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第ニ話「キスを回避したいけど奴隷にもなりたくね」その四

七月十四日


 期末試験結果発表。


「うわ……また順位が上がっている……」

「どんなもんだよ。委員長の奴隷になんてまっぴらごめんだからな」


 写メで撮った順位表を委員長は横から覗き込む。それより最近、こいつの距離が近い気もするけど気のせいかな?

 可愛いアクビや呼吸音を聴くのも慣れてきた。


 席が隣なので委員長を美少女だとアップデートされる毎日。

 目尻が切れ込んでいるクールなまなこ、端正な顔立ち、なのに喜怒哀楽の表情は豊か。お節介焼きでも人気者なのが頷ける。

 全体的に線は細く控えめ。胸は限りなく平面だけど……頑張れ。

 容姿端麗とはこいつの為にあるみたいだ。


 これだけ距離が近いのに俺達の関係は険悪なんだ。世の中バグってるな。


 幸い移動のため、いまは教室に誰もいない。

 普段だと周りを気にして俺達はそんなに話さないからお互い遠慮無しだ。

 大体、こんなところ誰かに目撃されたら変な噂になるし委員長へ迷惑が掛かるだろう?


「何かの間違いだよ」

「ふふん、やればできる子 なんだよ」

「まじムカつくわ。しばいていい?」

「——というかもうやめね? 俺は委員長の命令聞く気ないけど、キス強要する気もないんだ。ならさ、ここが鉾の納どころじゃないか? な?」

「いやだ。絶対やめない。あんたを真人間にすることが私の野望なのよ」


 そんな俺が不幸にしかならない野望は捨てなさい。


「でもさ、もう夏休みだからどのみちできないじゃん。二学期までお預けってことで……いいよな」

「は? 毎日合うに決まっているじゃん。あんたやっぱバカ? LINE教えておいてよ。連絡先ゲロしないと家に押し掛ける最終手段を執行するわよ」

「え? 嫌だよ。委員長横暴すぎるわ」

「委員長の特権でーす。井伊に拒否権ありませーん」

「まじか……」


 世の中に絶望して頭を抱える俺。


 委員長は今日の分だと、自ら接吻した手のひらを俺の頬へ押し当てた。

 いつ皆帰ってくるかわからない中で行った、とてもスリリングなキス。

 

 こうしてゲーム三昧を予定していた俺の貴重なぼっちサマーバケーションもポジティブ&リア充『島津成明』(しまづなりあきら)こと委員長に介入されたのだった……。

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