告白
今気づいた。
この状況…私と瞬、二人っきり。
別に意識するものじゃないのは分かる。だけど、なんか気恥ずかしくてならなかった。机の下で手をキュッと握りしめる。
自分がこんなに緊張してる意味が分からない。
「…」
なにか喋らなきゃ、と思う。ちょっとした沈黙に耐えられなかった。
「あの、」
「歩花」
喋るタイミングが被る。
「あ…」
瞬は笑いながら「どーぞ」と私に促した。
いや…どうぞと言われても…。どうしよう。どうしよう。
「えと…」
焦った私の口から飛びだしたのはどうでもいい謝罪の言葉だった。
「ごめん、瞬!あの、私…授業中とかいろいろ、ずっと後ろ姿ガン見してて…!ホント意味分かんないんだけど、…あの、違うの!なんか瞬に会った時からすごい…めっちゃ背高くて、なんか…かっこいくて…その」
一気にまくし立てて最後の方の言葉が小さくなった。自分で何を言ってるのか分からなかった。
瞬はポカンと口を空けていて、ちょっとびっくりしたような感じだったが、私が俯いたとたん吹き出した。
「なんだよ歩花ー、何言うかと思えば」
俯いたまま私はしまったなぁと反省。
(ずっと見てましたごめんなさいって私どんな子だよ…)
「でも嬉しいな」
顔をおそるおそるあげた。
「…多分ね、うちが歩花より後ろの席だったら同じことしてたよ」
「え…?」
「歩花をじっと見てたってこと」
瞬の爽やかな笑顔に夕日の色がかかる。そろそろ暗くなるだろう。
「うちら両想いかもね」
え…?
胸が高鳴る。なんだ。これ。
「うち、歩花に一目惚れしたんだ」
私が返答できないうちに瞬は私を見つめて言った。
「付き合わない?歩花。歩花がうちの彼女」
付き合…
「え…っえ…、え」
上手く言葉が出ない。
付き合うって、つまり瞬が彼氏で私が彼女ってそういう…
「気持ち悪い?女同士って」「え、そ…」
「上辺だけでいいんだよ、ごっこ遊びで。女子高だし」
言ってしまえば嫌なんて気持ちは私にはなかった。
こんなの普通じゃない。分かってる、そんなこと。
でも、私は嬉しかった。とても。とても。
今はっきりした。
(私は瞬に一目惚れしたんだ)
「付き合わない?歩花」
さっきの言葉を繰り返す瞬。
私は顔を真っ赤にしながらゆっくり頷いた。