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黒い粘性(ビスコシティ)とピッチの歌

閉所恐怖症とは、閉ざされた場所への恐怖ではない。叫ぶ必要があるときに、肺を膨らませる十分な空間がないことへの恐怖だ。


グアナバラ-南ゾーン間のパイプライン内部は、直径四メートルのコンクリートと鋼鉄のチューブだった。水没していたが、水で満たされているわけではない。濃厚で油っぽい黒い泥で満たされており、俺たちの水陸両用トラックは、冷えた糖蜜モラセスを切る切れ味の悪いナイフのように、苦労して進んでいた。


「深度三十メートル」


ヴァレリアが緊張した声で告げ、目は計器盤に釘付けになっていた。


「外圧でボディが凹み始めてる。もし漏れたら、トラックは五秒で油まみれになって、あたしたちは魔法の石油で溺れ死ぬよ」


「相変わらず楽観的だな」


俺は強化ガラス越しに黒い液体を観察しながらコメントした。


外では、フォグランプが辛うじて暗闇を突き刺していた。「油」は不活性ではなかった。ゆっくりとした、催眠的な海流のように動いている。骨の欠片や瓦礫が、その粘液の中に浮遊していた。


「臭いが入ってきてるよ」


グリッスルが濡れた布で鼻を覆った。


「クジラの墓場の臭いだ」


「まさにその通りだからな」


俺は携帯分光計を分析した。


「これは普通の化石燃料じゃない。《壊死性ヘモグロビン》だ。古代の海棲モンスターの血液に、産業廃棄物と黒魔術が混ざっている。高潮教会は文字通り、湾の底の腐敗をポンプで汲み上げ、都市に供給しているんだ」


突然、トラックが激しく揺れた。エンジンが咳き込む。


パネルのライトが明滅した。


「何ですか?」


ルナが座席の肘掛けを掴んで聞いた。


「乱気流かい?」


ヴァレリアが推測した。


「この粘度の流体に乱気流は存在しない」


俺はシートベルトを外して答えた。


「何かがぶつかったんだ」


キャビン内の照明を消し、外を見やすくした。


ガラスに顔を近づける。


最初は、油の中のただの染みに見えた。闇の中の、より濃い影。


だがその時、影が笑った。


ピッチの中に顔が形成され、外側のガラスに張り付いた。目はない。空っぽの穴と、割れたガラスや鋭いゴミでできた歯が並ぶ、裂けた口があるだけだ。


石油人魚オイル・セイレーンだ」


俺は囁いた。


彼女は歌わなかった。叫んだ。


音は液体とガラス越しにこもっていたが、振動でトラックのシャシーがきしんだ。


黒く、長く、不定形の手が液体から伸び、ワイパーを掴んで引き剥がそうとした。


「他にもいるよ!」


リアハッチから外を見ていたグリッスルが叫んだ。


「排気管から入ろうとしてやがる!」


トラックが減速し始めた。周囲の粘液が密度を増し、硬化していく。セイレーンたちは流体の粘性を操作し、俺たちを琥珀の中のハエのようにその場に閉じ込めようとしていた。


「ヴァレリア、加速しろ!」


「踏み込んでるよ! プロペラがロックされた! タービンに入り込まれたんだ!」


トラックは完全に停止した。


死んだエンジンの静寂は恐ろしいものだった。


外では、数十の黒い影が車両の上を滑り、隙間を探していた。金属が引っ掻かれ、腐食する音が聞こえる。シュゥゥゥ……。


「酸性だ」


サイドドアに急速に広がる錆びを見て、俺は気づいた。


「装甲を溶かして入ってくるぞ」


「撃っても無駄だね」


グリッスルが苛立たしげに包丁を構えた。


「切っても刃が溶けるだけだ。それに奴らは液体だ、すぐに元に戻っちまう」


「アーサーさん!」


ルナが怯えた顔で俺を見た。


「火は?」


「揮発性ガスが充満したパイプの中でマッチを擦ってみろ。爆発でリオデジャネイロにクレーターができて、俺たちはバラバラになって月に飛んでくぞ。火気厳禁だ」


速く考えろ。


基礎生物学だ。奴らは汚染とマナでできており、魔法的な表面張力で形を保っている。


ダイラタンシー流体(非ニュートン流体)だ。衝撃に対しては硬化するが、継続的な振動に対しては液状化する。


「ルナ!」


俺は彼女を見た。


「お前が武器だ。音は空気中より液体中の方が四倍速く伝わる。そして高密度の固体中ではさらに良く伝わる」


「何をすればいいんです? 叫びますか?」


「いや。共鳴させるんだ」


俺はトラックの天井を指差した。


「バトンをボディに押し当てろ。トラック全体をお前のスピーカーにするんだ。低く、不協和なノートを歌え。油の表面張力を破壊する周波数だ」


「歯が抜けそうなんですけど」


彼女は文句を言ったが、バトンを天井の金属に押し当てた。


「ヴァレリア!」


俺は運転手に向き直った。


「点火の準備をしろ。油が『液状化』したら、奴らが再び固まる前にエンジンをかけるチャンスは三秒しかない」


「了解」


「グリッスル、密閉箇所を守れ。もし入ってきたら、粉末消火器を使え。奴らを乾燥させられるのはそれだけだ」


「アンタはどうするんだい、ドクター?」


俺の目が紫色に輝いた。寄生体が俺の手からマナの触手を伸ばす。


「俺は排水溝ドレインになる」


俺は冷たい金属のドアに手を置いた。


寄生体がオーラで物理的な壁を透過する。反対側にいるセイレーンたちを感じた。冷たく、有毒で、憎悪に満ちている。汚染の魂そのものだ。


「ルナ、今だ!」


ルナがバトンを起動した。


ブォォォォォォン。


トラック全体が振動した。骨が揺さぶられるのを感じる。音が金属を伝わり、外の油へと拡散していく。


反応は即座だった。


硬化して車両にしがみついていたセイレーンたちが、形を保てなくなった。音響振動の下で物理的な結合力を維持できず、体が「崩れ」始めたのだ。


顔が溶ける。爪が水たまりになる。


「スープになっていくよ!」


リアウィンドウから見ていたグリッスルが叫んだ。


同時に、俺は《マナ・ドレイン》を起動した。


ピッチを動かしていた魔法エネルギーを吸い取る。


最悪の味だった――古いバッテリーと腐った魚の味だ――だが、効果はあった。


形を保つ魔法を失い、音によって物理構造を破壊され、セイレーンたちはただの不活性な油へと溶解した。


プロペラ周りの固形ブロックが解ける。


「今だ、ヴァレリア!」


ヴァレリアがキーを回した。エンジンが咳き込み、喉を鳴らし、咆哮した。


液状化した粘液の中でプロペラが自由に回転する。


トラックが前方に急発進し、溶けたセイレーンの残骸を轢いて進んだ。


俺たちは暗いチューブを加速し、危険地帯を後にした。


「あと一キロは振動を続けろ!」


口の中に有毒マナの金属的な味を感じながら、俺は命じた。


「再形成させるな!」


絶対的な緊張の中で、さらに十分間進んだ。


ついに、トンネルの先に光が見えた。太陽光ではない。青白く、無菌的な人工光だ。


パイプラインが終わろうとしていた。


巨大な金属格子に到達した。その向こうには、巨大な沈殿池がある。


格子に激突する前に、ヴァレリアがブレーキをかけた。


「着いたよ。南ゾーン処理施設だ」


エンジンを切る。静寂が戻ったが、セイレーンの圧迫感はもうない。


ルナを見た。音響的な負荷で、少し鼻血を出している。


「いい仕事だったぞ、スピーカー」


「二度と頼まないでください」


彼女は血を拭った。


「脳みそがミルクセーキになった気分です」


グリッスルが窓の外を見た。


「ドクター……ここを見な」


格子の向こうを見た。


俺たちはコルコバードの丘の基部に掘られた、巨大な人工洞窟の中にいた。


そして中にある沈殿池に浮かんでいるのは、油だけではなかった。


卵だ。


車ほどの大きさがある半透明の卵が何千個もあり、青い光で脈打っている。中ではパイプラインの血液を吸って成長中の、海獣のシルエットが見えた。


そして池の上、鎖で吊り下げられているのは、建造中の巨大な船の船体ハルだった。


方舟アーク


木造ではない。磨かれた怪獣(Kaiju)の骨で作られている。


「脱出船を作ってるんじゃない」


俺は恐怖に囁いた。


生物学的空母バイオ・キャリアーを作ってるんだ。海を使って大陸に侵攻するつもりだ」


「どうやって入るんだい?」


ヴァレリアが聞いた。


俺は格子の上にある換気ダクトを指差した。


「トラックはここに置いていく。ここからは徒歩だ。静かにな」


「敵の保育器ナーサリーに来ちまったな。そしてどうやら、母親が誰かもわかったみたいだ」


俺たちはトラックを出て、腰まである油水に浸かり、格子まで泳いだ。


ヴァレリアが水中バーナーを使って道を開ける。


高潮教会の《モンスター工場》に侵入した。


インセンスとホルマリンの臭いが強い。遠くから詠唱が石壁に反響して聞こえてくる。


リオデジャネイロの宗教の真の顔が、今明かされようとしていた。そしてそれには鱗があった。


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