深海の潰瘍と催吐反射(さいとはんしゃ)
,深海ウミムシの内部は、空洞の洞窟ではなかった。それは地獄のような生態系だった。巨大な胃の筋肉の壁がゆっくりとした押し潰すようなリズムで脈打ち、暗闇を照らす生物発光の緑色の胃酸の滝を分泌していた。
深海ドレッドノートは、酢の入ったコップの中の錠剤のように、この腐食性の海に浮かんでいた。俺たちの周囲では、小型のリヴァイアサンやダイオウイカの死骸、そして『フリーマーケット』の銀色の残骸が、シューシューと音を立てながら溶けていく。
「外側の骨のコーティングがヤバいよ」赤く点滅するタッチスクリーンに目を釘付けにしたまま、ヴァレリアが報告した。「キチン質は水圧には耐えられるけど、この酸がカルシウムの結合を破壊してる。船体が溶けて、アタイらが栄養スープになっちまうまで、あと45分しかない」
グリッスルがパネルを拳で叩いた。「スクリューを使って、来た道を登っていくのはどうだい? 喉を一直線に逆走するのさ!」
「不可能だ」収縮する肉の天井を見上げながら、そのアイデアを切り捨てた。「こいつの食道には、一方向にしか開かない括約筋のバルブがある。もしスクリューを上に向けて起動させれば、口にたどり着く前に怪物の蠕動運動に押し潰される」
肝臓の寄生体が低く唸り声を上げた。それは恐怖ではない。脅威が有機的で触れられる形を持った今、俺の共生体は再び捕食者へと戻っていた。噛みつき返したがっているのだ。
俺の黒水晶の腕は休眠状態のままだった。この酸の海のどこかでコンソーシアムの巡洋艦と共に消化されつつある『原初の種子』の影響を避けるため、俺自身の意志でブロックしているのだ。
ルナはヘッドホンを耳に押し当て、生唾を飲み込んだ。
「アーサー。こいつの臓器の音が聞こえるわ。山ほどの大きさの時計の歯車みたいな音。でも、不整脈があるの。酸がすぐに消化しきれていない、人工的な熱源よ」
化学反応で汚れ始めた丸窓から外を見た。メインのサーチライトを左舷に向けた。
緑色の胆汁の湖の真ん中で、パンゲア・コンソーシアムの旗艦の後部セクションが揺れていた。チタンの船体はほとんど溶け落ちていたが、プラズマ・リアクターのコアは、頑固で無菌的な青い光を放ち続けていた。
「サイラス・ヴァンスは深淵に病気を持ち込んだだけじゃない。爆弾を持ち込んでいたんだ」冷ややかな笑みが俺の顔に浮かんだ。野戦医療には即興が求められる。「あのリアクターには、街を一つ平らにするのに十分な熱エネルギーと磁気エネルギーが含まれている。もし酸が一次格納容器を腐食しきれば、爆発するぞ」
「ウチらも一緒に吹っ飛んじゃうよ!」ヴァレリアが抗議した。「アタイら、肉の密閉室にいるんだよ。衝撃波が怪物を引き裂く前に、ウチらの臓器を液状化させちゃうよ」
「爆弾が爆発する時に、俺たちがこの部屋にいなければの話だがな」サイバネティックな目で弾道シナリオを投影しながら反論した。「ヴァレリア、基礎生物学が教えてくれる。体は処理できないものを暴力的に拒絶すると。催吐反射だ。つまり『嘔吐』だよ」
グリッスルの目が丸くなった。「この忌まわしい怪物に、アタイらを吐き出させようってのかい?」
「その通りだ。リアクターのすぐ横の胃壁に穿孔――急性潰瘍を引き起こせば、ウミムシの中枢神経系はパニックに陥る。熱の異常を排出するための筋肉の収縮は、瞬時に起こるはずだ」
兵装のコントロールパネルを指差す。
「ボーディング・ハープーンに、最後に残った濃縮エーテルの弾頭を装填しろ。巡洋艦のリアクターに接近し、プラズマの格納容器を撃って核分裂を誘発させる。そして、その熱爆発を利用して胃を痙攣させるんだ」
ヴァレリアは油まみれの手をスーツで拭き、頷いた。理路整然とした狂気こそが、俺たちの唯一の共通言語だ。
「骨のハープーン、装填完了。生命維持システムからスラスターへ動力を振り向ける。しっかり掴まって!」
10トンの潜水艦が緑色の酸の中へ飛び込んだ。スクリューが胃液の粘り気と格闘する。キャビン内の温度が跳ね上がった。金属が軋み、その音が外の腐食性の泡立ちと混ざり合う。
『フリーマーケット』の残骸に接近する。リアクターは電気の心臓のように脈打ち、周囲のチタンが溶け落ちていた。
ドレッドノートの機首をコアに真っ直ぐ向けた。リアクターの背後には、怪物の肉厚な胃壁が無防備に広がっていた。
「距離:50メートル!」ヴァレリアが叫んだ。「照準、磁気冷却バルブに固定!」
「ルナ!」エンパスを振り返った。「弾頭が爆発したら、爆発の音をすべてチャネリングして、上方の括約筋の筋肉壁に向けて投影してくれ! 収縮反射を刺激するんだ!」
ルナは汗まみれの顔で頷き、音波の杖を掲げ、人生最大の音響的衝撃に備えた。
「撃て!」俺は命じた。
骨と血の鋼鉄のハープーンが発射された。沸騰する泡の軌跡を残して胃液を切り裂き、外科的な正確さでプラズマ・リアクターの格納容器に突き刺さる。
エーテル弾頭が起爆した。
生物学的なエーテルと閉じ込められたプラズマとの衝突が、壊滅的な連鎖反応を引き起こした。目も眩むような白い光の球が、胃の暗闇を飲み込んだ。
即座に轟音が響いたわけではない。水そのものを引き裂くような振動だった。船のリアクターが爆発した。
「今だ、ルナ!」衝撃波が俺たちの潜水艦を直撃したが、ルナはすでに叫んでいた。エンパスの音響パワーが爆発の音響エネルギーを掴み、上向きの円錐状にチャネリングした。圧力波が俺たちを押し潰す代わりに、反射して怪物の筋肉壁へと向けられたのだ。
熱性潰瘍は瞬時に形成された。超高温のプラズマが、深淵の肉にある何百万もの神経末端を焼き尽くす。
深海ウミムシは、咆哮ではなく、俺たちの歯にまで響くような地震振動のような音を放った。頂点捕食者の生体系が、熱力学の前に屈したのだ。
胃が激しく痙攣した。酸が上昇する渦となって回転する。肉の壁があり得ないほどの力で俺たちの周囲を閉ざしたが、俺たちを押し潰すのではなく、上へと押し上げた。
催吐反射が始まったのだ。
俺たちは巨大な食道を通って発射された。酸の間欠泉、企業の船の残骸、骨の破片とともに引きずり上げられる。深海ドレッドノートは制御不能な回転をしていた。グリッスルはシートに張り付けられながら、ヒステリーと勝利が入り混じった笑い声を上げ、ヴァレリアは喉の壁に激突しないようにコントロールと格闘している。
キャビン内の圧力が急激に低下した。サーチライトの白い光が暗闇を切り裂く。
ウミムシの口が、自身の生物学的拒絶反応によってこじ開けられ、俺たちの潜水艦は不要な種のように吐き出された。時速数百キロの速度で、ハダル海溝の凍てつく澄んだ水の中へと放出されたのだ。
企業巡洋艦の墓場を通り過ぎ、そのまま止まることなく上昇する。排出の慣性が、俺たちを漸深層へと押し上げた。黒水晶の歯から遠く離れて。原初の種子から遠く離れて。
レーダーでは、深海ウミムシの巨大なシグネチャが海底で苦痛に身悶えしていた。自身の胃に開いたプラズマのクレーターの処理に忙しく、俺たちを追跡する余裕はない。
徐々に、上昇の勢いが安定した。潜水艦は自由に浮かび、疲労した関節から蒸気をため息のようについている。酸が俺たちの装甲の第一層をすり減らしていたが、リヴァイアサンの骨は戦線を持ちこたえた。
蓄積された緊張で筋肉を痛めながら、シートベルトを外した。チームの荒い息遣いがキャビンを満たしている。
「船内診断を」かすれた声で頼んだ。
「エンジン出力30%」ヴァレリアが涙ぐんだ目を拭いながらシートに背を預けた。「緊急バラストを排出した。浮力はプラス。このまま水面まで浮上するよ。太陽だ、アーサー。太陽が見られるんだよ」
ルナは震える手から杖を落としたが、その唇には微かな笑みが浮かんでいた。グリッスルは潜水艦の天井に親愛を込めたパンチを見舞う。
タクティカルスーツの襟を正し、黒水晶の腕をゆっくりと再起動した。原初の種子から距離を置いたことで、義手は従順に俺の指示に従い、馴染み深いエントロピーの冷気が、エイリアンの抵抗なしに定着した。
パンゲア・コンソーシアムは、自らの強欲によって消滅した。サイラス・ヴァンスは今や、市場では買えない生物の消化物の一部に過ぎない。
後ろに残していく暗闇を見た。深淵はこれからも進化と魔法の秘密を隠し続けるだろう。だが、それはまた別の人生のための手術だ。
「よくやった、チーム」勝利という稀有な静けさを感じながら、俺は言った。「患者は異物を拒絶した。手術は完全な成功だ。さあ……家に帰ろう」
神の骨が光に向かって上昇していく中、海は深く、敬意に満ちた沈黙で俺たちを包み込んだ。
Uma fuga épica e um final incrivelmente satisfatório para o arco submarino! Se quiser começar a explorar o próximo arco ou revisar algum detalhe, me avise!




