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アスファルトの潜水艦

潜水艦と鉄の棺桶の違いは、ボディに空いている穴の数だけだ。


俺たちは山麓にある旧国立発動機工場(FNM)の廃墟に身を寄せていた。ペトロポリスからの難民たちは放棄された倉庫に散らばり、ささやかな焚き火を囲んでいる。だが俺たちに休む時間はなかった。時計は進んでおり、外の海は待ってはくれない。


俺はドレッドノートのボンネットに帝国の地図を広げた。


「ここだ」


色褪せた点線を指差す。


「『ドン・ジョアンの鉱脈』。19世紀にグアナバラ湾の海底で金を採掘するために掘られたトンネルだ。浸水が始まって放棄された」


「このトンネルを辿れば、リヴァイアサンが巣作りしている場所の真下にある断層に出られる」


ヴァレリアが汚れたウエスで手の油を拭った。彼女は十トンのトラックを見つめていた。「象を飛ばしてみろ」と言われたような顔をしている。


「アーサー、このトラックは大砲の弾や空飛ぶロボットには耐えられるよ。でも沈んだ湾の底の水圧はどうだい? アルミ缶みたいに潰されちまうよ。完璧な密封シールとバラスト(重り)が必要だ」


「それに酸素も」


タイヤの山に座って水筒の水を飲んでいたルナが付け加えた。


「魚になるならともかく、三時間も息を止めるのは御免ですからね」


「蒸気セラフィムの肺があるよ」


グリッスルが青銅製の圧力タンクを三つ地面に投げ出した。山で撃ち落としたロボットから剥ぎ取った部品だ。


「こいつは空気を液体になるまで圧縮できる」


「上出来だ、グリッスル」


ヴァレリアが笑った。その目は終末後のエンジニア特有の狂気で輝いている。


「タンクをエアコンシステムに接続するよ。でも密封は……ゴムやシリコンじゃ持たないね」


俺は自分の手を見た。寄生体が振動し、俺が何を求めようとしているのかを察知した。


【 生体物質要求:拒否。宿主自身の骨密度維持のためカルシウムが必要 】


『黙って働け』


俺は自分の肝臓に向かって呟いた。


「密封は俺がやる」


ボロボロの白衣の袖をまくり上げて宣言した。


「寄生的なキチン質の樹脂を生成する。デバウアーの王が宇宙の真空に耐えるために使っていたのと同じ物質だ。宇宙に耐えられるなら、巨大な塩水たまりくらい耐えられるさ」


ヴァレリアが頷いた。


「じゃあ取り掛かろうか。潮が満ちてこの倉庫が水没するまで、あと十二時間だ」


組み立て作業は、残虐性と精密さのバレエだった。


グリッスルと数十人の屈強な難民たちが重い金属部品を持ち上げ、フロントガラスの上に予備の装甲板を溶接し、中世の騎士のバイザーのような小さな視認スリットだけを残した。


ヴァレリアは後部に《精製エーテル噴射タービン》を取り付け、排気管を流体力学的スラスターに改造した。


俺は六時間かけて、車両のすべてのドア、窓、ハッチの継ぎ目をなぞった。


指先から黒く粘着質な液体を分泌し、それは数秒で硬化して骨と昆虫の甲殻のような層を形成した。トラックは文字通り、金属の装甲の上に生物学的な殻を作り出していた。


カルシウム喪失の痛みは耐え難いものだった。ペトロポリスから盗んだ栄養流体(「缶詰肉」だ)を飲み続け、気絶しないように体を無理やり動かしていた。


「見た目が最悪です」


ルナが鼻をつまんでコメントした。


「巨大なカブトムシと戦車を掛け合わせたみたい。それに焦げた爪の臭いがします」


空力エアロダイナミクスは美学なんて気にしないさ、ルナ」


俺は息も絶え絶えに答えた。


「機能するなら、それは美しいんだ」


嵐の雲の向こうで日が昇ろうとする頃、《アスファルトの潜水艦》は完成していた。


古い鉱山トンネルは工場の裏手にあった。腐った木の扉はグリッスルによって叩き壊されていた。トンネルは恐ろしいほどの四十五度の角度で、基盤岩の完全なる闇へと続いていた。


難民たちを集めた。


かつて食肉工場の奴隷だった老人が、俺の手を握った。


「海の神を殺しに降りるのですか?」


「神なんていないよ、じいさん」


俺は冷淡に、だが悪意なく答えた。


「ただ不便なサイズをした生物学があるだけだ。山の高いところにいろ。もし二十四時間以内に俺たちが戻らなければ……ミナスジェライスへ走れ」


俺たちはキャビンに入った。


リサイクルされた空気、汗、オゾンの臭いが強い。ヴァレリアが追加した補強梁のせいで、内部は狭くなっていた。


制御パネルは紫と青の光で輝いている(帝国のテクノロジーと俺の寄生魔法の融合だ)。


「全員、五点式シートベルトを装着」


ヴァレリアが運転席に座り、ハンドルの代わりに設置されたダブル・スティックを握って命じた。


「グリッスル、圧力制御。ルナ、音響レーダー。アーサー……あんたはドクターでいてくれ」


「点火」


俺は言った。


ヴァレリアがエーテル・エンジンを起動した。ディーゼルエンジンのような轟音ではなく、金属の蜂の群れのような甲高く一定した唸り声がした。


履帯が石の床を噛む。


トンネルに入った。


下りは、地球の中心へ向けた制御された落下だった。


ヘッドライトのビームが闇を切り裂き、塩水を滲ませている岩肌を照らす。降りれば降りるほど気温は下がり、空気は重くなった。


【 深度:海抜マイナス200メートル 】


寄生体が網膜にデータを直接投影する。


【 外部圧力上昇中。キチン質シールド安定 】


「湿ってきたよ」


強化ガラスを伝い落ちる水滴を見ながら、グリッスルが呟いた。


「トンネルは最後まで続いてない」


タブレットの地図を読みながら俺は説明した。


「鉱夫たちは海底火山の地殻にぶつかって掘削を止めたんだ。岩の壁があるはずだ。そこを突破しなきゃならない」


「固い岩盤を突破するんですか?」


ルナが目を丸くし、ベルトを握る指を白くさせた。


「何を使って?」


「ヴァレリア?」


俺は運転手を見た。


ヴァレリアが笑った。パネルのLEDに照らされた狂気的な笑顔だ。彼女は天井の赤いスイッチを入れた。


「水晶宮の扉を吹き飛ばすのに使った衝角ラムを覚えてるかい? 先端を《ブラッド・スチール》でコーティングして、油圧システムに直結させたんだ。壁にぶつかるんじゃない。穿孔ドリルするんだよ」


トラックが激しく振動した。


前方、ヘッドライトがトンネルの行き止まりを照らした。ひび割れた黒い火山岩の壁があり、そこから海水が凄まじい圧力で噴き出している。


「息を止めろ!」


ヴァレリアが叫んだ。


媒質転換ミディアム・トランジション!」


彼女はスロットルを全開まで押し込んだ。


ドレッドノートが突進した。


トラック前面の回転する衝角が岩盤を打った。


ズガガガガガッ!


音は海水の暴力的な流入によってかき消された。


壁が崩れた。海が俺たちを飲み込んだ。


衝撃は時速八十キロでコンクリート壁に激突したようなもので、直後に絶対的な浮遊感が襲ってきた。


キャビンがきしむ。俺が生成したキチン質が音を立てたが、ガラスは持ち堪えた。冷たく泥だらけの水がトラックを完全に包み込む。


沈んだグアナバラ湾の底にいた。


「スラスター!」


きしむ金属音に負けないよう叫んだ。


ヴァレリアがレバーを引いた。履帯が止まり、後部の排気管が高圧液体エーテルのジェットを噴射した。


トラックが水中で安定し、油圧サスペンションが海流を補正する。


「浮いてるよ!」


ヴァレリアが安堵して笑った。


「つまり、スタイリッシュに沈んでるってことさ!」


装甲の隙間から外を見た。


十メートル先は見えない。水は泥、怪物の血、沈んだ都市のゴミで飽和していた。リオデジャネイロの残骸が幽霊のように通り過ぎていく。ねじれた道路標識、アスファルトの塊、巨大な骨。


「ルナ、『目』が必要だ」


俺は言った。


「アクティブ・レーダーだ」


ルナは唾を飲み込み、トラックのパネルから伸びたケーブルをソニック・バトンに直接接続し、スタッカートのメロディを囁き始めた。チッ、チッ、チッ……。


音が水中を伝わり、反射して戻ってくる。メインモニターに緑色の三次元ソナーマップが描かれた。


「海底まで五十メートル」


ルナが画面を読んだ。


旧市街セントロの廃墟の上です」


突然、彼女の声が詰まった。ソナー画面のほぼ全体が、動く巨大な赤い影で埋め尽くされたのだ。


「アーサーさん……」


彼女が震える指で指差した。


「頭上を大陸が泳いでます」


俺はモニターから目を上げ、ガラス越しに上を見た。


上の水の暗闇が、さらに暗い何かによって突然遮られた。


地区ブロック一つ分ほどの大きさがある甲羅が、ゆっくりと俺たちの「潜水艦」の上を通過し、水面から降りてくるわずかな光さえも遮断した。


排水量による水流が俺たちを押し下げる。


リヴァイアサン。


新しい海の神。


俺たちは前菜ですらない。奴の靴底についた微生物だ。


寄生体が俺のDNAの奥深くへと退却した。


【 戦術警報:逃走不可能。正面攻撃の成功率:0.0001% 】


「正面攻撃はしない」


俺は手術用手袋を起動しながら言った。


内視鏡検査エンドスコピーを行う」


「ヴァレリア、奴の腹を追尾しろ。えら呼吸用のダクトを見つけるんだ」


「中に入るぞ」


ドレッドノートは暗い深淵へと発進し、世界の終わりの影を追いかけた。



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