第ニ話「キスを回避したいけど奴隷にもなりたくねえ」そのニ
六月二十二日
今日は生徒会主導で大きな公園のドブさらい。風紀委員と美化委員も兼任してる委員長からボランティアとして強制労働させられる。
梅雨の影響で池が溢れることがあるから、こうして頻繁にゴミを回収しているのだ。
「納得いかん。どうして日曜日に無関係の俺がこんな汚れ仕事しなければならないんだよ。怠惰に過ごすのが俺のアイデンティティなんだぞ」
「はいはい。口より手を動かす。人手足りなかったんだから文句禁止でーす。男なんだからか弱い女の子にやらせるわけ無いわよね? 聞き分け悪いと足に無理矢理キスさせたことクラスで言いふらすわよ」
なんてやつだ。
風紀委員の仕事は文字通り風紀の乱れを正すのが仕事。美化委員の領分も兼ねているので何かと大変。それは分かるが俺を巻き込むな。
アリゲーターガーやワニガメはかじられたら洒落にならないぞ。
「何処がか弱いんだよ。学年上位のスポーツ万能ゴリラ」
「はぁ? 美少女捕まえてゴリラはないでしょ? スレンダーのナイスバディ捕まえてさ。それより今日のキスするよ」
日課である手の甲へキスする。——っておい、まだ洗ってねえぞ。情調もロマンスもない。
「うえええ、ドブの味がするよ……」
「ばーか、自業自得だ」
ある程度終わりの目処をつけると、一人の女子がバランス崩し沼へ落ちる。
すぐさま委員長はかっこよく飛び込み救助。そこまでは良かったが、本人も泳げなかったんじゃないか? 他の生徒達はそのことに気づかず現場から立ち去る。
「早く上がってこい! 委員長泳げないんだろ⁉」
対して委員長は勝ち誇った態度で、「ふははは、私に不可能なことはな————ブクブク」そのまま沈む。
慌てて俺は躊躇なく飛び込み委員長を救助した。
でも、お礼どころが早く助けなさいよとか陰キャラとか日和見主義とか散々罵詈雑言吐かれる。割に合わねー。
帰り際、不意に泥だらけの頬へキス。え? さっきやらなかったっけ?




