2の7
カラコロカラン
しっかり叱られた橘が帰ってきた
「ちょっ!リンちゃん酷いよ!」
置いていくなんてさ〜と唇を尖らせながら話す橘に
悪いなと思いながらも返事を返さず、
コーヒーにタバコ、そしてパソコンを触っていた。
「ん?リンちゃん何やってんの?」
「いや、最近の若い子ってSNSしてるだろ?」
「探してんの?」
「何か手がかりでもあればと思ってね」
煙を吐き出しながら答えた。
ちょっと、貸してと橘がパソコンを
カタカタと打ち始める。
隣でタバコを吹かしながら、やっぱり、
橘の方が探偵に向いてんなと考えていた
「見つけたっぽい」
そう言った橘はパソコンの画面を僕の方に向ける。
笹原瑞穂が投稿したものらしい。
可愛らしいケーキの写真やぬいぐるみの写真、
どこどこのパンが美味しかったとか…
これと言って手がかりになりそうなものはない。
「次は望美ちゃんの方か…」
そう呟いた橘はまたカタカタと操作し始めた。
橘のコーヒーを入れ、近くに置くと
ありがとうと返事をされた。
僕は新しいタバコに火も灯し、天井へと煙を吐き出す。
白い煙がモアモアと浮かび上がるのを眺めていると、
「…これかな?」
そう言った橘はまたパソコンを僕の方に向ける。
安村望美が投稿したものらしい。
笹原瑞穂と同じような可愛らしい写真があるが、笹原瑞穂に比べると投稿した数が明らかに少ないなと感じた。
もしかしたら、ブログやってんのかな?と橘が呟く
もうちょい待ってね〜とカタカタと操作をすると
これかもと言った後に、マジで?と呟いた。
隣からパソコン画面を覗くと、
オカルトちっくな内容が書かれていた。
「俺…こういうの苦手なのよね…」
「まぁ、コックリさん…してたらしいからね」
だよね〜と返してきた言葉を聞き流しながら
ブログの内容を読み進める。
一つの内容に引っ掛かりを感じた。
知らない私が私に話す。
私は狼、赤ずきんちゃんにはなれなかった。
でも、私は赤ずきんちゃんでもあるみたい。
多分、きっと、おそらくきっと、
知らない私が私に話す。
僕は読みながら、この言葉を繰り返す…
「なんか、気になんの?これが?」
「うーん。何とも言えないけど、これだけがよくあるオカルト話と違う気がするんだよね」
「ちょっと前に人狼とか流行ったじゃんか。アレでしょ?」
「人狼に赤ずきんちゃんはいないだろ?」
「まぁ、そうだけどさ〜」
たしかに、厨二病じゃないけどオカルトが好きで
コックリさんをしてる子だ。
創作した怖い話としてもおかしくはないが、
そもそも怖い話としては成立していない…
僕はタバコを吸いながら、考え続けた。




