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第三章、いざ開幕!
なんだお前名前がないのか?
じゃあ、今日からワシの息子じゃ!
じゃが…下の名がなければ不便じゃのう…
こんな字はどうじゃ?
ん?なんて読むのかじゃと?
それはな…
懐かしい夢を見ていた。
よく豪快に笑うじいちゃんの夢
カラコロカラン
「おはよう」
「…どうかされましたか?」
「またくるって言ったじゃない」
はぁとため息をつき、
ここは喫茶店じゃありませんよと声をかけた。
いいでしょ?と話しながらカウンターへと座る
しょうがないなと思いながら、
コーヒー飲みますか?と尋ねると
お願いと返事を返された。
僕は自分の分と彼女の分のコーヒーを淹れる。
コーヒーが淹れ終わるまで、タバコでも吸うかと思い
タバコに火を灯した。
カウンターではふへーーとした感じで、
両手を伸ばし、突っ伏している彼女を見て
この間とは全然違う感じがするなと思っていると
「…なに?」
「なにと言われましても…僕の方が何しに来られたのかなと思ってはいますが…この間と雰囲気が全然違いますね」
「あー、一応私って霊能力者でしょ?だから、雰囲気とか気を遣っちゃうのよね〜」
「…はぁ」
「ほら、やっぱりそういう雰囲気だした方がぽいじゃない。でも、あれって肩こるのよね〜」
「…大変ですね」
「そう大変なの。わかってくれる〜?」
わかりたくないなと思ったが、
返事の代わりにコーヒーを彼女の前に置いた。
ありがと〜と笑った後にコーヒーを飲んだ。
「やっぱり、コーヒー美味しいね」
「…ありがとうございます」
「喫茶店にしたら毎日通うんだけど」
「それは残念でしたね。ここは喫茶店じゃありませんので」
「そっか。じゃあ、毎日通うね」
「あの…喫茶店じゃありませんって言いましたよね?」
「うん。てかさてかさ、敬語やめてよ〜」
「…僕の話聞いてますか?」
「ちゃんと聞いてるよ。敬語で話されるとなんか…こう…くすぐったく感じちゃう」
ニコニコと笑う彼女にため息をついた。
「楠木さん?」
「柚葉って呼んで?」
「あの…楠「柚葉」
「いや…く「柚葉」
「い「柚葉」
「…柚葉さん?」
「うん!どうしたの?」
「…いえ、何でもありません」
なんかくすぐったく感じちゃう!と
意味のわからないことを言っている楠木柚葉
僕はコーヒーを一口飲み、煙を天井に吐き出す。
カラコロカラン
「やっほー!リンちゃんって、うげぇ!!」
元気いっぱいに入ってきた橘は、
やっほーと手をひらひらと振る楠木柚葉を見ると
まるで幽霊でも見た時の様なすごい声を上げた。
「…なんで、インチキがいんだよ」
「さぁ?僕に聞かれても…」
コーヒー飲みにきたの…ダメ?と可愛らしく首を傾げて聞く楠木柚葉にあざといなと思っていると、
だ、ダメじゃないけど…と橘が返す。
そこは頑張ってほしかった!
どんなに女性があざとく聞いてきたって、
そこは頑張ってほしかった!!
「ほ、本当にコーヒーを飲みにきただけか?」
「まぁ、別の話もあるんだけど」
あ、あるんだと苦笑をしていると
「なんか事故物件って知ってる?」
「うわ〜、俺、そういうの苦手なんだよな〜」
「お祓い頼まれたんだけど、どうも霊の仕業じゃないっぽい感じがするんだよね〜」
「え?そうなんだ!やっぱ、幽霊なんていないよな」
「うん。霊はいるんだけど…ちょっと調べてよ」
「だよな!…え?幽霊はいんの?え?どゆこと?」
「ねぇ…調べてくれない?…ダメ?」
「だ、ダメじゃないけど…」
「ホント?ありがと〜」
会話が噛み合ってないような気がしたが、楠木柚葉のあざとさに負けた橘はお願いを聞いてしまった。
そうか…頑張ってこいよ…
僕はそう思いながらも天井へと煙を吐き出した。




