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どうしてこうなった・・・ 08.5

魔法大国「マホテプ」の首都、女王の間で二人の女性が対峙していた。

王座に座り、深くため息を吐いた女性がいた。その女性はこの世界では限られた一族しか持ちえない空色の髪で足まで届くほどの長さを持っていた。

顔の造形もただただ美しかった、彼女が魔法大国「マホテプ」の「美賢者」と呼ばれる女王であった。


「そう・・・その情報が正しいのであれば、この国は・・・いえこの世界が崩壊しかねないですね。」



女王はすこし思案し、



「ですがなぜ(わたくし)にこれを? 知っての通り先帝が死んだあの事件で我が国の民は憎しみを抱えております。私が憎しみで行動するとは考えなかったのですか?」


「憎しみを抱えているのは存じております。」



そう言った女性は「青」かった。上から下まで青で染まっていた。

海の底のような深い青色の髪を肩で切りそろえ、服も青い修道服であった。顔はヴェールに覆われていて見る事はできなかったが、細身のその体型で胸部の布を押し上げるその母性の塊が圧巻であった。

だが彼女を性的な目で見るには一般人では到底できそうにはなかった。彼女から滲みでる優しさ、また罪人でさえ許してしまいそうな「母」のような温かさが彼女にはあった。



「ですが陛下、陛下は先帝が亡くなった事件を独自で調べ、ある事実を知った。なので陛下は憎しみで行動する事はできません。それに何より陛下は憎しみを持ってはいません。」


「ふぅ・・・さすがは過去最高と謳われた巫女ですね。では貴女は何を望むのですか?」



何かを警戒するように青い彼女を見る女王



「3日後にここ「マホテプ」へ4人組の旅人がやってまいります。彼らとお会い下さい。そしてかの地へ導いて下さい。」


「・・・・その者達は今回の事に関わっている者なのですか?」


「過去に関わっていたかどうかは視えません。ですが彼らは「救う者」としての運命によりここから先関わっていきます。それと陛下の大切な人が2人おります。」



青い女性がそう答えた後、部屋の空気が一変した。

女王から発せられる威圧感が増したのだ。凍てつくような目で女王は青い女性を見ていた。



「貴女は・・・・私の大切な人を茨の道へと歩ませるつもりですか?」



女王から発せられる威圧感を前にしても青い女性は表情一つ変えることはなかった



「茨の道・・・・そうですね、確かに私は陛下の大切な人を奈落の底へ案内する悪魔の手先かも知れません。ですが彼は「救う者」という残酷な使命を背負いながらも決して道を間違える事なく進みます。彼は・・・いえ「ガイアの子」は必ず進みます。」



その言葉を聞き女王は威圧感を消し、深い緑色の目を閉じた。

女王がまだ王に即位する前、一時的にとある村に住んでいた時に知り合った。金色に輝くとても・・・とても綺麗な心をもったあの子供の事を思い出していた。



「そう・・・あの子が・・・「ガイアの子」・・・運命とはなぜこうも残酷なのでしょうか。いいでしょう貴女の言う通りかの地へを導きましょう」


「ご理解頂きありがとうございます。かの地は今、戦の最前線ですので誰にも気づかれる事もないかと思います。 それに・・・宗教国家「クアム」の「巫女」ユリアが彼らと伴に戦います。」


「・・・巫女は戦事には関わらないという鉄則があったはずではないのでしょうか?」



今まで一度も温和な雰囲気を崩さなかった青い女性が初めて困惑したような戸惑ったような空気をだしていた。



「・・・先ほど4人組と申しましたが、本来ならば男と女の2人組だったはずなのです。それが現在男と少女が加わっております。その者達は一時的に付き添っているのかは分かりません。ですが・・・男と少女の未来が・・・視えないのです。まるで世界から拒絶されたかのように・・・」


「過去最高と謳われた未来読みの巫女をもってしても分からないとは・・・」


「ですから私は知りたいのです。男と少女がどのような人なのか。どのような未来を歩むのか・・・・それに・・・・」


「それに?」


「いえ、すみません・・・男の方は・・・「黒」を纏っているのです。今まで見たこともないような純粋な「黒」を・・・」



その言葉を受け、女王は目を伏せ、小さく・・・小さくこう呟いた。



「「黒」・・・・ミレイ様・・・・」






その時青い女性が何を考えたのか、それを知ることは永遠にない。


その時女王が誰を想っていたのか、それを知ることは永遠にない。








if―――。


もしも、もし青い女性と女王がこの時お互いが知っている事を全て話していたならば、彼らは救われたのかもしれない。



if―――。


もし、青い女性と女王がもう一歩お互いに歩み寄ろうとしていたならば、神々の世から続く、今を生きる人達は忘れてしまった・・・世界の悪しき連鎖に気付いたのかもしれない。











だが、これは



if。



過去を悔んだ人達の願いが生んだ妄想。


世界はあまりにも・・・・彼らに対して非情だった。




色々やりすぎた感が否めない

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