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橘に調べてほしい事を頼み、
僕は一人でマンションを調べていた。
外から二階のベランダを眺めていると、
視界の端に男性を見かけた。
挨拶をするとペコリと頭を下げられた。
「悟さん。すいません、少しお話しをお聞きしてもよろしいですか?」
「…あ、…はい…」
「ありがとうございます。悟さんはここに住まわれている方々をどう思われますか?」
「……いや…その、…お、…おおお…」
「ゆっくりでかまいませんよ」
コクリと頷いた後に
「…お、…おれは…す、…好きじゃない」
「そうですか」
「…み、…みみ、…みんな、…バカにする」
「臼井さんもそうでしたか?」
そう尋ねると首をブンブンと横に振った。
「あ、…あの人は…、い、…いい人、だた」
「そうだったんですね」
「み、…みみ、水野…さん、と…みみ、み…みや、宮本さん…は、…よ、よよ…よく…け、喧嘩して…」
「そうなんですか?」
「ふ、……ふふ、二人…は、…こ、こここ、…怖い」
そう話した後、何も話さなくなった。
「わかりました。教えてくださりありがとうございます」
僕が感謝を伝えるとコクリと頷いた後、
軽く頭を下げてから立ち去っていった。
僕は事務所に戻る前にコンビニに立ち寄り、
コーヒーを買って、入口の喫煙所でタバコに火を灯す。
フーと煙を吐き出しながら、コーヒーを一口飲む。
「おい!神影!」
前から見知った顔の人が近寄ってくる。
面倒臭いなと思いながら返事を返す
「お疲れ様です。山村警部」
「お前はいつも危ない目に合うな…この間は鈍器で頭を殴られたって?そう言えば、龍生はどうした?」
「さぁ?どこかで遊んでるんじゃないですか?」
「お前らはいつも一緒にいると思ってたがな」
「いやいや、僕たちだってもういい大人なんですよ?」
「まぁ、そうだが…私にとっちゃまだまだ世話のかかる子供だからな」
「そうですか…」
「おい、今度はどんなことに首突っ込んでんだ?」
「幽霊いるかなーって話ですよ」
「あ?なんだそりゃ?」
「なんだそりゃって話です」
暫く黙ったまま僕を見つめ続けたが、なんかありゃ警察を頼れよと肩を強く叩くと立ち去っていった。
相変わらず力強いなと苦笑しながらも、
空へと煙を吐き出した。




