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なぜこうなったのか…だれか僕に教えてほしい…



今日は久しぶりにモフィーさんの作るご飯を食べる日だったはず…

それが、なぜエヌディさんに問い詰められているのか、目の前の食事はとてもおいしそうなのに、手が出せないこの現状…


『ハクレ、黙ってないで何とか言ったらどうだ。俺がこんなに頼んでいるのに。頼む』

『ハクレ君、うちの人の言う通りよ。あの子の将来に関わることなの。お願いよ』


親同然の2人にここまで頼まれる状況に僕はただ固まって座っていることしか出来ない…

懇願するような眼差しを向けられる僕はすでに心が折れている。

ごめん、サチル。僕にはどうすることも出来ないよ…



『お2人とも、とにかく落ち着いてください』

『これが落ち着いていられるか』

『そうよ、あの子の相手はハクレ君しかいないって思っていたのに』

『モフィー、それはそれで言いたいことがあるが、まあ今はいい』

『あなた、聞き捨てなりませんね。あのサチルの夫にはハクレ君以外誰がなってくれるのよ』


話が変な方向に向かいっていっている。やばい何もしてないのにピンチだ。

『ピンチはチャンスじゃ』ってじいちゃんはいってたけど、どこにチャンスがあるんだこの状況…


始めと違う話で揉めあう目の前の夫婦に対して、腹に力を込めて割って入る。


『お2人とも知っていることを話しますから。とにかく落ち着いてください』



それを聞くと2人はピタッと動きを止めて静かに椅子に座りにこにこして僕を見る…


やられた。まんまと乗せられた。しかしもう遅い…僕は話し出すしかなかった。



『お2人とも、はめましたね』

『何のことかしら、ねーあなた』

『本当だ、ハクレ小さいことを言う男はみっともないぞ』


『聞きたいことは、サチルの夜勤のことと、その原因となった人物ですね』


2人はうんうんと頷いて僕から続くであろう言葉を待っていた。


『知っていることしか話せませんよ。ある夜勤の時に変わった新人の冒険者が来たそうです。エヌディさんは内容を知っているでしょうけど。カクレという人でスタイルはにんじゃとかいう聞きなれないスタイルだそうです。サチルが言うには人のよさそうな変わり者とのことです』


2人はさらに頷き僕に続きを勧める。


『見た目はこの辺りでは見たこともない服装に口元をマスクで隠し、紐のついた短剣を使うそうです。今日の話ではこの王都のどこかに住んでいるのではとのことでした』



『それで、ハクレ君。サチルはその人のことが好きなのかしら』

『興味が沸いたとは言っていましたけど、そういう気持ちがあるのかまでは聞いてないですね』


モフィーさんはほっとしたような、残念そうな複雑な心境のようだ。


『それにしても、いくらハクレ相手とはいえギルド職員として情報を漏らしすぎているな。困った娘だ。まあ、今のところは様子を見るしかないか』


エヌディさんは情報を話しすぎていることに対して問題視しているようだ。腕を組んで何か考えている。


『僕が喋ったことは内密にお願いしたいのですが』


『そうすると注意も出来ないが仕方がないか。その代わりといってはなんだが何かわかったら必ず俺に教えるんだぞ』


それはもう脅しじゃないか…とは思ったけど仕方がないか。


『わかりました』というのが精一杯だった。



『さあさあ、ご飯が少し冷めちゃったけどいただきましょう』

モフィーさんが仕切りなおす。そもそも冷めたのはお2人のせいですよって言いたい気持ちが胸いっぱいだったが、言えないのでせめて腹いっぱいにしようとご飯をいただく。


やっぱりおいしい。安心感のある味、懐かしい味、おいしいご飯は偉大だなって思った。


食後のお茶を飲みながら片付けをするモフィーさん、必然的にエヌディさんと2人男同士での話になる。


『そういえばハクレ、最近景気はどうだ。飯が食えるくらいには稼げているか』


ストレートな表現がエヌディさんらしいな。


『はい、おかげさまでギルドからの依頼もありますし、僕1人やっていくのに不自由のない程度には稼げていますよ』


『しかし、お前も男だ、いつまでも1人というのはどうかと思うが。サチルをやってもいいがもう少し強くなってもらわんと認めるわけにはいかんな。俺が稽古つけてやってもいいんだぞ。遠慮することはない』


『僕は荒事には向きませんよ。ご好意はありがたいですが…』


『気が変わったらいつでも言ってこいよ。俺は待っているからな』


不器用だけど僕を心配しているのはすごく伝わる。こういうところはやっぱりサチルのお父さんだな、そっくりだ。


僕は食事のお礼を言って自分の家に帰ってきた。

1人か…じいちゃんの残してくれた作業場を見ながらちょっと寂しい気持ちになった…

『じいちゃん、おやすみ』いつもより早めに僕は眠りについた。




『なあ、モフィー。ハクレの話どう思う』

『ハクレ君のことだから本当のことしか言ってないと思うわ、でも…』

『でも。何か気になるのか』

『ううん、たぶん気のせいよ。おやすみなさいあなた』

『そうか…おやすみ』


ハクレ君、何かを隠している気がするわ。いいえ、隠しているというよりは抱えているっていう方が正しいかもしれないわね。危ないことじゃなきゃいいけど…


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