3.イモ子さんのここがすごい!「作者満足度計測システム」
イモ子さんにはもう一つの機能がある。
作者に書いた感想の満足度を数値化し、計測できるシステムだ。
ちなみに0~100までの幅がある。
イモ子さんは、作者の執筆環境や心情に沿って、満足度を微妙に変化させた感想を送信する事ができるのだ。
具体的な例を挙げると。
多忙なサラリーマンであり、仕事の合間の息抜きに作品を掲載しているBさんの場合。
おおよそ満足度40程度の感想を送信する。
満足度40とは「おっ、反応があった。次の更新はいつになるか分からないけど、また書いてみるか」といった感じだ。
作品に本気で入れ込んでいて、時間の有り余っているニート、ZZくんの書いた作品には、満足度70程度の感想が送信される。
これは毎日更新してライフワークにしたくなるぐらい、気合いの入ったモノだ。
さすがに満足度100の感想は送信しない。
これを送った作者は、寝食を忘れて執筆作業に打ち込み、衰弱死する恐れのある危険な数値であるからだ。
ちなみにこの「作者満足度」は、作者のモチベーションを総合的に維持するための指標の1つに過ぎない。
イモ子さんは300のIDを通じて接触した作者の執筆速度・文章内容の変化を常に観察・分析している。
毎日更新するあまり失速気味の作者に対しては、
「毎日書き続けるなんて凄いです。自分なら疲れてしまうかもしれません。
自分はいくらでも待てますので、作者様の無理のないペースでやっていただいて大丈夫ですよ!」
と書いて、休養やクールタイムを設けるよう促してみたり。
一週間以上、更新が止まっているスランプ気味の作者に対しては、
「ふと好きなキーワードで検索したら目に留まりました。
主人公のライバル○○は、気さくな性格で好感が持てる上に芯の強いところがあってカッコイイです。
そんな彼の今後がとても気になるので、○○の活躍を期待して待っています!」
と、それとなく作者が話を転がしやすそうな展開に誘導してみたり。
イモ子さんは俗に言う「底辺作家」の人々に向けて、感想を送り続ける。
しかし評価ポイントはつけない。ブックマークには入れていくが。
300のIDそれぞれに、読み専として紹介文を書く。
どういうジャンルの小説が好きだとか、こういう話をよく読みますとか。
読み専IDを検索してきた人に、目に留まりやすくするように。ブックマークの登録をするのはそのためだ。
しかしブックマーク登録数にも400の上限があるため、時には活動報告を利用して「こんな小説読んだので紹介します!」といった記事も載せる。
感想と並行して、レビュー等も用い、分かりやすい紹介文にして発表する。
他にも諸々、紹介しきれないほどのあの手この手を使い、イモ子さんの操るIDたちは、読み専スコッパー(註:マイナー作品をひたすら読み漁るタイプの読者のこと)としての地位を徐々に確立していった。