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二人の世界

瞬の部活が無事決まって、数週間。授業の内容が本格的になってきた。


(それにしても…)


私の席から左斜め前に見える瞬の後ろ姿。なんであんなすらっとしてるのかなぁ、髪の毛さらさらだなぁ…というようにさっぱり授業に集中していない私だった。


こちらをチラ見して軽く微笑んできた時はなんだか恥ずかしくて顔から火が出るかと思った。


そんな授業の後、瞬は私の席に飛んできて言う。

「歩花歩花、さっきうちのこと見て何思ってたの?」

「な…に…って」


クラスメイトがわんさかいる教室でそういう恥ずかしいこと言うのやめてほしいです。


「なにも?」

「またまたー。うちが見たら顔真っ赤にして俯いてたくせに」

「…う」


恥ずかしさを思い出し、ううぅ…と唸り声を上げると瞬はいつもみたいに笑う。

「可愛い。可愛いよ、歩花のそういうとこ」


…この子は人をからかうのが好きなのかな。


私が何も言えなくなったのを見て、瞬は少し慌てた。「あ…歩花。ごめん、うち、つい…。嫌なときは遠慮なくやめろこのバカって言って?…歩花に嫌われるのはやだからさ」

「え…」

嫌なわけない。むしろ、瞬にいじられるのは、嬉しいかも…って私はマゾなのか?


「ううん瞬、恥ずかしいだけ…」

「ほんと?」

「うん、でもね瞬。あんまり公共の場では過度な発言しないでよ」


言いながら、なんか目が泳いだ気がした。

「…分かってるよ」

少し声の調子を落とし短く返事をしたした瞬は悲しそうな目をしていた。自分的には今までの流れで軽く言ったつもりだったけど、言わないほうがよかったのだろうか。


しょうがないのだ。


私達は女同士なのだから。


瞬が了解、というように親指を立ててウインクして自分の席に戻っていった。


周囲の話し声やら笑い声が急にはっきり聞こえ始める。自分の世界に入ってると周りが見えなくなるってホントなんだなぁ。


というより、二人の世界…かな。


みんなには知られてはいけない、二人の世界。





私は知らなかった。このとき私と瞬のやり取りをジッと見ていた人物がいたことを。

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