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鉄の亡霊艦隊

隣の芝生は青いと言う。終末世界においては、隣の肉の方が新鮮だと言う。


俺は「肋骨山脈」の頂上にいた。リヴァイアサンの死体によって形成された島の最高地点だ。風が強く吹き、塩とバーベキューの臭いを運んでくる。


眼下では、レヴィアタニアの街が脈動していた。


鯨の骨と難破船の金属で作られた小屋が、石化した怪物の巨大な鱗にしがみついている。


蒸気タービン(ペトロポリスから輸入した技術だ)が回転し、死んだ獣の核から未だ放出される地熱エネルギーを利用していた。


「メス、4番」


俺は見ずに手を伸ばして要求した。


機械のアームが道具を渡してくれた。


「あたしは看護師じゃないんだよ、わかってるかい?」


ヴァレリアが右目の拡大レンズを調整しながら文句を言った。彼女はリヴァイアサンの油で汚れたつなぎを着ていた。


「お前は俺が知る最高のエンジニアだ。それにこれは手術じゃない。採掘だ」


俺はメス(実際には改造された空気圧式削岩機だ)を、石灰化した怪物の腺の表面に突き立てた。


バキッ。


青いマナ・クリスタルの欠片が剥がれ落ちた。


「エネルギー密度が低下してる」


モノクルでクリスタルを分析した。


「リヴァイアサンの死体は残留魔力を失いつつある。半年もすれば、ここはただの巨大で臭い岩になるぞ」


「街の防御バリアを維持するための新しいエネルギー源が必要だ」


「アングラの原子炉を再稼働させられるよ」


ヴァレリアが提案した。


「グリッスルが言うには、あそこのミュータントは腕が三本あるから生産性が高いらしい」


「癌のリスクも高いな。却下だ」


突然、警報が鳴った。


教会の鐘でも、電子サイレンでもない。


ルナの歌声だ。


街のスピーカーによって魔法的に増幅された彼女の声が、湾に響き渡った。低く、緊急性を帯びた緊張のメロディ。


【 接近警報。東セクター。海上地平線 】


俺は削岩機を置いた。


「『あごの港』へ行くぞ」


「顎の港」は文字通りリヴァイアサンの開いた下顎に位置しており、五十メートルの高さの歯によって守られた状態で船が停泊できるようになっている。


到着した時には、グリッスルがすでに防衛線を指揮していた。


《戦車ガニ(タンク・クラブ)》(現地の同盟ミュータントだ)と《蒸気センチネル》(ペトロポリスのロボットだ)の列が、外洋に向けて大砲を構えている。


ルナは犬歯の頂上にいて、双眼鏡を握っていた。


「アーサーさん!」


彼女はロープを降りながら叫んだ。


「これを見てください。魔物じゃありません」


俺は双眼鏡を受け取った。


大西洋の灰色の地平線、霧の中から艦隊が現れた。


現代の軍艦ではない。爆撃を受け、狂人によって再建された水上博物館のようだ。


錆びた豪華客船、継ぎ接ぎだらけの帆を張った空母、互いに縛り付けられて移動島を形成した漁船団。


数百隻はいる。


そしてそのすべてに、破れて汚れた各国の国旗がはためいていた。フランス、イギリス、ナイジェリア、スペイン……。


だが、先頭の船(輝くクリスタルで改造された第二次世界大戦の巡洋戦艦だ)に掲げられたメインの旗は黒く、白いシンボルが描かれていた。『割れた砂時計』だ。


「《脱出エクソダス艦隊》だね」


ヴァレリアがリーダー船の船体にペイントされた名前を読んだ。『最後の吐息ザ・ラスト・ブレス』。


「逃げているんだな」


俺は分析した。


「船の喫水線を見ろ。過積載だ。人が乗りすぎている」


街の通信ラジオがノイズを立てた。広帯域のオープン回線だ。静電気混じりの英語が聞こえてくる。


『こちら北大西洋連合ノース・アトランティック・コアリション、スターリング提督。接岸および補給の許可を求める。負傷者がいる。民間人がいる。そして……重要貨物センシティブ・カーゴがある』


グリッスルが海に唾を吐いた。


「重要貨物だって? トラブルの臭いがするね。向こうの戦争をこっちに持ち込む気だよ」


「断れば、彼らは死にます」


共感能力者エンパスのルナが言った。


「見てください。漂流寸前です」


「受け入れれば、俺たちが死ぬかもしれない」


俺は冷徹に返した。


「数ヶ月前にヴァレリアが傍受した信号では、ヨーロッパは陥落したと言っていた。もし彼らが大陸一つを滅ぼした疫病を持ち込んだとしたら……」


胸の寄生体が振動した。


【 長距離生物学的特異点検知 】

【 あの艦隊の乗員は、通常の熱を発していない 】

熱的署名サーマル・シグネチャ:絶対零度 】


「ヴァレリア」


俺は呼んだ。


「ドレッドノート(高速艇バージョン)を準備しろ。俺と、お前と、グリッスルで行く」


「ルナ、岸に残れ。もし奴らが敵対的な動きを見せたら、《二日酔いのハングオーバー・ヴォイス》を使え。大砲を向けようものなら、魂まで吐き出させてやるんだ」


俺たちのボートが巡洋艦『最後の吐息』に近づいた。


リオの熱帯の太陽の下でも、船体は黒い氷に覆われていた。


縄梯子が下ろされた。


登る。


デッキは満員だった。何千人もの痩せこけ、青白い人々が、かつてはブランド服やヨーロッパの軍服だったボロ布を纏っている。


だが俺を怖れさせたのは、静寂だった。


誰も話さない。誰も泣かない。子供たちは虚空を見つめている。


一人の男が出迎えに来た。スターリング提督だ。


イギリス海軍の制服を完璧に着こなしているが、その顔は……。


顔の半分は肉だった。もう半分は《黒水晶》だった。


水晶は内側から成長し、左目と顎の一部を置換していた。彼は唇を動かさずに話した。声は水晶の振動によって直接投影されている。


「ヴェラス総督」


金属的な声が俺の頭に響いた。


「出迎えに感謝する。新世界は……頑丈そうだな」


「総督じゃない。外科医だ」


俺は握手しなかった。


「そして俺の初期診断では、アンタたちは検疫隔離されるべきだと言っている。その顔は何だ、提督?」


スターリングは水晶に触れた。


「これか? 生存の代償だ。我々は『氷の賜物ギフト』と呼んでいる」


「北では……《裂けリフト》は魔物だけをもたらしたのではない。『寒冷コールド』をもたらした。凍死しないために、我々は適応せざるを得なかったのだ。水晶は我々を食料なし、熱なしで生かしてくれる」


「だが代償を求める。それは……共感を奪うのだ」


俺はデッキの難民たちを見た。全員、皮膚に水晶の斑点がある。何人かは生きた彫像となり、動かず、ただ観察しているだけだった。


「あんたたちは難民じゃないね」


グリッスルが包丁に手をかけて唸った。


「あんたたちは『ハイヴ』だ」


「組織化された人類の残滓だ」


スターリングが反論し、水晶が紫色に輝いた。


「取引を提案しに来たのだ」


「貴殿らはバイオマスを持っている。魔物の肉がある。熱がある」


「我々はテクノロジーを持っている。NATOの廃墟から回収した反物質兵器がある」


彼は船倉を指差した。


「そして囚人が一人いる。ヨーロッパを破壊した《疫病》の源だ。彼をここへ連れてきたのは……そうだな、神を解剖する方法を知る唯一の男がここにいると聞いたからだ」


寄生体が最大警戒レベルに入った。


【 危険。船倉のエネルギー源に見覚えあり 】

【 魔物ではない。設計者アーキテクトである 】


「船倉には誰がいる?」


空気が重くなるのを感じて聞いた。


スターリングが微笑んだ(あるいは顔の水晶が光を反射して笑顔のように見えただけかもしれない)。


「我々は彼を《笛吹きパイパー》と呼んでいる。ネズミを操るのではない。テクノロジーを操るのだ」


「そして彼は、貴殿の父親を知っていると言っている」


世界が一秒間止まった。


俺の親父、エリオ・ヴェラス。すべてを始めた男。クリチバで死んだと思っていた男。


「ヴァレリア」


俺は提督から目を離さずに低く言った。


「ルナに伝えろ」


「コード:生物学的封じ込めレベル5」


「俺のメスを通さずに、この船から誰も降ろすな」


俺はスターリングを見た。


「囚人に会わせろ。もしこれが罠ならな、提督……知っておいてくれ。俺はついさっきリヴァイアサンを中から殺してきたばかりだ。ガラス男にロボトミー手術をするくらい、公園の散歩みたいなもんだぞ」


スターリングがジェスチャーをした。船倉の扉が開き、熱帯の湿気を凍らせる冷たい蒸気を吐き出した。


「お先にどうぞ、ドクター」


俺はヨーロッパ船の暗闇へと足を踏み入れた。


局地戦は終わった。世界大戦が今、俺の港に停泊したのだ。



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