるって、ありがと〜」


僕はもう何も返事をせずに、

カウンターにコーヒーを置いた。

ありがと〜とコーヒーをチビチビと飲みはじめた。


ソファの方から、栞ちゃんから連絡きた!と

橘の嬉しそうな声が聞こえた。


「うれしそうね〜」

「そうですね」

「私も肩揉んでもらえたら嬉しいのにな〜」

「…そうですね」

「コーヒー美味しいね〜」

「……そうですね」

「鈴って私のこと好きよね〜」


僕はコーヒーを一口飲み、煙を天井に吐き出す。


「…柚葉さんって面倒臭いって言われませんか?」

「うーん。インチキ女とは言われるかな?」


そう言って橘を見た後に、ねっ?と微笑んだ。

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