表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/43

34

イシュトさん、ありがとう…貴女のおかげで僕はすぐに動き出せる。


あのペンを贈ったあの日から準備に取り掛かることが出来た。お世話になった人達、育った街を潰させはしない…


『ハクレ、お前はどう動く…』

『クラッチ殿、以前の借り返してもらうでござる。マケイジ殿大物狩りの約束、一狩りいくでござるか』


『なにを考えている。そして私は何をすればいい』

『にんじゃ、珍しく悪い顔してるじゃねーか。どこでも付き合うぜ』


僕は2人に耳元でささやき伝える。

『正気か。しかし、すぐに手配しよう』

『おもしれー、そいつは大物だ。いつ行く、楽しみだぜ』


『では、クラッチ殿の準備が出来次第。狩りに行くことにするでござる』


僕は1枚の大きめの紙に筆を走らせる。


それを持ち、店の外へ


「店主、大物狩りの為しばらくお休み致します」


3人でその張り紙を眺め。誰からともなく笑い声が始まる。


『では、2人ともお願いしますね』



僕は1人、あの人のところへ向かう…


不思議なあの人、只者じゃないのはわかる…それはアンナさんの影響なのか、それとも…

そんなこと考えてもどうしようもない。僕に知る術はない…ただ、あの人の好意に甘える必要がある。


あの人は力を貸してくれるだろうか、僕から渡せるものはほぼないだろう、それでも去り際のあの言葉に甘えてもいいのだろうか。今日も空は雲ひとつなく、時折鳥が頭上を駆け抜けていく…風が気持ち良いな。



夜はにぎやかな色町も昼間は普通の街並み。各お店に品物を配達する商人や、洗濯物を干したりしている、子供が走り回ったり。


血の上の平和…


僕にできることは、なんだろうか。




扉を叩く…目の前で静かに開く、そこには真剣な表情のイシュトさんが立っている…


『お待ちしていました。準備はできています。これが貴方が必要としているものです』


紙の束を受け取っていいものか、僕がためらっていると僕の手をそっと取り。僕に受け取らせた。


『何も言わないで受け取ってください。私は貴方の為にしたくてやったこと…』

『この恩には必ず、お返しをします』

『いりません』


『1つ、お願いできるなら。今、抱きしめてください』


僕はイシュトさんを抱きしめる…


『今は、これで十分……ご無事を祈っております。心は貴方のそばに』



お互い目を見て、小さく頷き。僕はクラッチさんの店に足を向けた。




『クラッチさんをお願いしたいのですが』

『失礼ですが、お約束はおありでしょうか』

『いいえ、ハクレが会いたいとお伝えください』


『その必要はねーぜ。こいつは俺が旦那のところに連れて行く』


店員は僕とマケイジさんに軽く頭を下げ、仕事にもどっていった。


店の奥に進む僕の前の背中ははしゃぐ子供のように楽しそうだ。

扉を開け、中に入る。


『ハクレどうした、今日の今日で何かいい忘れたことでもあるのか』


『これはイシュトさんから頂いたものです。詳しくは見れていませんが、少し見ればこの情報の価値がわかるはず、見てみてください』


クラッチさんは紙の束に凄い速さで目を通す。

『これは…こんな内容、アンナめ…こういうことか…』

『1日時間を貰いたい。明後日の夕刻までに段取りを整える。この私が一番最後…まさか出遅れるとは…悔しいが最善を尽くそう。マケイジ、ハクレと共に行け、細かい段取りはハクレに聞け』


クラッチさんは紙束の中に数点しるしをつけ、一枚のメモ書きを書き、僕に渡した。

『必要な内容は把握した、私の動きは印とメモに書いてある』




2人で店を後にして僕の家に向かう…家に近づいた頃…


『なあ、ハクレ、もし正体がばれれば俺もお前もタダじゃすまないだろう。この狩り、俺に任せる気はないか』


『無いですね』


『そうか…』


『あ、ハクレ。大物狩りってなによ。危ないことじゃないでしょうね』

『サチル、違うよ。大丈夫だから』


『う~ん、パパも急に本部に行くからって慌ててたし。なんか変な感じなのよね』


いつもながら勘がいいな…


『こちらはマケイジさん、お父さんの仇で昔、エヌディさんを倒したこともある人だよ』

『おい、ハクレその紹介は正しいが色々誤解を招くぞ』


サチルは無言で家に戻ると愛用のロングソードを握り締めマケイジさんに一直線に向かっていった。


『父親そっくりだな』

振り下ろされたロングソードを真っ赤な鞘で捌き、サチルの剣は地面すれすれで止まった。


『なかなかやるわねあなた。もしハクレに何かあったら次は真っ二つにしてあげるわ』

『気性も父親そっくりか…』


『何も無いからね。でもこの人の強さはわかったでしょ、僕の安全は保障されたようなものだよ』


『まあ、いいわ、なんか考えてるんでしょ。いつもみたいに。ハクレが大丈夫って言うなら大丈夫でしょう』

ロングソードを肩に担いで自宅に戻っていくサチルを見送り、僕らも自分の店に入った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ