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混沌の外交と神の義手

自由には音がある。そしてそれは、恐ろしい音だ。


俺は巡洋艦『最後の吐息』の上甲板にいた。人工的な冷気は消え去り、グアナバラ湾の湿った塩辛い熱気に取って代わられていた。


眼下では、そして停泊している艦隊全体では、混沌が支配していた。


数分前まで沈黙の殺人機械だった兵士たちが、今は胎児のように丸まり、自分の顔から水晶のインプラントを引き剥がし、自らが殺した人々や失った人々の名前を叫んでいる。


罪悪感から逃れようと海に飛び込もうとする船員たちもいた。


集合精神の「楽園」は終わったのだ。個性の二日酔い(ハングオーバー)が到来し、それはカニバリズム、殺人、そして極寒の抑制された記憶を伴っていた。


「船を沈める気だよ」自分の胸で反物質手榴弾を起爆させようとしていた将校を押さえつけながら、グリッスルが警告した。「パニックは伝染するんだ、先生。一人が撃ち始めたら、全員が撃ち始める」


「ヴァレリア」俺はしわがれた声で言い、欧州連合(EU)の破れた旗で包帯代わりにした左腕の断端スタンプを押さえた。「船のサウンドシステムを島のスピーカーに接続してくれ」


「システムは焼き切れてるわ、アーサー。バベルのコードがすべてを茶苦茶にしたのよ」


「即興でやれ。ルナの声を使え」弾薬箱に座り込み、周囲のあまりの痛みに共鳴して静かに泣いている歌い手を見た。


「ルナ。立て。今は感じるな。命令しろ」


ルナは涙を拭った。彼女はヴァレリアがパネルに無理やり「直結」させたばかりの緊急用マイクを手に取った。


「なんて言えばいいの?」震える声で彼女が聞いた。


「大丈夫だなんて言うな。嘘はつくな」俺は手すりに寄りかかり、絶望に満ちた顔の海を見下ろした。「彼らが今どこにいるのか、教えてやれ」


ルナが声を起動した。その音は何キロメートルにも渡って響き渡り、骨を震わせ、強制的に注意を向けさせる周波数だった。


『注目。脱出エクソダス艦隊』


集団の悲鳴が小さくなった。何千もの頭が旗艦の方を向く。


俺は彼女の手からマイクを奪った。


『俺の名はアーサー・ヴェラス。俺は、お前たちの神を殺した男だ』


完全な静寂が訪れた。


『笛吹き男は死んだ。ネットワークは落ちた。お前たちは再び、自分自身の頭の中で一人きりだ』


『痛むのは分かっている。核の冬を生き延びるために何を食ったか思い出しているんだろう。誰を処刑したか思い出しているんだろう』


『だが、お前たちには今、選択肢がある。海に身を投げて仕事を終わらせるか……目の前の島を見るかだ』


俺はレヴィアタニアを指差した。怪物の死骸は今、朝日に照らされ、煙突からの煙と生存者たちのバラック小屋で満ちていた。


『あれは難民キャンプではない。死ぬことを拒んだ怪物、ミュータント、生存者たちの国家ネイションだ』


『俺たちには食料がある。熱がある。そして、敵がいる』


『停泊したいなら歓迎する。だがルールは単純だ。「働かざる者、肥料となるべし」。自分の法を押し付けようとする者は、交換部品スペアパーツに変える』


マイクのボタンを放した。


「ヴァレリア、ドックを開けろ。グリッスル、トリアージ(選別)の準備だ。アクティブな反物質兵器を持っている奴は全員武装解除しろ。抵抗するなら射殺だ」


「厳しいねえ、先生」グリッスルが牙を見せて笑った。「気に入ったよ」


三週間後。


レヴィアタニアは変貌を遂げていた。


死体島のシルエットは今や、マストとクレーンで埋め尽くされていた。修復不可能な脱出艦隊の船は解体され、リヴァイアサンの肋骨に融合され、金属と水晶の浮遊居住区を作り出していた。


ヨーロッパの技術(反物質と黒水晶)が、ブラジルの技術(蒸気と生物学)に統合されつつあった。


それは新しい美学の誕生だった。【 熱帯性ネクロ・サイバーパンク 】。


俺はリヴァイアサンの頭蓋骨の中に作られた自分のクリニックにいた。


ヴァレリアが俺の新しい腕の調整を終えようとしている。


「はい、出来上がり」彼女が最後のネジを締めた。「気分はどう?」


俺は左腕を見た。


それは普通の機械義手ではなかった。


黒水晶の骨格(スターリング提督の死体から回収したもの)に、光ファイバーの人工筋肉(笛吹き男の技術)を纏わせ、寄生体を介して俺の神経系に直接接続されたものだ。


指を動かしてみた。即座に反応し、柔らかな紫色の光を放つ。


腕に皮膚はない。半透明で、内部を走るマナの回路が見えている。


触ると冷たいが、感覚はすべてある。


「握力は?」俺は尋ねた。


「コンクリートブロックを粉砕するにも、ブドウの皮を剥くにも十分よ」ヴァレリアが誇らしげに微笑んだ。「それに手首には小さなスロットをつけておいたわ。メスを接続したり……データドライブを差し込んだりできるようにね」


寄生体が振動し、自身の支配領域の新たな拡張を探索していた。


【 統合率:100% 】

【 新規ツール:生物学的ハッキング・インターフェース 】


「上出来だ」拳を握りしめる。紫色の輝きが増した。「ありがとう、ヴァレリア」


グリッスルがクリニックに入ってきた。カニの革とNATOの装甲板を組み合わせた新しいユニフォームを着ている。


大将ボス。北の国境で問題発生だよ」


「ミナスジェライスから偵察隊が戻ってきた。山が動いていると言ってる」


「動いているとは? 地震か?」


「いや。まるで大地が……目覚めようとしているみたいだってさ」グリッスルは心配そうだった。「それにもう一つ。内陸から繰り返し発信されている無線通信を拾った」


彼女はテーブルにレコーダーを置いた。


再生ボタンを押した。


古く、疲れているが、恐ろしいほどの威厳に満ちた声だった。


『……こちらエリオ・ヴェラス。フィールドテスト番号74。「孵化インキュベーションフェーズ」終了。「解剖エクロージョンフェーズ」を開始する……』


『アーサー……もし聞いているなら……メスを持ってこい。患者ペイシェントの準備はできている』


部屋の空気が凍りついた。


ヴァレリアとルナが俺を見た。


「あの人だ」俺は囁いた。「親父だ」


「笛吹き男は彼を純粋主義者ピュリストだと言っていたわ。人類と怪物を融合させたがっていたって」


「彼はゼロの日に死んだんじゃない。待っていたんだ」


俺は立ち上がり、新しい腕の重さを確かめた。


「窓」(リヴァイアサンの空っぽの眼窩)まで歩き、大陸を見つめた。


広大で、野生で、未知のブラジルが山脈の向こうに広がっている。


「俺たちは海を生き延びた。都市を生き延びた。集合精神を生き延びた」


「だが今は……『起源オリジン』に立ち向かわなければならない」


チームの方を振り返った。


ヴァレリア(建築家)。グリッスル(将軍)。ルナ(声)。


そして俺。外科医サージョン


「ドレッドノートを準備しろ。あるだけの反物質と蒸気を積み込むんだ」


「内陸へ向かう。エリオ・ヴェラスを見つけ出す」


「そして、家族の検死オートプシーを行うぞ」


レヴィアタニアに日が沈み、俺の水晶と肉の腕に反射していた。

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