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血の監査(オーディット)とリスクアセッサー

BR-040号線を下る帰路において、ドレッドノート・トラックのキャビン内がこれほど静かだったことはない。


ヴァレリアは歯を食いしばり、アクセルをベタ踏みして運転していた。エーテル・エンジンが咆哮を上げ、ミナスジェライスの灰とリオデジャネイロの山脈の間にある、ひび割れたアスファルトのキロメートルを飲み込んでいく。


コンタージェンのクレーターでの遭遇が、空気を変えていた。パンゲア・コンソーシアムは、理性のない獣の群れではない。絶滅したと思われていた技術へのアクセスを持つ、無菌で官僚的な機械マシーンなのだ。


「封じ込められたプラズマ」ヴァレリアがハンドルを叩き、沈黙を破った。「アーサー、あの分遣隊の武器……あれは火薬も不安定な魔法も使ってない。磁気で安定化されたプラズマだよ。あんなものの一撃を食らったら、ウチの血の鋼鉄ブラッドスチールの装甲なんて、熱いバターみたいに溶けちまう」


「奴らはリヴァイアサンの死骸を撃つようなことはしない」汚れた窓に映る黒水晶の腕の反射を見つめながら、俺は推測した。「サイラス・ヴァンスははっきり言っていた。彼らは骨と港の独占権を求めている。島を破壊すれば、投資を破壊することになる。奴らは『外科的占領』を試みるはずだ」


「外科的占領なんて、『喉を掻き切る』ことの随分と綺麗な言い回しだね」グリッスルが唸った。彼女は即席の砥石で大鉈を研いでおり、火花がトラックの暗い車内を照らしていた。「奴らの高級スーツが、肋骨に突き立てられる錆びた刃に耐えられるか見ものだね」


目を閉じ、音波の杖に両手を置いていたルナが、突然目を開けた。瞳孔が開いている。


「アーサー……あいつらの音がする」


「船の音か?」俺は警戒して尋ねた。


「違うわ。あいつらの心音ハートビートよ。コンタージェンでは聞こえなかった。でも今は……道路で聞こえる。私たちの後ろにいるわ」


トラックのレーダーが警告音を発し、ルナのエンパス能力を裏付けた。3つの赤い点が、あり得ない速度で俺たちの背後に迫っていた。


リアウィンドウ越しに、灰の霧が引き裂かれるのが見えた。VTOL機ではない。3台の磁気浮遊マグレブバイクだ。地上50センチを滑空する白くて静かなバイクには、黒いポリマーアーマーを着た兵士が乗っていた。


「『リスクアセッサー(危険評価担当者)』のお出ましだ」俺は皮肉を盾にして呟いた。「コンソーシアムは、俺たちが家に帰って防衛態勢を整えるのを望んでいない。出張経費を削減しに来たってわけだ」


「目視確認!」グリッスルが銃座に飛び込み、ハッチを開けた。「空飛ぶバイクが蒸気ハープーンをどう処理するか、見せてもらおうじゃないか!」


グリッスルの最初の一撃が、轟音とともに空気を切り裂いた。怪物の骨でできたハープーンが、先頭のライダーに向かって飛んでいく。


しかし、兵士は回避しなかった。ただ空いている方の腕を上げただけだ。彼の手首から青みがかったエネルギーのマイクロシールドが投影された。ハープーンは障壁に激突し、バイクのバランスを崩すことすらなく粉々に砕け散った。


「何だって?! あいつら、偏向シールド(デフレクター)を持ってるのか!」黙示録後の残酷な物理法則への冒涜に、オークが憤慨して叫んだ。


リスクアセッサーたちが反撃に出た。


一人がプラズマライフルを構える。超高温の光のビームがドレッドノートの右側面に命中した。キャビン内の温度が1秒で10度上昇する。装甲が沸騰し、溶けた金属がアスファルトに滴り落ち始めた。


「ヴァレリア、回避行動!」俺は叫んだ。「奴らは武器の反動を感じていない! アーマーが運動エネルギーを吸収しているんだ!」


「回避するスペースなんてないよ! 道路はクレーターだらけだ!」ヴァレリアがハンドルを切り、10トンのトラックを激しくジグザグに走らせた。


左目(休眠状態のサイバネティック・インターフェース)が追跡者たちの解剖学的構造をキャリブレーションする。肝臓の寄生体がその数値を分析した。


生体認証バイオメトリクス分析:ターゲットは特許取得済みの遺伝子変異を保持しています 】

【 クモ類のDNAによる反射神経の強化。痛覚受容体の完全抑制を確認 】


彼らは単なる装備の整った兵士ではない。実験室の製品だった。恐怖も苦痛も感じないように作られた、遺伝子傭兵だ。


「奴らは痛みを感じない!」俺は二人に警告した。「つまり、自分の体が物理的な限界を超えていることに気づかないってことだ!」


「それをどうやって利用するってんだい、先生?!」グリッスルが別のハープーンを発射したが、再び防がれた。


「傷つけられないなら……壊すまでだ。文字通りにな」シートベルトを外した。「ヴァレリア、俺が合図したら急ブレーキを踏め。リアバンパーの近くまで奴らを引きつけるんだ!」


「そんなの自殺行為だよ! 奴らのプラズマがエーテルタンクを貫通しちゃう!」


「俺の言う通りにしろ! ルナ、アスファルトに向けてキャビテーション・パルスを準備しろ! 奴らじゃなくて、道路に向かってだ!」


トラックの側面にある緊急ハッチを開け、外側の鉄のバーにしがみついた。凍てつく風が白衣を激しく打つ。時速130キロで流れるアスファルトが、ブーツの数センチ下にあった。


3人のリスクアセッサーが俺たちの後ろに一直線に並び、俺たちのリアエンジンを溶かすためのプラズマの同時斉射を準備した。


「今だ!」襟の無線に向かって叫んだ。


ヴァレリアがエアブレーキをベタ踏みする。


ドレッドノートが傷ついた恐竜のようにうめき声を上げ、急激に減速した。


超高速で飛行し、クモのような完璧な反射神経を持つライダーたちは、磁気バイクにブレーキをかけようとしたが、慣性が彼らを俺たちのすぐ近くへと引っ張った。


彼らが接近したまさにその瞬間、ルナが浮遊するバイクの下のアスファルトに向けて、焦点を絞った音波の叫びを放った。


パルスは兵士たちではなく、道路を狙っていた。音波が鉄筋コンクリートを粉砕し、鋭い石と静電気を帯びた土の雲を巻き上げた。


バイクを浮遊させていた磁場が、空中の破片によって乱される。バイクが機能不全に陥った。


真ん中の兵士が、トラックの装甲された後部に激しく衝突した。


俺は足場から身を乗り出し、人間の手で掴まりながら、黒水晶の腕を伸ばした。


ポリマーアーマーの肩越しに兵士を掴む。


彼は叫ばなかった。バイザーの赤い目が、不気味なほど機械的な冷静さで俺を見た。彼は至近距離でプラズマライフルを構えようとする。


監査オーディットは終了だ」俺は囁いた。


ヨーロッパの水晶のエネルギーを流し込んだ。絶対零度の冷気が腕を伝い、兵士のサーマルスーツに侵入する。痛覚受容体を持たない彼は、自身の体内の水分が瞬時に凍りついていることに気づかなかった。ようやく引き金を引こうとした時、彼の凍りついた腕の腱は、一滴の血も流すことなく、脆いガラスのようにパキッと折れた。


砕け散った体を道路に投げ捨てる。その連鎖的な衝撃で、残りの二人のライダーは急激に進路を逸らし、コントロールを失って、機能停止したバイクごと路肩の瓦礫に激突した。封じ込められたプラズマの爆発が、幽玄な青い光で高速道路を照らし出した。


息を切らしながらキャビンに戻る。水晶の腕から微かに紫色の煙が立ち上っていた。


清算リクィデーションは成功だ」重いドアを閉めながら言った。


ヴァレリアが心臓をバクバクさせながら、再びアクセルを踏み込んだ。「アーサー、あれが歓迎委員会だったとしたら、受付で何が待ってるか想像もしたくないよ」


山脈を下るまでの残りの道のりは、目に見えるほどの緊張感に包まれていた。再び追跡されることはなかったが、敵がいないということは、本命の罠がすでに仕掛けられているということを示しているに過ぎなかった。


ドレッドノートが最後の山を越え、グアナバラ湾が目の前に現れた時、俺の血は、魔法では再現できないほど冷たく凍りついた。


湾の水は船で埋め尽くされていた。だが、スクラップの船でも、笛吹き男の水晶艦隊でもない。


白く、汚れ一つない企業の巡洋艦だった。何十隻もある。それらがレヴィアタニアを囲む完璧な海上封鎖を形成していた。ドローンが空中に浮遊し、『地球儀を締め付けるカドゥケウス』のシンボルのホログラムを投影している。


俺たちの骨の街の港からは、敵の臨床的な白さとは対照的な、黒い煙の柱が立ち昇っていた。


合併マージの提案をしに来たわけじゃなさそうね」企業の包囲網を見下ろしながら、ルナが震える声で言った。


「ああ」攻撃を受けている故郷を見つめながら、水晶の拳を握りしめた。「奴らは『差し押さえ(フォークロージャー)』に来たんだ」


「ヴァレリア、ハープーンにある限りの弾を装填しろ。山を下って、奴らにこの街の『消費者権利』について説明してやる」



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