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隔離(クアランティン)の炎と混沌の周波数

自然災害の前の静けさには、特有の重さがある。それは濃密で、電気を帯びており、オゾンの匂いがする。


俺たちはレヴィアタニアの管制塔の頂上にいた。死んだ神の頸椎の上に建てられた場所だ。グアナバラ湾の空は青くはなかった。北風が山脈から押し流してきた、茶色いすすで汚れていた。


ヴァレリアが、ヨーロッパの水晶で改造した短波ラジオの受信機を持って近づいてきた。彼女の顔はすすで汚れ、疲労が目の下に深い隈を作っている。


「20分前に、内陸から最後の信号を受信したよ」彼女は低い声で言った。「コンタージェンからだ。錆の女男爵から」


肝臓の寄生体が身震いした。工業地帯の禿鷹ハゲワシたち、列車の車両で作られたバリケード、そして女男爵のピストンの腕を思い出した。


「再生してくれ」


ヴァレリアがツマミを回した。ノイズが部屋を満たし、続いて重金属がアルミホイルのように引き裂かれる恐ろしい音と、酸が泡立つ音が聞こえてきた。


『……ヴェラス先生。あんたの診断は正しかった……』女男爵の声は息を切らし、爆発音にかき消されそうになっていた。『あいつら、森を食うだけじゃない。ウチの製鉄所も噛み砕いてる。私のバリケードは12分しかもたなかった。コンタージェンの溶鉱炉をオーバーヒートさせるよう命令した……女王を足止めするために、街ごと吹っ飛ばしてやる。あんたには……1日の猶予があるよ、先生。無駄にするなよ』


甲高い金切り音とともに信号が途切れた。


「彼女は俺たちに時間を稼ぐため、コンタージェンの工業地帯を起爆したんだ」曇った地平線を見つめながら俺は呟いた。「炎の止血帯トルニケだな。だが、出血はすでに迫ってきている」


実際、それは迫っていた。


グアナバラ湾の岸辺の土が震え始めた。大陸の振動に押し出され、水がわずかに後退する。そして、大陸の丘陵が海へと雪崩れ込んできた。


それは行軍ではなかった。『屍食いハキリアリ』の生きた滝だった。


数百万もの粘土と骨の甲殻が海岸を駆け下り、旧リオデジャネイロの廃墟を貪り食っていく。奴らが通った後には、アスファルトも、コンクリートも、ゴミすらも残らなかった。ただの焦土だけだ。


そしてそのシミの中心に、歩く山のようにそびえ立っていたのが『粘土の女王』だった。彼女の腹部は脈打ち、絶対的な飢えの集合精神で群れを統率する、緑色の指揮フェロモンの雲を噴出している。


アリたちは水際で止まらなかった。湾へと飛び込んだのだ。最初の数千匹は溺れるか塩で溶けて死んだが、彼女たちの死骸は後から来る者たちのための浮き橋となった。奴らはレヴィアタニアに向けて、死体の橋を建設していたのだ。


「ヴァレリア。ショック療法を開始しろ」俺は命じた。


ヴァレリアが街の全体通信機を掴んだ。


「反物質バリア起動! キャリブレーション最大!」


俺たちの骨の島の海岸沿いで、『脱出艦隊』から取り外されたエミッターが息を吹き返した。重低音が空気を引き裂く。紙のように薄いが、無限の密度を持つ黒い光の城壁が、俺たちと群れの間に立ち上がった。


バリアに触れた最初のアリたちは、単に「存在」しなくなった。酸の顎も、甲殻も、すべてが現実から消去された。


だが、粘土の女王は犠牲など気にも留めなかった。彼女は強引に潮を前進させる。毎秒何千匹ものアリが蒸発していくが、その絶え間ない衝撃がヨーロッパのエミッターに過負荷をかけ始めた。


レヴィアタニアの照明が点滅し始めた。エネルギーが枯渇しつつあるのだ。


「ネットワークが落ちるよ!」ヴァレリアがパネルを狂ったように叩きながら叫んだ。「あと3分でバリアが崩壊する!」


俺は無線を起動した。「グリッスル! ボイラーに燃料をくべろ! 脂肪を燃やせ!」


はるか下、島の奥深くでは、ウチのオークの将軍が両生類のミュータントや難民たちの港湾労働者チームを指揮していた。


「喜んで、先生! どのみち下は凍えそうだったからね!」


巨大なシャベルが、リヴァイアサンの石化した脂肪組織の塊を蒸気ボイラーに放り込む音が聞こえた。島が震えた。俺たちは文字通り、発電機を動かすために自分たちの足元の地面、守護神の死骸を燃やしていたのだ。


レヴィアタニアの煙突が、青い炎の柱と濃い煙を吐き出した。反物質バリアが安定し、より強く輝く。アリの潮は消去され続けていたが、女王は戦術を変え始めた。


彼女は立ち止まった。その腹部が膨れ上がり、骨を砕くような音が湾に響き渡る。


ハキリアリたちがバリアから後退した。奴らは互いの上に積み重なり始め、生きた塔、空高く何十メートルもそびえる昆虫の柱を形成し始めた。防疫線コルドン・サニテールを飛び越え、俺たちの街の通りに直接着地するつもりなのだ。


隔離クアランティンのバイパス(迂回路)を作っているな」左目で生きた塔の弾道軌道を計算しながら分析した。「ルナ。君の出番だ。全身麻酔をかけるぞ」


ルナはリヴァイアサンの頭蓋骨の頂上に立っていた。彼女の目の前には、オーディオ・エンジニアリングの怪物があった。大陸に向けられた巨大な音響シェルに溶接された、大西洋横断船のサイレンやスタジアムのスピーカーの山だ。


彼女は青ざめ、両手で音波の杖を握りしめていた。


「アーサー、もし私が奴らの周波数で歌ったら、共鳴でこの塔の構造が砕け散っちゃうわよ!」


「エンジニアリングは俺に任せろ」俺は前に出た。


黒水晶の左腕を上げた。その中にまだ眠っている『バベルのコード』の冷気が、寄生体の混沌としたマナと混ざり合う。巨大アンプの中央パネルに、火山ガラスの指を突き立てた。


腕の紫色の静脈が銅線と接続される。俺自身が生きたスタビライザー(安定器)となった。


「歌え、ルナ。衝撃は俺が受け止める」


アリの塔が街に向かって倒れ込んできた。昆虫の雨で空が暗くなる。


ルナは目を閉じた。彼女は人間のメロディーを歌わなかった。セラードで聞いた地殻の振動を模倣し、その感情の極性を反転させたのだ。それは地質学的な痛みの叫び、純粋な状態の地震ノイズであり、ヨーロッパの魔法と俺たちの機材の暴力性によって増幅されていた。


その音は、目に見えない津波として湾を直撃した。


甲殻を破壊したのではない。「メッセージ」を破壊したのだ。


ルナの周波数は、粘土の女王のフェロモンと神経コマンドを暴力的に無効化した。ハイブ(群れ)のリンクは、視神経に当てられたメスのような正確さで切断された。


ハキリアリたちは空中で停止し、無様に水中や反物質バリアの上に落下した。


そして、本当の混沌が始まった。


自分たちが一つの生命体であることを教えてくれる女王の声を失い、「根源的な飢え」が制御を奪ったのだ。数百万の屍食いハキリアリが周囲を見回し、すぐ隣にある最大のバイオマスと肉の供給源に目を向けた。自分たちの姉妹だ。


茶色い潮が、自らを貪り食い始めた。


行軍の羽音に代わり、顎が甲殻を引き裂く音が響いた。アリがアリの首を刎ねる。群れは、俺たちの防衛線のわずか数メートル手前で、瞬時に内戦状態へと陥り自滅した。


粘土の女王は吠え、白熱するフェロモンの波を放出しながら、必死に制御を取り戻そうとした。


だが遅すぎた。飢えで狂い、ルナの音で方向感覚を失った働きアリたちは、粘土の山に牙を剥いた。数千の昆虫が自らの母親を這い上がり、巨大な腹部を引き裂き、自分たちを産んだ女王を食い尽くした。


俺は膝をつき、アンプのケーブルから手を離した。水晶の腕は煙を上げ、焦げたオゾンの匂いを放っている。肝臓の寄生体は極度の疲労でうめき声を上げ、機能不全寸前だった。


ルナが俺の隣に崩れ落ちた。息を荒らげ、鼻から一筋の血を流している。


目の前の湾は、緑色の血と沈みゆく茶色い死骸の湖と化していた。脅威は兵器によって蒸発させられたのではない。自らの食欲によって消費されたのだ。


反物質バリアが断末魔のような羽音を立てて停止した。


ボイラーの黒い煙が街を覆っていた。俺たちは汚れ、傷つき、疲弊していた。足元のリヴァイアサンの死骸は黒焦げになり、質量を減らしていたが、それでもまだ浮いていた。


ヴァレリアが走り寄り、ルナが立ち上がるのを手伝った。グリッスルが整備用ハッチから姿を現した。角の先まですすまみれだったが、その顔には犬のような勝利の笑みが浮かんでいた。


「患者は寄生虫から解放されたかい?」額の汗を拭いながらオークが尋ねた。


静まり返った湾を、灰と死骸で荒廃したリオデジャネイロの海岸を見た。山脈の向こう、ブラジル中央部は今や、自滅する前のアリの潮によって殺菌された、空っぽの墓場となっている。コンタージェンの女男爵の溶鉱炉の仇は討たれたのだ。


人間の腕を支えにして立ち上がる。


原発巣げんぱつそうの腫瘍は切除された。昆虫の転移メタスターシスは、自身の喉に詰まって窒息死したよ」


ボロボロで血まみれの白衣を整えた。


隔離クアランティンは成功だ。手術室はついに清浄になった」


太陽が煙の雲を突き抜け、怪物、機械、そして生存者たちの街を照らし出した。俺たちこそが、瓦礫の主だ。俺たちこそが、新しい生態系だった。


「見事なチームワークだった。さて、誰か濃いコーヒーと、骨でできてないベッドを用意してくれないか」



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