入学式
入学式。
なんか…ずっとぼうっとしてた。
担任の先生は特に変わったところはない中年のおじさん先生。うーん確か国語科だっけ。忘れた。
髪の毛の薄くなった小さい校長先生。その話もよく覚えていない。
なんでこんなにも入学式に集中してなかったのかというのは、…率直に言えば瞬のせいだ。
(どうしたのかな…私)
どんなにイケメンの子だとしても相手は女の子だ。
どうした。私。
さっきから瞬のことが頭から離れない。
なんで…。
頭の中に「恋」という言葉がちらついた。
あっという間に入学式が終わると生徒達が自分の教室に戻っていく。
私もなんともいえないふわふわとした気持ちで教室に向かった。
「歩花!」
ポンッと急に肩に手を乗せられ、私は必要以上の驚きの声を上げてしまった。
「ふぇっ!!??」
周りを歩いていた子達が一斉にこちらを見る。かわいい〜とかいう声が聞こえた。
恥ずかしい!
「あ…ごめんね歩花。でも驚きすぎ」
瞬だ。頬が熱くなるのを感じた。
「…だってぇ…」
瞬は顔を俯かせる私を見てふっと笑う。
「あ〜もうホントに可愛いな歩花は」
頭をわしゃわしゃ撫でられた。
動機が激しくなる私。教室まで無事辿りつけるのかな…。
「もぅ…恥ずかしいよ子供みたいでしょ私…」
「ん?若くみられるんならいいじゃん?」
そういう意味じゃないよ、瞬…。