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Silver Breaker  作者: イリアス
第一章 目覚めへの第一歩
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第3話 強さの訳

えらい長らくお待たせしました(泣)

色々あったんです。テストとか論文とか……


2012/03/24改訂

 皆の前に立った先生が、ニヤリと笑って僕等を見回した。


「今年は製造の関係で遅れたが、いよいよ今日がお楽しみのメモリー・ウェポンの解禁だ」


『よっしゃー!!』


 皆ノリいーなー。ガッツポーズで飛び跳ねる皆に抱く感想なんてそんなもんだ。そんなに欲しい物かね、コレ?

 僕が首を傾げている間に、先生は更に言葉を続けた。心底楽しそうに笑っているが、僕は何か嫌な予感しかしないぞ……?


「さて、まずはトーナメント式勝ち抜きバトルをやろうと思う」




「はい?」


 あのノリは何処へやら、皆揃ってあの先生何言っちゃってんのっていう顔をする。まあ普通そーなるよな。僕も同感。殆どの人が武器なんて使ったことないのに……


「勿論理由はある。俺一人で教えるには数が多い。そこで毎年、数人の生徒(実力者)を教師役にまわすんだ。今回はその選別と思ってくれてかまわない」


 あ、そういうことか。納得。この学校、育てるのが天才達ばかりである以上、教師にも同等の知力・実力を問われる。それゆえ、絶対的に教師の数が少ないのだ。基本的に先生達は、一日に6限全て受け持ってる位に忙しい。


「取りあえず今日のうちに終わらせるつもりだからな。一番と二番来い」


 てっとり早くやりたいのか、強制的に出席番号順に生徒を呼び出す。しぶしぶ出てきた---前言撤回。嬉しそうに出てきた一番君と二番君は、揃って解放キーを呟いた。段々と武器の形をとる自分の得物に目を輝かせ、初めて武器を振るう事に歓喜している。

 そしてバトル……?が始まるが……


 剣の重さに耐えきれていないのか、振り回すように剣を使うA君(仮)と、盗賊よろしくシミター振り回すB君(同じく仮)。シミターとか、選ぶセンスを疑ってしまうがまあ、そこはいいか……

 とにかく感想は一言。


「素人……」


「ふつーはこんなモンじゃないのか?」


「オレとしては見てらんねーな」


 小さい頃から剣の手ほどきを受けているメイからみれば、相当見るに堪えないだろう。かくいう僕も……いや、これはいいか。とにかく、多少武術の嗜みがある者からすれば、お前何遊んでんの?と言いたくなる位には差がある。

 なんて言ってるうちに今度はアルの番が回ってくる。それに生徒の中では珍しくも顔色を変えず、アルは自然な動きで立ち上がった。


「あ、じゃあ言ってきます」


「行ってらー」


 そういって送り出すと、試合が直ぐに始ま……っ!?


「おいリーン……今の見たか……!?」


「……見た」


 瞬間的に終わってしまった戦いに、僕もメイも揃って目を見張る。アルの取った行動は、確かに相手が弱いといっても常軌を逸脱したもの。始まった瞬間に相手の槍を弾いて、首もとに剣を突き付けただけ。だが、並大抵で出来ることじゃない。少なくとも、素人が出来る行動では決してない。


 今まで、後ろから飛んできたボールを見ずに躱したり、武術をやってた素振りはあったが、今のは異常だ。アルは一体何者……?


 しかしそんな芸当を披露してきた本人はというと―――


「うわ、かなり鈍ってますね……はぁ……」


などとぬかしているのだ。緊張感ある空気を返して欲しい。

 そして呆気にとられる相手にお辞儀をして戻ってくる。が、そこでメイに首根っこを捉まれた。


「おい!あんなに強いなんて聞いてないぞ!」


「ええ!?そんなこと言われましても……!」


 縋るような目(糸目なので正直笑ってるようにしか見えない)で此方を振り向くが、ソルトはポカンとしていて使い物にならなく、僕もメイの意見に全面的に大賛成してるため、笑いながらこう呟く。


「どういう事か、説明してくれるよね」


 おおブルータス、お前もか。そんな台詞が聞こえるような気がする程がっくりと肩を落とすアルに、先生がニヤニヤと笑いながら声をかけた。


「ルーラ、教師一人目な」


「はい!?なんで僕!?」


 驚愕し、絶叫するアルに僕とメイはとある二択を考えていた。即ち、殴るか蹴るかだ。殴る方がなんとなくコントロールが効きやすいけど、威力のある足技も捨てがたい……確信犯も嫌だけど、天然も困ったものだ。

 一方クラスメイト達は、一か所に集って何かを相談してる。何だろ?どうも筆頭はクラスの委員長的役割のネリアさんっぽいけど……?



「皆、解ってるわね」


「勿論」


『メイとアル、リーンとは戦ってはいけない!!』




 ホント、何で盛り上がってるんだろうか……?

 っと、次はソルトか。脇をちらっと見たら既に始まっていた戦いに、僕は意識をそちらに移す。

 槍を持って突撃していくが、相手共々弱くて、プラス武器が重いのかヘロヘロしてる……うん、なんというか……


「弱い……」


「いや、普通はあれ位ですよ?」


「そうだけどお前が言うな」


 冷たい目で突っ込むメイに、なんでですか!?と叫ぶアル。それを横目で観察しつつ、ソルトの試合を観戦する。

 一応は突撃するも、隙だらけで甘く、恐らく士官学校の一年でも弾き返せる位の攻撃……って、一応此処も士官学校を兼ねてるんだった。あんま軍入りする人居ないから記憶の奥底に沈んでたけど。まぁ、正確には高等部から士官学校コースがあるだけで、中等部に上がったばかりの今の僕等にはあまり関係が無い。

 そんなこんなでなんとかソルトの勝ちらしい。……けど、ねぇ。あのレベルで勝ち負けっていうのも。


 なんて見てられない試合を見続けていくと自分の番。あ、メイの試合は三秒で決着ついたので描写なし。本人はもっと戦いたかったらしいけど……戦闘狂か、と改めて再認識してしまった。

 と、話を戻して僕の試合は……


「ええと、ごめん」


 そういって、直ぐに終わらせてしまった。弱いものイジメでいたぶり続けるよりは、瞬間的に終わらせた方が相手の為だろうし……と、こうして瞬間的に終わらせられる自分に、何とも言えないやりきれなさともどかしさを感じてしまう。


 聖なる烙印(神からの呪い)は、こういう時に無駄に発揮されるんだ。本当に大切な時は、何も出来ないのに……

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