永遠の飢えの典礼(リタージー)
贅沢とは、この世で最も優れた麻酔薬だ。モルヒネよりも強力で、マナよりも中毒性がある。純絹を着せて合成キャビアのカナッペを出しておけば、人々は空がなぜ電離放射線の色に輝いているのかなんて尋ねたりしない。
俺はイタリアンカットの白いスーツ(ヘリックスのロビイストのクローゼットから盗んだものだ)を着ていた。サイズはヴァレリアが安全ピンで見えないように調整してくれた。ルナはバリアの光を反射する銀色のイブニングドレスを纏い、本物のエリート令嬢のように見えた。ヴァレリアは窮屈そうな黒いパンツスーツを着て、「役員秘書」を演じている。
俺たちはブラジリア大聖堂の身廊の中央にいた。
ニーマイヤーによる曲線を描く白い柱が空へと伸びるその構造は、いつだって印象的だった。だが今は、恐ろしい場所に変わっていた。
色とりどりのステンドグラスは、透明な《マナ・クリスタル》のパネルに置き換えられている。そして天井から金の鎖で吊り下げられているのは、彫刻された天使ではなかった。
剥製にされた熾天使だ。
白と金色の翼を持つ魔物たちが、永遠の祈りのポーズで保存されている。そのガラスの目は、信者たちの動きを追っているように見えた。
「ここの匂い……」
通り過ぎる枢機卿に営業スマイルを向けながら、ルナが囁いた。
「甘いです。甘すぎます」
「鎮静フェロモンだ」
俺はカフスボタン(実際にはガイガーカウンターだ)を直すふりをしながら呟いた。
「空調にオキシトシンとマナ蒸気を混ぜて送ってるんだよ。ここの全員、薬物的に幸福感と服従心を誘導されてる」
大聖堂は満員だった。ソヴレニティの上澄みたちだ。将軍、企業のCEO、メディアの有名人。全員が狂信的な崇拝の眼差しで中央祭壇を見つめている。
祭壇の中央には、《光の柱》が聳え立っていた。
近くで見ると、それは単なる光ではなかった。粒子の奔流だ。
アーサー(寄生体)が俺の肝臓のあたりで、怯えて縮こまった。
【 分析:気化バイオマスの流動。方向:宇宙空間 】
「紳士淑女の皆様」
柔らかいが、空間全体に響き渡る声が満ちた。
照明が落ちる。スポットライトが教皇の玉座を照らし出した。
彼が入ってきた。いや、浮遊してきた。
皇帝教皇アウレリウス。
見た目は三十歳くらいだ。肌は文字通り黄金色で――金粉を浴びたように見えた。宝石のついていないシンプルな白い法衣を纏い、作られた謙虚さを演出している。
彼は歩いていなかった。足は床から五センチほど浮いている。
「我が子らよ」
アウレリウスが両手を広げた。彼のオーラはミゲルのように攻撃的ではなかった。それは……「空虚」だった。
「今日、我らは昇天を祝う。今日、我らは星々との契約を更新するのだ」
「心拍がない」
俺はヴァレリアに囁いた。
「サーモグラフィーで見た。奴の体温は室温と同じだ」
「アンデッドかい?」
ヴァレリアが口の端で聞いた。
「いいや。人形だ」
俺は目を細めた。
「奴は構成体だ。アバターだよ。支配している『何か』は、あの体の中にはいない。あれはただのアンテナだ」
儀式は進んだ。詠唱、幻覚作用のある香。
そして、「秘蹟」の時間が来た。
白衣を着た若者の列が祭壇に上がり始めた。「選ばれし者たち」だ。遺伝子くじの勝者、最良の家系の子息たち。全員が喜びで輝いている。
彼らは自分たちが力を授かり、新たな聖騎士に変身するのだと信じている。
最初の若者、十八歳の少年がアウレリウスの前にひざまずいた。
皇帝が少年の額に触れた。
「肉体は束の間のものである。光こそが永遠なり。其方は、我らの守護の燃料となることを受け入れるか?」
「受け入れます!」
少年は感動に涙した。
アウレリウスが微笑んだ。彼は少年を優しく押した……光の柱の中へと。
俺は少年が浮き上がるのを期待した。翼が生えるのを期待した。
だが俺が見たのは、生物学に適用された核物理学だった。
体がエネルギーの奔流に触れた瞬間、彼は解体された。
血は出なかった。皮膚、筋肉、骨……すべてが輝く粒子となって崩壊した。少年は瞬時に原子化されたのだ。彼の質量は純粋なエネルギーへと変換され、空へと撃ち出され、バリアと宇宙への信号を養った。
群衆が恍惚の溜息をもらした。
「彼が昇天したぞ!」
誰かが叫んだ。
「人を……食べてる……」
ルナが俺の腕を強く掴み、爪がスーツの生地を裂いた。
「アーサーさん、あいつら子供を生贄にしてバリアを維持してるんですか!?」
「バリアだけじゃない」
俺は吐き気を堪えながら言った。
「バリアは副作用だ。主目的は信号への給餌だ」
「親父の言う通りだった。地球は牧場なんだよ。そしてブラジリアは高級屠殺場だ」
皇帝は続けた。一人また一人と、若者たちが光に入り、存在しなくなっていく。
生贄が捧げられるたびに、柱の脈動が強くなる。
外の宇宙空間で、何かがこの「出前」を受け取っているのだ。
突然、視線を感じた。
皇帝からではない。
聖歌隊席の近く、影の中からだ。
俺は目立たないように頭を向けた。
柱に寄りかかっている男がいた。儀礼用の鎧の上にフードを被っている。顔の半分は合成包帯と粗雑なサイバネティック・インプラントで覆われており、急いで再建されたかのような有様だった。
だが、見えている片目……あの冷たい青い目を、俺は知っていた。
ミゲルだ。
クリチバでの爆発を生き延びたのだ。だが無傷ではなかった。彼は壊れ、焼かれ、周囲の空気を酸っぱくさせるほどの憎悪を発散させていた。
彼と目が合った。
彼は叫ばなかった。衛兵に通報もしなかった。
ただ、笑った。傷だらけの笑顔で。
そして地下聖堂へと続く通用口を指差した。無言の招待状だ。「暗闇の中で決着をつけよう」という。
「見つかった」
俺は低く早口で言った。
「ミゲルがいる」
「あのアークエンジェル?」
ヴァレリアが太腿のホルスターに隠した銃に手をやった。
「ここに? ミサの最中に?」
「奴はカメラの前では攻撃してこない。個人的な復讐を望んでいる」
俺は通用口を見た。
「そして、あそここそが俺たちが行くべき場所だ。地下聖堂は光の柱の基部に通じているはずだ」
「罠ですよ、アーサーさん」
ルナが警告した。
「わかってる。だが唯一開いているドアだ」
ポケットから小瓶を取り出す。《濃縮アルマジロ・アドレナリン》。
「準備しろ。ミサは終わるが、通夜が始まるぞ」
俺たちは感動しているふりをしながら群衆の中を移動し、側面へと向かった。
自らの子供たちのジェノサイド(大量虐殺)に拍手を送るエリートたちの列を通り過ぎながら、俺は冷たい明晰さを感じていた。
俺はただ信号を切るだけじゃない。
この大聖堂ごと叩き潰してやる。
脇の廊下に入った。聖歌の音が遠くなる。
クリプトのドアは開いていた。螺旋階段が闇へと続いている。
ミゲルはいなかった。すでに降りたようだ。
「ヴァレリア、無線でグリッスルを呼べ」
俺はネクタイを外し、襟のボタンを緩めながら命じた。
「二十分以内にトラックを通用口に回すように伝えろ。壁をぶち破って来いとな」
「私たちは?」
ルナがバトンのクリスタルを点灯させて聞いた。
「地獄へ降りる」
俺は階段の深淵を見つめた。
「悪魔は細部に宿る(The Devil is in the details)と言うがな。そいつが衛生清掃班の扱い方を知ってるか、見物だ」
寄生体が俺の皮膚を黒い鎧で覆っていく。白いスーツが裂けた。
外交の時間は終わりだ。




