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『イシュト様。クラッチから急ぎの連絡です。2人が戻らないそうです』


あ…ああ…

『イシュト様、大丈夫ですか。お気を確かに』

立っていられない、私はソファーに倒れるように沈み込む。


『アンナ、昨夜の情報を至急集めなさい』

『すでに手配はしてあります』



『1人にして頂戴…』



アンナは静かに出て行った。寒い、体から血の気が引く、震えが止まらない、まだ情報がない状態で考えては駄目。駄目なのに…不安が止まらない。



私は1人、ソファーに蹲って泣いた。




『エヌディ、この話は本当なのか。会議のためのマスターはまだ集まっていないがこの情報が間違いでしたではすまない話しだぞ』


『王都の商人のトップからの情報、しかも裏もしっかりとってある話。それにこんな話しが実際に行われれば。この国全体が揺らぐ』


ギルド本部のマスター3人は頭を抱えて俺の話しを聞く。


『しかし、政治に口を出さないのが昔からのルール。どうしたものか』



俺だってどうしたらいいか判らん。誰もが重苦しい空気に口を閉ざしてしまう。その静寂は1人の使者によって破られる。


『皇帝が代替わりされ使者が来ています』

『すぐに通せ』


誰が皇帝になったというんだ…使者はすぐに会議場に入ってきて話し始めた。


『新皇帝エリザ様よりギルド本部への伝言をお伝えにまいりました。新しい王城の建設は白紙に戻す、面倒をかけてすまないとのこと。城への侵入者2名を公開処刑とする、ひまならば見に来るように、侵入者は全身黒い服の男と伝えるよう申しつけられております。失礼します』


使者は慌ただしく帰って行く。侵入者は2人…全身黒い服の男…


『問題はとりあえず解決だな。悪いが俺は王都に戻る』


他のマスターへの挨拶もせずに急ぎ王都へ向けて馬を走らせる…まさかとは思うが…




暇ね…ハクレがいないから手作りおやつも食べられないわ…あれ、パパじゃない。


『サチル、ハクレはどこに行った』


なによ帰ってくるなり怖い顔してハクレはどこだーって。変なの。

『ハクレだったら、マケイジって人と大物狩りに行くって昨日からいないわよ』


『パパ、大丈夫。顔色が悪いわ、家に入って休んだ方がいいわよ』

返事もせずにその場に立ち尽くすパパ…


『ハクレに何かあったの。ねぇ、何か知ってるの。どうしたのよ。もういいわパパはそこで突っ立っていればいいわ』


パパの乗ってきた馬に乗ってギルドに向かう…あの女ならきっと何かを知ってる気がする…

前の依頼書に住所が書いてあったはず、行かなきゃ、ハクレに何かあったんだったら私が、私がハクレを助けなきゃ。



『イシュト、いる。いるなら開けて。聞きたいことがあるのよ』


返事が無い、しばらくどうしようかと思っていると中から声がする。


『開いてるわ、入ってらっしゃい』

私を追い詰めたあの人とは思えない、弱い声…何かあったのは間違いない、私の嫌な予感が確信に変わる…


『お邪魔するわ。まどろっこしいのは嫌いよ、教えて頂戴』


『あなた、カクレ様の正体、ご存知かしら』

『知らないわ』

『なんとなくは分かっていると思っていたけど、ハクレ様よ』


そう、やっぱりそうなのね。ハクレの身のこなし、私を倒した時からそうじゃないかって思ってた、やっぱりそうだったんだ…

私はなんとも言えない嬉しい気持ちで胸がいっぱいで返事もできなかった。


『嬉しそうね。でも続きを聞いてもそのままでいられるかしら』


そうだった、イシュトのこの表情の原因はきっとハクレに何かあった証拠…衝撃に気持ちを備える。イシュトは真っ直ぐに私を見て静かに告げた。



『ハクレ様は王城に侵入して捕まり、公開処刑になるそうよ』



走り出そうとする私の手を両手でしっかりと掴むイシュト。


『待ちなさい。あなたが行ってどうにかなる問題ではないのよ。馬鹿な真似はやめなさい』

『馬鹿でも何でも、このままじゃ。私は行くわ、止めないで頂戴。私が、私がハクレを守るって、約束したのよ。私が死んでもハクレは助けるわ』


気がつけば、無表情のイシュトが私の頬を打っていた…


『あなたが無茶をしてその結果ハクレ様が助かったとしても、あなたが死んでどうするの…ハクレ様の気持ちは、これからあの人に死ぬまで苦しみを与えるようなマネはさせないわ。頭を冷やしなさい』


私は何もできないの…私は馬鹿だから、いい方法なんて思いつかない。ハクレ…




まったく、こんなに分かりやすいと私も落ち込んでいる場合じゃないわ。しっかりしないと。


『サチルさん、アンナ姉様が調べているところでは侵入したのは2人、ハクレ様とマケイジ。前皇帝の母で新皇帝のエリザが1人であの2人を捕らえ、窓の無い部屋に拘束、食事も水分与えずに、城の者に一切の接触を禁止しているそうよ』


『ちょっと待って、エリザって人はそんなに強いの。マケイジって人はもちろんかなりの腕前だったし、ハクレだって今はそう簡単に倒される腕ではないわ。変じゃない』


確かに、それは私も疑った。エリザも戦闘の心得はある、かなりの腕前であると報告は来ている。それでも、マケイジの強さを考えれば相手にはならないだろう…

しかし、現時点では報告以外の情報は無い…接触を禁じているから新しい情報も無い…


私も動けない理由がここにある。後は新皇帝に呼ばれたクラッチからの情報に賭けるしかない。


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