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ロボット?

 第一夜


 人類が滅び、ロボットが支配する世界、少年はたった一人に残された人であった。

 あるお婆さんの記憶を持つロボットに育てられた少年、ロボット達に敵視されていないが、相手にもされていない。

 ロボット達にとって、少年はかつて自分達を創り、支配してきた人類ではない。自分達が滅ぼした憎き敵でもない。少年は、ただの少年である。

 少年は孤独だった。


 少年は少女と出会った。機械の体と翼を手に入れた少女は言った、これは彼女が夢に見た第二の人生であった。

 空を舞う少女は少年に沢山の「美」を見せてあげた。少年は初めて生きる意味を見つけられた。


 その後、何があったのでしょう?少年は人の心を持つロボット達と共に、人類を滅ぼした邪悪なロボットの王を倒し、幸せになった。

 少年は孤独ではなくなった。

 めでたし、めでたし...


 第一夜 終



 第二夜


 少女は不自由だった。

 ずっと病室で過ごした少女は願った。自由に動ける体が欲しいと、神に願った。

 そして、少女の人生は終わりを告げた。


 少女が次に目が覚めた時、彼女は機械の体と翼を手に入れていた。神様は彼女の願いを聞き入れて、新しい生と頑丈な体をあげた。

 歩けるだけでも十分だったけれど、翼があるなら、空を飛ばなきゃと少女は思った。羽ばたく度に激痛に襲われるが、少女はそれでも飛ぶことを止めない。


 少女は知っている、彼女はただの人間の記憶を埋め込まれたロボットに過ぎないって事を。彼女がどれだけ幸せであっても、記憶の持ち主は既にこの世にいない。その人は、この幸せを味わえない、と。

 だから、少女は選べられた。人間の記憶を他人の物だと切り捨てて、自分だけの一生を過ごす事を、選べることができるのだ。

 けれど、少女は人間である事を選んだ。自分が記憶の持ち主である事を選んだ。これは自分の第二の人生だと、前の人生の続きだと、彼女は選んだ。


 第二夜 終



 第三夜


 お婆さんは幸せだった。愛する人の隣で、子供と孫達に囲まれて、とても幸せな老後生活を過ごしていた。

 だけど、それもある日に全てを失った。いつものように自宅に返る子供夫婦と孫達を見送った後、お婆さんは帰路に就くその時、人類が滅んだ。


 次に目が覚めた時、お婆さんはベットの上だった。

 隣にいるのは沢山のロボットの残骸と、既に息絶えたお爺さんだった。

 お爺さんの手帳から、お婆さんは全てを知った。人類が滅んだその日に、お婆さんの子供達も無くなっていた事を知った。

 一人に残されたお婆さんはお爺さんの側で静かに泣いた。どうして自分だけがまだ生きていると、嘆き悲しんだ。


 そしてある日、お婆さんは一人の少年と出会った。


 第三夜 終



 第四夜


 宇宙に行き、運よく人類の滅びから逃れた男の子がこの世界へ戻ってきた。

 世界を支配したロボット達を見て、男の子は嘲笑った。


 第二夜の少女は幸せなのだろう。自分で人間である事を選ぶことができたからだ。

 第三夜のお婆さんは哀れなのだろう。自分こそが最後に残された方だと思っているからだ。

 そして、第一夜の少年。彼は自分が人間なのか、ロボットなのかすら知らない、気にもしてない。

 少年は愚かだと、自分こそが本当の最後の人間だと、男の子は言った。


 そして、男の子は「キミはどっちだ?」と言い残して、どこかへ行った。


 第四夜 終



 第五夜


 目が覚めた。


 第五夜 終

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