春過ぎて花開く
初めての作品なのでまだまだ未熟ですが読んで頂けたら嬉しいです!
どうぞよろしくお願いします。
もうすぐ夏休みということで午前中で学校も終わり、幼馴染みの咲希と共に帰宅していたある日の昼下がり。
「毎日暑すぎだろ~」
「もうすっかり夏だなぁ!」
「今度 海行こうぜ!海!!」
これから訪れる夏休みに期待と希望を膨らませ盛り上がる男子たち。その横をイヤホンで音楽を聞きながらまるで何事にも関心がないように足元だけを見て歩いてる。そんな彼の姿が何故か目に留まった。
彼の足元に一匹の猫がすり寄った。金髪にピアス。誰もが不良だと決めつけ怖がる彼。そんな彼が優しい笑顔と手つきで猫の頭を撫でた。
そんな彼の姿を見た私の心に一筋の光が走った……。
あの日から数日、彼の笑顔が頭から離れず何度も話しかけようと頑張ってはみたものの、結局何もできずにいる私は今日も咲希と一緒に帰宅していた。
「ねぇ、真由の隣の席のかなで君だっけ?あの人誰とも喋んないし、あたしが話しかた時も無視されたし。何考えてんのかよくわかんなくない?しかも、しょっちゅう遅刻してくるし授業はサボる。よくうちの学校受かったよねぇ。」
「かなで君じゃなくて要君ね。」と苦笑いしながら訂正をしたけど「あれ?そーだっけ?」と咲希からは適当な返事が返ってきた。
私たちの通っている百合ノ丘高校はこの辺ではそこそこ偏差値も高い進学校だ。そんな学校だからこそ、北原要くん、彼みたいな目立つ格好の人は注目を集めやすい。
好奇心が旺盛な咲希もそんな彼に興味が湧いたんだろう。それに咲希は一人でいる人を放っておけない子だから、きっと彼のこともずっと気になっていたんだろう。
「あいつ絶対友達いないよねぇ。」
「そんなことないと思うけど。」そんな風に話をしていると
「きゃっ!」突然後ろから肩を掴まれた。
慌てて後ろを振り向くと
「これ、落とした。」とぶっきらぼうに生徒手帳を差し出しされた。
「え? あ!ありがとうございます!!」
慌てながら相手の顔を見て心臓が止りそうになった。そこにいたのは今話題にしていた要君だった。
「どういたしまして。」そう言いながら少しだけ微笑んで生徒手帳を手渡してくれた。
「それじゃ。」またすぐ無表情に戻ってそう言い残し、さっさと歩いていってしまった。私は一緒にいた咲希のことを考えずに
「あ!北原君、待って!!」そう言いながら彼の背を追い走りだした。
後ろの方で「え!?ちょ、真由!!?」という咲希の声が聞こえた気がした。
けれど「追いかけなきゃ!」そのことだけでいっぱいだった私はその声を気にとめることなく走り続けた。なぜかはわからない。けれど追いかけなければいけない気がした。ただ彼との初めての繋がりを終わらせたくなかっただけなのかもしれない。何かを感じ取ったのかもしれない。自分でもよくわからないまま私は走った。
この時の私はまだ知らない。
これから彼が私のかけがえのない大切な人となることを……。
まだ学生のため次回作のメドなどがたっていませんがいつか必ず続きを書きますので待っていただけると幸いです。