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生物学的二日酔い(ハングオーバー)と肉の大陸

神の消化管から排出されるという経験は、履歴書に書けるようなものではない。


だが物理学は無慈悲だ。入ったものは、出なければならない。


ドレッドノートは、酸性の胆汁と水圧で潤滑された砲弾のように、リヴァイアサンの最終括約筋から発射された。


俺たちは深海の暗い海中へと放り出された。


一緒に出たメタンガスの泡が膨張し、余分な推進力を生んで俺たちを海面へと押し上げた。


「吐かないで!」


垂直上昇する重力と戦いながら、ヴァレリアが叫んだ。


轟音と共に海面を突破した。トラックは空中に十メートル舞い上がり、回転し、そして水しぶきを上げて着水した。その衝撃で、ボディについた汚れが(部分的に)洗い流された。


緊急浮上システムが作動する。俺たちは浮いた。


静寂が訪れた。


怪物の咆哮はもうない。セイレーンの叫びもない。


あるのは、金属に打ち寄せる波の音と、俺たちの荒い呼吸音だけだ。


「私たち……五体満足ですか?」


ルナが震える声で聞き、手足がまだあるか確認した。


「トラックは密閉されてる」


ヴァレリアがパネルをチェックした。


「でも新しい塗装は台無しだよ。胃酸でポリッシュが溶けちまった」


「後ろを見てみろ」


俺はキチン質のバイザー(寄生体が維持する必要がなくなり、ひび割れて剥がれ落ちつつあった)のガラスを拭いて言った。


上部ハッチを開け、車両の屋根に出た。


太陽が昇っていた。そしてそれは、リオデジャネイロの新しい地理を照らし出した。


リヴァイアサンは死んだ。


だが、沈まなかった。


俺が奴のコアで引き起こした化学反応――エーテルによる石化――は、怪物の肉を瞬時に浮遊する軽石と石灰化したサンゴに変えていたのだ。


数キロメートルに及ぶその死体は、新しい島としてグアナバラ湾に浮かんでいた。ポン・デ・アスーカルからニテロイまで伸びる、白い骨と灰色の肉の山脈だ。


死体は、大陸になっていた。


「デカいねえ……」


プロテインバー片手に屋根に上がってきたグリッスルがコメントした。


「あたいらがこれを殺したのかい?」


「末期の消化不良を起こさせただけさ」


潮風を顔に感じながら、俺は訂正した。


「奴は内側から死んだ。免疫系が崩壊したんだよ」


ヴァレリアが海岸を指差した。


スラムの廃墟や、残ったビルの屋上から、人々が出てき始めていた。


生存者たちだ。トランス状態から目覚めた元・高潮教会の信者たち。変異した漁師たち。


彼らは死んだ怪物を見つめていた。


彼らが見ていたのは、大地・ ・だ。


「彼らは死体を植民地化コロナイズするだろうな」


俺は気づいた。


「一ヶ月もすれば、あの肋骨の上に街が作られるだろう。骨を採掘し、保存された肉を食うはずだ」


「リヴァイアサンは都市を破壊しに来たが、結局は次の都市の土台になったわけだ」


「皮肉だけが、宇宙で唯一不変の力ですね」


ルナがトラックの縁に座り、足を水面に向けてぶらつかせながら溜息をついた。


俺の中の寄生体が振動した。満足していた。神の味を「試食」し、そこから学習したのだ。


【 データ同化完了:深海圧力耐性 】

【 新スキル解禁:珊瑚の皮膚コーラル・スキン - 物理防御力200%上昇 】


「少なくともアップグレードは手に入ったな」


俺は呟いた。


「アーサー」


ヴァレリアが、旅の途中で修理した長距離無線機を調整しながら呼んだ。


「信号を拾ってるよ」


「教会か? ペトロポリスか?」


「違う」


彼女は眉をひそめ、周波数ダイヤルを回した。


「短波ラジオの信号だ。古いモールス信号だよ」


「北大西洋から来てる」


全員が動きを止め、リズミカルな「ツ・ツー・ツ」という音に耳を傾けた。


「何て言ってるんだい?」


グリッスルが聞いた。


ヴァレリアがノートを取り出し、翻訳を始めた。


『こちらアゾレス諸島、センチネル・ステーション……』


『南半球にてオメガ・シグネチャの消滅を検知……』


『視覚確認を求む……ブラジルはまだ存在するか?』


『誰か聞いているなら……《氷の橋》が砕けた。奴らは海を渡っている。繰り返す。ヨーロッパは陥落した。奴らは南へ向かっている』


信号が切れ、ノイズに変わった。


俺たちは沈黙し、海の無限の地平線を見つめた。


リヴァイアサンは唯一の個体ではなかった。奴はただの門番ドアマンに過ぎなかったのだ。


言及された「氷の橋」……おそらく、北で怪物を封じ込めていた魔法的な寒冷地帯が決壊したことを意味している。


「ヨーロッパが落ちた……」


ルナが低い声で繰り返した。


「パリも、ロンドンも……全部戦場になったんですか?」


「牧場になった可能性の方が高いな」


俺は白衣の前を閉じて答えた。


「外の世界は、ここよりも酷いことになってる」


グリッスルが包丁を拭った。


「じゃあ、あたいらが向こうに行って、後始末をしなきゃならないのかい?」


「いいや」


俺は笑った。疲れてはいたが、捕食者の笑みだ。


「俺たちはここを要塞化する」


「俺たちには今、肉の大陸がある。蒸気技術を持つペトロポリスがある。生物兵器を持つアマゾンがある」


「ブラジルはたった今、終末世界の超大国スーパーパワーになったんだよ」


俺はリヴァイアサンの死体島を指差した。


「あそこに接岸しよう。腐る前に松果体のサンプルを採取しなきゃならない。それにヴァレリア、ドレッドノートの修理には乾ドックが必要だろ」


ヴァレリアがエンジンをかけた。潜水トラック――今はボートだが――は静かに「肋骨海岸プライア・ダ・コステラ」へと進み出した。


太陽が廃墟と、新しい世界を照らしていた。


臭いは塩と、血と、好機チャンスのそれだった。


俺は寄生体に語りかけた。


『胃袋の準備をしておけ。メインディッシュはまだ出てきてすらいないぞ』



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