どうしてこうなった・・・ 12
夢でサフィが出てきで、萌え死ぬかと思ったにゃんちゅうです。
あ、ロリコンじゃないですよ?
………ぽちゃん
戦場、そこは戦場だった。
人の形をした何かが転がり、人の一部だったものが散乱し、元は緑で包まれていたであろう草原も焼け払われ、大地は血で染まる地獄のような光景だった。
そんな戦場で唯一動くモノ。否、唯一生きている8人の集団がいた
――― 俺達いつまでこんな事しなくちゃならないんだよっ!
――― あいつらは、俺達を呼びつけ、自分達は戦わずに俺達だけに戦わせる・・・もううんざりだっ!
――― もうやだよ・・・帰りたいよ・・・・
――― 僕達もう帰れないのかなぁ・・・
その集団は15・6歳ほどの年若い少年少女達だった。
普段ならば笑顔であろうはずだが、今は悲しみや憎しみにとらわれていた。
――― 泣くな。希望を捨てるな。「帰れるのか?」じゃない、俺達は帰るんだ。
悲しみに暮れる少年少女達に語りかけながら近づく影が二つ。
一人は背が高く190cmにもなるであろう大男だった。
もう一人は深くフードを被ったすこし小さめの男。
彼らはこの集団のリーダー的な男達だった。
――― でも・・・でも、あいつらは俺達を開放するつもりなんてないんじゃないですかっ! もしそうだったらどうするつもりなんですか! ■■■さん!
大男にずっと溜まっていた思いを問いかける少年達
――― そうかもしれねーけどよ。でもな? そこで希望を捨てたら終わりなんだよ。俺達は帰るんだ、たとえどんなに時間がかかったとしても帰るんだよ。 そうだろう?
そう言う大男が隣にいる男に問いかける。
――― あぁ、諦めるな、たとえ何が起ころうとも、俺がおまえ達を守ってやる、そして帰るんだ。だから諦めるな。希望を持て。
そう言った男は不思議な男だった。さっきまで途方にくれていた少年少女達が男の言葉を聞いただけで笑顔を取り戻していったのだ。
――― やっぱりおめーは母ちゃんみてーだな。ははっ、ほらおめーら帰るぞ。
その言葉で帰途につく少年少女達、そして大男は動かないリーダーに少年少女達に聞こえないように問いかける。
――― なぁ、俺は間違ってるか?
その言葉に反応はなかった。
――― 俺は・・・諦めないぞ。おめーが示した方法以外で、必ず皆で帰るんだ。
――― そう・・だな。
――― まぁ今は帰ろうや。あいつらの前では笑顔でいてやろう。なぁ、■■■。
Side シャル
……ぽちゃん
どこかで水の音がする。
起きなきゃ・・・・。あれ? どうして俺寝てるんだっけ・・・
でもさっきの夢も気になる・・・夢? 濃厚な血の匂いまでしていたのにあれが夢? おかしい・・・いや今はそんな事よりどうして俺は寝てるんだろう?
・・・・・あぁ、そうだ。
数時間前―――。
俺達は魔法国家「マホテプ」と戦武帝国「セクメト」の境界線付近にある前線基地に辿りついた。
前線基地というだけあってすげー人が多い・・・というかほぼ街のようになってしまっている、すげーでかい砦だった。
んまぁ、一週間ほどの旅だったけど特にトラブルもなく順調・・・・
「ねー、アレス君。お姉さんと一緒に辺りを見て回りましょー?」
「あれー? 遅かったですね? 今からあたしとアレスでちょっと散歩に行こうとしてたんだー。ということでお邪魔虫はどっかいったいった」
アレスの腕をつかみ睨みあう女性が二人・・・・・アイシャとユリアさんなんだけどね。
いやいやお二人さん、周りをもっと見ましょうよ。兵士達が殺気だってますよー? まぁアレスが死ぬなら俺は構わないんだけど・・・アレスがいなくなったら今度こっちにとばっちりくるから勘弁してほしいんだよね・・・
という感じで道中はトラブル満載だったわけで・・・二人とも他人の目を気にせずアレスにイチャついて、アレスが離れると今度はどっちが俺の姉かで喧嘩して、
え? もちろん俺の存在は妹としてですよ? もう諦めの境地ってやつ?
ま、サフィが俺の後ろでプルプル震えて腕にしがみ付いて来てたからそこで癒されたけどね。ハッハッハー。
っていうかお二人さん、アレスの事では協力関係だったんじゃないの?
「「それとこれは別(にきまってるでしょ!)(よー?)」」
あっ、はい。
アレス達が補給物資の小隊長さんにお礼を言って。俺達5人は前線基地から離れて戦武帝国「セクメト」に潜入することになった。
「マホテプ」と「セクメト」の境界には大きな河「ケアノス河」が流れている。
ここでちょっと世界の地形を説明しておこう。
魔法国家「マホテプ」と戦武帝国「セクメト」はさっき言った通り「ケアノス河」で横断されていて3カ所ある大橋から通らないと駄目なんだ。
魔法国家「マホテプ」、戦武帝国「セクメト」と特に何の問題もない地形で隣接するのが商業国家「ケツアル」だ。商業国家なだけあって商人達が通り安くなるように各国へと続く道は整備されている。
所変わって宗教国家「クアム」は魔法国家「マホテプ」とは樹海で境界線を引いており迂闊に入国することもできない。戦武帝国「セクメト」とは氷山で境界線を引いておりこちらも迂闊に入国はできない。
よって「マホテプ」「セクメト」「クアム」はどの国へ攻め入ろうにも「ケアノス河」を経由しなくてはいけないため3国の主力部隊が集中してしまい。戦争中である今は、お互い迂闊に手を出すことができない状況ってわけだ。それでも小競り合い等が発生しているため死人がでることは頻繁だそうだ。
ま、話を戻そう。
というわけで、橋でも通らないと「セクメト」側へは行けないようになっていて、その橋からちょっと離れたところに前線基地があるんだけど、俺達は今、ユリアさんの案内で「マホテプ」側へ逆戻り中だ。
「ところでユリアさん、ティアさんも言ってたけど特殊なルートってなんなんですか? 「セクメト」へ行くには橋を通らないと・・・」
アレス、いい質問だ。だけどどうせ・・・
「うふふー、それはまだ秘密よー」
ですよねー。最近絡まれてわかってきたけどユリアさん結構お転婆だったよ・・・最初の頃のあの神秘的なユリアさんは何処へ!
「ユリアいい加減教えなさいよ。」
「んもー、アイシャちゃんも我慢できないんだから。じゃヒントね? 地上から行けないなら他から行けばいいじゃないー❤」
・・・・それヒント?
「あー、あたしなんとなくわかったかも」
え、アイシャすげぇ、俺全然わかんねぇぞ。アレスお前は馬鹿だからわかるはずねーよな!
「んー・・・なんだろう?」
首を傾けながらうなるアレス。それを見て可愛いーとアレスにくっ付く美女二人。
アレスなんて死んでしまえ。僻み? うっせ!
くいくい
服を引っ張られる感覚がする、振り向いてみると思った通りのサフィがこちらを見て満開の花が咲いたような笑顔で一言。
「シャルも可愛いよ! シャルの方が美人だもんっ」
・・・・・orz
アイシャやユリアさんに言われるより堪えるぜ・・・
サフィに言われた言葉を引きずりながらいつのまにか来ました。森の中、そして目の前には人の手を離れた年月を感じさせるほどボロボロになった、元は神殿だったであろう建物がありました。
「えーっと、ユリアさん? もしかしてここから?・・・」
苦笑いしながら喋るアレス、やっぱりと項垂れるアイシャ。
何々? ここ有名なの?
「そうよー。ここは知っての通り何年も前に発見された神の時代の建物なんだけど奥に進むにつれ魔物や罠が凶悪になってて、最奥には守護者がいてあまりの凶悪さに誰も中を調べようとする者が現れなかったあの「ヒュプノス神殿」でーす。」
ほー・・・・・・さぁて、帰ろうか
ガシっ
「「逃がさない(よ?)(ですよ?)」」
うぇーい、逃げ場なーし。
ってかまてまて、そんなやばい場所なら「セクメト」に辿りつけるかどうかもわかんないじゃん!?
「うふふー、実はねー「クアム」の歴史書にこの神殿から他国へ通じる地下通路があるって書いてあったのよねー、それに奥には財宝がいーっぱいあるみたいよ? お金持ちになればシャル君の大好物も食べ放題よー?」
ユリアさんが最後の方だけ俺だけに聞こえるように話してきた。
え? 財宝?
財宝発見 ⇒ 大金持ちになる ⇒ 赤い果実ちゃん毎日食べれる
「行こう」
気がついた時には口が動いてました。なんなの俺の口・・・・
「あはは・・・まぁ財宝に興味はあまりないけどたしかにここから「セクメト」に行くとは誰も思わないだろうから妨害される事はないかな?」
「あら、やっぱりお金なんて興味ない方なのね・・・うふふ、ますますアレス君の事気に行ったわー」
「はいはい、それじゃ行きましょ?」
それにしてもまた地下かー、なんか嫌な予感するなー・・・・・はぁ・・・
神殿から地下へと入ってすでに30分ほどが経過していた。
特に罠などに引っ掛かる事もなく、魔物も下級ランクばかりだったのでアレスがほぼ一人で退治し問題ない道中だった。
「いやー、アレスに魔物ほとんど任せちゃって悪いねー」
「いやまぁしょうがないよ、サフィには戦わせれないし、シャルは銃使いだからこの薄暗さじゃ狙いは付けにくいだろうし、ユリアさんの弓も狙い付けにくいし、アイシャの魔法だと洞窟壊すだろうからね。」
ここで新事実、なんとユリアさんは修道女で巫女で弓使いの狩人だったのだー。
っていうかね、前線基地に向かう途中での魔物退治もそうだったけどユリアさん「先視」っていう眼の能力で数秒先の相手の行動を視れるんだとさ。
なにそれ卑怯すぎじゃねって感じだよね!
ちなみにこの洞窟そんな薄暗いか? 全然明るいから狙いやすいんだけどなー、まぁ魔物狙ったふりしてアレス狙えるから黙っとこう。
アレスの周りに集まる美女はなんでこうありえない能力持ちなんだろうかね・・・・
「ちょっと! なんであたしだけ洞窟壊すの前提なのよ!」
「あははー、ご・・ごめんよアイシャ、でも道中を思い出したら・・・ねぇ?」
あとこの暴走女アイシャは杖をもらったおかげで暴力度が割増になりました。
今までは俺を足で蹴って来てたのに今じゃ杖で殴る方が・・・っていうかイタイ。すごいイタイ。
あとこいつ杖持っての戦闘ですさまじかったからね、小隊と一緒にいたときに魔物が出てきた時こいつが撃った下級水魔法で辺り一面凍ったからね。何事かと思ったよ。下級魔法であそこまでやるアイシャならまじで洞窟壊しかねん。
「と・・・ともかくこれから先まだまだ続くんだろうけど道ってわかるのユリア?」
「大丈夫よー、中心部までは一本道でそこから3本の道に分かれているらしいわ」
「中心部・・・かぁ、なんかすっごい嫌な予感するのは僕だけかなぁ・・・」
「そうね・・・これはセオリー通りなら守護者? がいるかもね」
はぁ、とため息を吐く我が幼馴染達。それを見て笑うお姉さま。
「大丈夫よ、アレス君もアイシャちゃんサフィちゃんもこんなとこじゃ死なないわよ」
そうかそうか、巫女さんが言うならここじゃ死なないんだろうな・・・・・あれ、俺の名前ありませんけど?
「まぁ巫女が言うなら大丈夫なんでしょうけどねー、それでも憂鬱だわ・・・」
「あはは・・・まぁ頑張ろうか」
「サフィも頑張る!」
いや・・あの・・・俺の名前が入ってない事に気がついてー?
うっわ、なんか進みたくねー。過去最悪なくらい落ち込んできた・・・・
その後、様々な罠を解除したり回避したり・・・っていうか何この罠?
凶悪っちゃ凶悪なんだけど・・・内容がさ、泥水がぶっとんできたり、骨が上からふってきたり、落とし穴の下にスライムの大群がいたり・・・・
死ぬ可能性0なくせして精神的にかなりクルものがあるっていう・・・・、いいのか罠がこんなんで? それに近寄ってくる魔物もさっきから下級ばっか、なにこれちょー余裕じゃん。
しっかし小さい虫おおいな! さっきから顔付近飛んできてうぜーっ!
「失せろ」
おっと、喋るつもりなかったのに喋るこの口本当どうにかなんねーかな。
「そ・・・そろそろ休憩しましょうか?」
おお、ユリアさんナイスアイディア!
各自、壁に寄り掛かったり地面に座ったりする。
俺は壁によりかかりながらユリアさんをちらっとみたんだ。そしてちょっと不思議に思ってしまった。ユリアさんが座ろうとしている岩が不自然に光ってて・・・・ってありゃ油じゃねーか! ユリアさんの服に油かかるなんてさせない!
っと思ってユリアさんを座らせるまえに声かけようとして一歩前に出たんだけどそれが間違いだったね。
なんだかって? そりゃあ、あれだよ。つまりだな・・・・コケタ☆
ユリアさんばかりを見てたから足元不注意で盛り上がってた岩に見事にね!
そして今俺は躓きながら前に進んでユリアさんに体当たりをかましたわけで・・・、死んだなこれは、いくらユリアさんが心優しい人でもさすがに体当たりされたら怒るよね・・・
はぁ・・・とか思ってたらさ不意に足元の感覚なくなるってさ、ん? っと思って足元みたらそこには地面がないわけよ。そう今俺は空中に浮いているってことさ!
当然俺は空中を歩ける能力とかあるわけもなく、実は翼がある獣人なんだぜ! っておちもなく重力に従って落ちるわけで・・・
なんかサフィの声が聞こえたような気がするけど・・・とりあえずさ?
うぉぉぉぉおおお! 助けて! 死ぬぅぅぅううう!
そして俺はなぜか黒い装飾銃「ネフティス」を上に投げて、意識と身体も奈落の底へと落ちていったんだ。
Side ユリア
私達は今、前線基地への物資を届け小隊の皆さんとお別れしてある所へ向かっています。
「ところでユリアさん、ティアさんも言ってたけど特殊なルートってなんなんですか? 「セクメト」へ行くには橋を通らないと・・・」
あらら、アレス君ったら我慢できない男は嫌われちゃいますよー?
「ユリアいい加減教えなさいよ。」
アイシャちゃんも我慢できないのねー、仕方がないわねぇ
「んもー、アイシャちゃんも我慢できないんだから。じゃヒントね? 地上から行けないなら他から行けばいいじゃないー❤」
「あー、あたしなんとなくわかったかも」
あら? アイシャちゃんはさすが魔法学院の主席なだけあって頭の回転速いわねー。シャル君はたぶん最初から気付いているだろうし、サフィちゃんも言わずもがな、ね。
アレス君は・・・・どうかしら?
「んー・・・なんだろう?」
きゃー! 首を傾けながらうなるアレス君可愛いわ! 小動物みたい!
アイシャちゃんと二人でアレス君の腕にしがみついたままでやっと着きました。
「えーっと、ユリアさん? もしかしてここから?・・・」
苦笑いしながら喋るアレス君、やっとわかったようだわ
「そうよー。ここは知っての通り何年も前に発見された神の時代の建物なんだけど奥に進むにつれ魔物や罠が凶悪になってて、最奥には守護者がいてあまりの凶悪さに誰も中を調べようとする者が現れなかったあの「ヒュプノス地下神殿」でーす。」
あら、シャル君どこに行くのかしら? 逃がさないわよ?
アイシャちゃんもシャル君に気付いたようね。アイシャちゃんとアイコンタクトしてシャル君で遊ぶ事にしましょう。
妹との交流も深めないとね❤
そうそう、前にシャル君の大好物も知った事だしここらへんで餌あげないとね
「うふふー、実はねー「クアム」の歴史書にこの神殿から他国へ通じる地下通路があるって書いてあったのよねー、それに奥には財宝がいーっぱいあるみたいよ?・・・・それにお金持ちになったら大好物毎日食べれるわよ?・・・・・・まぁ噂だけどね」
うふふ、財宝って言葉でアイシャちゃんの目はお金になっちゃってるし、シャル君は大好物あたりで動揺したわね・・・・まぁ最後のは聞かれなかったようだけど。
「行こう」
あら、意外とあっさりと動いたわね、慎重なシャル君にしたら珍しいわぁ、それだけ好きなんでしょうね・・・・これからシャル君動かしたい時は用意しておこうかしら?
「あはは・・・まぁ財宝に興味はあまりないけどたしかにここから「セクメト」に行くとは誰も思わないだろうから妨害される事はないかな?」
アレス君はやっぱりお金や権力に流されないタイプね、うーん。やっぱり可愛いしタイプね
「あら、やっぱりお金なんて興味ない方なのね・・・うふふ、ますますアレス君の事気に行ったわー」
「はいはい、それじゃ行きましょ?」
さて、ここでアレス君とシャル君の運命が変わるわね、その時をしっかり視させてもらうわ
神殿から地下へと入ってすでに30分ほどが経過していた。
最初からかなりの数の罠があったがすでに解除済みのものが多く、入口付近では困る事はなかった。
「いやー、アレスに魔物ほとんど任せちゃって悪いねー」
「いやまぁしょうがないよ、サフィには戦わせれないし、シャルは銃使いだからこの薄暗さじゃ狙いは付けにくいだろうし、ユリアさんの弓も狙い付けにくいし、アイシャの魔法だと洞窟壊すだろうからね。」
そうなのよねー、これだけ薄暗いと魔物がでても狙いつけれなくて私じゃ役に立たないのよねぇ、そのかわり強化魔法で援護してるけれど・・・
それにしてもアレス君を見ていたけど今の所実力に問題ないわね。
シャル君は・・・なんというか凄いわね、魔物が出て来るのに誰よりも早く気付いて目線でアレス君に知らせるんだから・・・・シャル君にとったらこの薄暗さなんて関係ないのね。さっきからアレス君の後ろを取ろうとしている魔物を殺気だけで動き止めてるし・・・・
それでもアレス君が理由をつけて戦わせないようにしてるのはやっぱりクロウさんとの戦いでの事かな?
「と・・・ともかくこれから先まだまだ続くんだろうけど道ってわかるのユリア?」
あら、話聞いてなかったわ。危ない危ない。
「大丈夫よー、中心部までは一本道でそこから3本の道に分かれているらしいわ」
「中心部・・・かぁ、なんかすっごい嫌な予感するのは僕だけかなぁ・・・」
「そうね・・・これはセオリー通りなら守護者? がいるかもね」
ふふ、そうねー、いるわよーこの地下通路を守る神の時代からの守護者がねー。でもあれくらい倒せる実力がないとこれから先地獄よ? だからがんばって倒してね。 ま、シャル君は大丈夫でしょうから他を安心させてあげましょう。
「大丈夫よ、アレス君もアイシャちゃんサフィちゃんもこんなとこじゃ死なないわよ」
「まぁ巫女が言うなら大丈夫なんでしょうけどねー、それでも憂鬱だわ・・・」
「あはは・・・まぁ頑張ろうか」
「サフィも頑張る!」
その後も道を進んでいたのだけど、これはさすがに予想外だったわ。
最初の頃の幼稚な罠など比較にならない様々な罠をあったんだけど・・・
シャル君がすべて解除していたの、そう、すごくさりげなく罠を解除し、私達の安全を確保し死ぬ危険性のない罠は放置するというね・・・
シャル君? 貴方は私に見せていない過去でなにをどうやったらこんな事ができるのかしら?・・・・
アレス君とアイシャちゃんは最初はわかっていないようだったけど段々異常にきづいてシャル君の行動に気付て苦笑いしてるわね・・・・サフィちゃんはシャル君の邪魔にならないように後ろにいてきらきらした目でシャル君を見ているし・・・・はぁ、本当私の予想を超えているわね・・・
でも、罠を超えていくにつれシャル君が不機嫌になっていくのが付き合いの浅い私でも分かったわ。
何を不機嫌になっているのだろうと、考えたのだけどそこでまた一つおかしな事に気付いたの、さっきから襲ってくるのは下級ランクの魔物ばかり、それも知能を持たず絶対的な強者にも襲いかかる哀れな魔物ばかり
そこでやっと私は思い知ったの、シャル君が中級魔物ランクを殺気だけで私達に来させないでいた事。この「ヒュプノス」には上級魔物がいる場所、それなのにさっきから私達に襲いかかるのは下級ばかり、シャル君が不機嫌なのはアレス君への負担を軽くできない自分の不甲斐なさを想っている事、
理性をもたない下級魔物が近寄る事はしょうがない事なのにシャル君は優しい子ね・・・
この二人はいいパートナーなのね・・・
そんな事を考えていた私は前方からくるそれに気付けなかった。
気付いた時には遅かったわ、アレス君やアイシャちゃんも私と同じくらいに気付いたようだったけど・・・
私達の足元・・・地面の中に上級魔物ランク「サンドティック」主に地中に潜り相手に接近を気付かれずに襲いかかり、対象の血をすべて抜き取る。かなりやっかいな相手。
私達はすでに4匹ほどに囲まれていて迂闊に動くことはできなかった。だけど・・・
シャル君が一歩前にでてうざったそうに腕を前方に降り払い、今までの比じゃないほどの濃密な殺気を放っていたの。
「失せろ」
たった一言、それだけで「サンドティック」は自分と相手との格を思い知ったのか我先にと逃げていったわ。
まったく・・・・この子は本当に・・・・
ふぅ、周りに魔物の気配はないし今の殺気だと当分何もこないと思うから休憩もいいわね
「そ・・・そろそろ休憩しましょうか?」
しまった。まだ動揺してたのか声が振るえちゃったわ
とりあえず休憩して休みましょう・・・
私の言葉で各自、壁に寄り掛かったり地面に座ったりしていた。
この時私は油断していたの、いくら未来が視えるといっても運命を何度も変えているシャル君といる以上、ここでの運命も変わるはずなのに私はその考えに至らなかった。
私も休もうと思い近くにあった岩に座ろうとした時にそれは起こった。
初めてみた、とても焦った顔でシャル君が私に向かってきた。
私は何が起こっているのか確認できず岩に座ろうとした体勢で固まっていたのだけど、シャル君が姿勢を低くしたままこちらに突進してきた。シャル君が通り過ぎた頭上を槍が通過するのを見てこの場所に仕掛けがあったと分かった。
そして槍なんか比じゃない罠が私の付近にあることにも・・・・。
シャル君は私がいた場所から押し出した。私がシャル君に押し出されシャル君を見るとちょうど罠が発動したのか、底が見えないほどの穴がシャル君の足元に開いていた。
そしてシャル君は重力に従って落ちていった・・・
「シャルーーーー!」
サフィちゃんがシャル君の後を追おうと穴に飛び込もうとしたけれど、シャル君が何かに反応したのか落ちながらも何かを上に投げた
シャル君に上に投げた何か・・・黒い装飾銃がサフィちゃんの横を通過し天井に当たり、真下に銃口をむけていた。
ガァン
轟音がなり、私が気付いた時にはシャル君を飲み込んだ穴は凍りついていた。
サフィちゃんは凍った穴の上に乗り茫然としていた。
「しゃ、シャル!!」
「あのヘタレ!」
アレス君とアイシャちゃんが動き出した。けれど私は動く事ができなかった。先視の巫女である私がこのような失敗をしてしまうなんて・・・その気持ちでいっぱいだった。
「これは・・・くそっ! シャルはまた僕らを助けてくれたのか・・・」
アレス君が凍った穴を見てそう言った。
私も穴に近寄ってそれが分かった。穴の側面から槍が出ており、もし凍っていなければサフィちゃんは串刺しになっていただろうと予測できるほどの・・・・
「穴だけじゃなく上も・・ね・・・」
アイシャちゃんは上を見てそう言った。アレス君と私が上を見ると銃が当たったであろう場所にはこちらの機を窺っていたのであろう下級魔物が天井からぶらさがって死んでいた。
「ごめんなさい。先視の巫女である私がこのような・・・」
「ユリアさん、謝らないでください。シャルだってそんなの望んでないです」
「そうよ、ユリアこれはあんたの失敗なんかじゃないわ、シャルに甘えていたあたし達にも非はあるしね、それにこんなとこでシャルは死なないわ、今は先に進みましょう。」
そうね・・・まだ付き合いの浅い私には分からないけれど、この子達はシャル君を信じている。私も信じなきゃね。シャル君のお姉ちゃんになるんだから・・・・
立ち上がり先へ進もうとしたけれど、サフィちゃんがシャル君の黒い装飾銃を大事そうに抱えいまだに穴を見続けていた。
「サフィちゃん? 先進んでシャル見つけよう?」
俯いたままサフィちゃんは動こうとしなかった。それをみてアイシャちゃんが歩み寄る。
「サフィ? 大丈夫だよ。シャルはこんなとこで死なないわよ」
「ちがうの」
小さく、とても小さくサフィちゃんが呟いた。
「シャル・・・サフィを必要としなかった・・・」
そう言って、顔をあげたサフィちゃんは、泣いていた。
Side シャル
…………ぽちゃん
あーもう・・・どこだよここ。
さっき落ちたとこから大分歩いたけど全然わかんねぇ。
結構な高さから落ちたっぽいけどとくに怪我とかしてないし、まぁ、よかったよかった。
「ネフティス」をなげちゃったのはやばかったけどあいつらがもってきてくれるっしょー。
にしてもここ、さっきの通路にくらべたら暗いなー。とはいってもあんま気になんない程度だしいいか。
はっ、今思い出したけどここって魔物出るんだよな・・・うわっ! さっきまでアレスが全部退治してたけど俺どうしよ・・・・あー、なんか憂鬱なったきた・・・・
まぁ、なんとかなるよな? よし、中心部に全部の道がつながってんだったらそこ目指すかー。いくぞー、さ・・・ふぃ・・・・
あー・・・くそ、いつもサフィが一緒だったからサフィいないとなんか調子狂うな・・・・
さっさとサフィと合流すっかね。たぶん泣いてるだろうしなぁ。
待ってろよー。サフィ
週別ユニークユーザ6000人も来てて正直びっくりでした!
感想など待ってます!