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「栞ちゃん家ってここから近いの〜?」


ユルっとした口調で話す橘さんは、口調とは違い私に気を遣って話してくれてることがわかった


「はい。もう少し歩いたところです」


夕暮れ時とは言え、やっぱり家に帰るのは怖い


「そっか〜。ねぇねぇ栞ちゃんって犬派?猫派?」

「えっ?そ、そうですね…どちらかと言えば猫派かな」

「あーわかるー!栞ちゃんって猫みたいにフワフワしてるもんね〜。じゃあさ、彼氏さんとかいるの〜?」

「いえ、いませんけど…」

「えっ!うっそ〜!!こんなに可愛いのに!じゃあさ、じゃあさ!俺、立候補しちゃおっかな〜」

「橘さん、絶対思ってないですよね?」


おどけて話す姿にクスッと笑ってしまった


「あっ!笑った!やっぱり、栞ちゃんは笑顔が一番可愛いよ」


橘さんは私の気分が少しでも落ち込まないように

話してくれているんだなって思った


「あと、橘さんじゃなくてタッちゃんって呼んでよ」


唇を尖らせながら話す仕草に、

本当に表情が豊かな人だなと感じた


「ここが家です」

「ありゃ。ついちゃったね〜…楽しい時間はあっという間ってやつかね〜」

「あの、橘さんさえ良ければお茶でも飲んでいきませんか?」


このまま1人になるのが怖くて、怖くて

少しだけでも1人になりたくなくて

だけど、橘さんは迷惑…だよね…


「えっ!マジでっ!やったー 」

「い、いいんですか?」

「逆にいいの〜?これでも俺って、男の子よ〜?」


笑いながら話す橘さんは優しく頭をポンポンと触った

「あと、橘さんじゃなくて、タッちゃんね?」


橘さんと一緒にアパートの階段を登り、

部屋の鍵をあける。


「おっじゃまっしまーす!」

「あっ、そこのテーブルに座って下さい。お茶を準備しますね」


ブーブーブー


私の携帯が鳴った。

またいつものように電話が鳴ったことに

私は固まってしまった


「携帯かして?」


優しい口調で手を出しながら話す橘さんに

携帯を渡すと


「非通知だね…」


私は怖くて、怖くて、怖くて


「大丈夫だよ。大丈夫」

橘さんは私の肩を優しく撫でながら

どうする?でてみる?と聞いてきたので

首を振ると、わかったよと言い通話を切った。


「俺がいるから安心して」


その言葉で少しだけ、少しだけだけど落ち着いた


ドンドンドンドンドンドンドンドン


玄関のドアから大きな音がする

まるで誰かが叩きちらしているような大きな音


ビクッと驚いた私に大丈夫だからと優しく囁いたあと、

橘さんは玄関の方にズカズカと歩いていった。


ガチャ!


勢いよく扉を開いた橘さんは周りを見渡してから

バタンとドアを閉めた


「誰もいなかったね」


そう話す橘さんの目はいつもと違って見えた

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