極道の妻?
夢の開始:私は一人の未亡人です。
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彼が死んで何日後、お義父さんとお義母さんが私達の家に来ました。
彼の残した遺物の配分に来たのでしょう。彼との間に子を残さなかった私に、多くはもらえないのでしょうね。「お金なんて欲しくはありません」と言うのは簡単ですが、私にも生活がある。彼がいなくなった後の日々を過ごすには、ある程度のお金も必要です。
そんな事を考える自分に嫌気がさした。彼はもういないのに、どうして私はまだ生きようとするのです?
せめて、思い出の品は独り占めにしたい。
義父「お前にもお前の生活がある。それを分かっている。だから、どの物がどっちにとって最も大事なのか、それを決めるに来たんだ」
私「はい・・・」
義父「それを、一気に全部ここに置いて、俺達に選べって言うつもり?」
私「・・・・・・」
義父「これとか、俺は見たことがないぞ。そんなものを見せても、俺にどうしろと?」
私「・・・・・・」
お義父さんは私から彼を全部奪うつもりでしょう。私はお義父さんに逆らえません。彼が生きていた頃も、いなくなった今も・・・
お義母さんは何も喋らない。ずっと、私を厳しい目で見つめている。私を「息子の仇」のように思っているのでしょう。
嫌だな・・・いつになったら終わるのでしょう?
義父「見知ってるものもあるけど、これら全部、お前らの思い出だろう?違うか?」
私「そうです。私達の・・・物、です」
ささやかな抵抗をしました。「私と彼の物だ」と、お義父さんに言いました。
義父「そんな大事な物なら、トンとここに置くな。これとか、汚れちゃったじゃん」
私「・・・・・・」
お義父さんには何の効き目もありません。知っていましたけど・・・
義父「お前はまだ若いんだし、まだ他に、いい人と出会う。こんな一杯『思い出』を残したら、困るだろう?」
私「・・・・・・」
やはり、私に何も残さないつもりですね。私と彼との大切な記憶すら、全部奪っていくのですね。
嫌い・・・嫌い、嫌い、嫌い嫌い嫌い嫌い嫌い・・・
どうしてお義父さんではなく、彼が先に逝ってしまったのですか?
義父「だから、これらを全部燃やす」
私「え?」
貰っていくのではなく・・・
私「・・・燃やす、んですか?」
義父「そうだ。残してしまっては、お前はいつまで経ってもあいつに引き攣られたまま、前に進まんだろう。お前はまだ若い、あいつとの子供もいない事だし、別に幸せを見つけるべきだ」
私「ひっ・・・」
死んだ息子よりも、私の事を気にして・・・
私「っ・・・」
慌てて口を塞いだ。
どうして、今になって涙が溢れ出たのでしょう?
ずっと我慢して、我慢して・・・彼が逝った事を聞かされた時でも、ちゃんと堪えたのに・・・
お義父さんの事は良く知りません。全部彼から聞かされて、そして勝手に「身勝手な人」だと思い込んでいました。でも、お義父さんはちゃんと私の事も考えてくれて、私を・・・彼の妻だと、自分の娘だと思ってくれていました。
ごめんなさい、お義父さん。私は・・・
私「ぅ?」
お義母さんはずっとお義父さんを見ています。お義父さんの言葉にお義母さんもひどく驚かされてました。二人は相談をしていなかったのですか?
お義母さんの手が不自然に腰の方に添えて行き・・・まさか!?
私「ダメ!」
私はすぐにお義母さんの手を押さえました。
義母「っ!放せ!小娘か!」
私「落ち着いてください、お義母さん!」
お義母さんはナイフを隠し持っていました。それはいつもの事なので、別に驚きはしませんが、お義母さんはそのナイフを使って、お義父さんを切るつもりでした!
やはり、お義母さんは私と同じ、まだ彼の死を引き摺っているのですね。
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急に、夢が終わった。