聞きそびれた男
居酒屋の店員が、男の注文した品を運んできて言った。
「 お待たせしました、出汁巻になります。」
男は、以前からこの対応に疑問を持っていた。
これは日本語として、おかしい。
本来なら、「 お待たせしました、出汁巻でございます。」
と伝えるのが正しいはずだ。
日本語が段々と壊れ始めている!
男は、危機感を抱いていた。
そこで男は、一策を講じることにした。
「 どて焼き 」を注文し
店員が運んで来て、「 どて焼きになります。」と言った途端
「 いつどて焼きになるの? 」、「 じゃぁ、これは今は何なの?」
店員が慌てふためく姿を見て
正しい日本語の使い方を教えるしか無い。
男は、行動に出ることにした。
店員を呼び止め、どて焼きを注文した。
飲みかけのハイボールを手にしながら
男は、待った。
暫くして店員が、一品を持ってやって来て
男の前のテーブルに置いて言った。
「 お待たせしました、串焼きになります。」
男は、用意していたのとは違う言葉を
店員に投げかけた。
「 頼んでないけど。」