狩猟の熱力学
オペラ・デ・アラメの湖水はただ冷たいだけではなかった。そこには「作為」があった。エンジンオイルのように粘りつき、溺死者たちの囁きを運びながら、皮膚の毛穴から侵入しようとしてくる。
俺たちは対岸に這い上がり、黒い泥を吐き出した。
地上の空気はまつげを瞬時に凍らせるほど冷たい。
「動いて!」
ヴァレリアが鋭く囁き、ルナを灰色の苔に覆われた岩陰へと引きずり込んだ。
頭上、オペラ座の金属構造の上を、五つの黒い影が水銀のような流動性を持って移動していた。《黄昏部隊》だ。奴らは走らない。流れるのだ。
赤いレーザー光線が、数秒前まで俺たちがいた岸辺を薙ぎ払った。レーザーが触れた泥がジュッと音を立て、ガラス状に結晶化する。
「高収束プラズマ兵器か」
俺はタクティカル・ゴーグルについた泥を拭いながら分析した。
「無音で、薬莢を残さず、傷口を瞬時に焼灼して出血の痕跡すら残さない。掃除屋のプロだ」
「退屈なプロだね」
グリッスルが震えながらぼやいた。寒さがハーフオークの爬虫類的な血に影響し、動きを鈍らせている。
「これじゃ戦えないよ、ドクター。筋肉が強張っちまってる」
俺はバッテリー残量低下で点滅している腕時計のホログラムマップを見た。
「ここはパウロ・レミンスキー採石場の斜面だ。三十メートルの岩壁になってる。登ろうとすれば格好の的だ。ここに留まれば凍死するか、蒸発させられるかだ」
「森に入るしかないわ」
ルナが北に広がる密生したアラウカリアの森を指差した。
「あそこなら霧がもっと深いです」
「霧が深いのは《濃霧の亡霊》で溢れてるからだよ」
ヴァレリアが言い返した。
「だが、幽霊とレーザーなら、幽霊の方がマシだね」
俺たちは樹林帯へと走った。
クリチバの終末後の森は静かだった。平和の静寂ではない。捕食の静寂だ。地面は松葉の厚い層で覆われ、足音を消してくれるが、同時に罠のような根を隠している。
【 近接警報 】
【 後方よりターゲット3名接近中。速度:40km/h 】
「機動外骨格を使ってやがる」
俺は警告した。
「走りじゃ撒けないぞ。カモフラージュが必要だ」
「カモフラージュ?」
ルナが自分たちの汚れた制服を見た。
「奴らのサーモグラフィーで見たら、私たちなんて体温でピカピカ光って見えますよ、アーサーさん!」
「その通りだ」
俺は足を止めた。地質学的亀裂地帯によくある、ボコボコと泡立つ泥の温泉だまりを見つけた。腐った硫黄の臭いがする。
「全員、泥の中に入れ。今すぐだ」
「ああ、冗談だろ」
ヴァレリアが抗議した。
「硫黄は嗅覚センサーをブロックする。そして泥の熱は俺たちの体温を周囲と同化させ、熱感知を盲目にする。シュワルツェネッガーの戦術だ。ただしバクテリア増し増しだがな」
返事を待たず、俺はルナを泥沼に突き落とした。彼女は首まで沈み、息を止める。ヴァレリアとグリッスルは悪態をつきながらも続いた。
俺は最後に飛び込み、変異した巨大なタロイモの葉で頭を覆った。
数秒後、部隊が到着した。
葉の隙間から見えた。三人だ。その鎧は魔法工学の芸術品だった。光を吸収する黒いセラミックプレート、顔のないヘルメットにはV字型のバイザーが赤く輝いている。
彼らは泥沼の二メートル手前で停止した。
リーダー(狼のヘルメットの男)が手を挙げた。部隊は完璧な同期で静止する。
彼が前腕のスキャナーを起動した。青い光の扇が森をスキャンする。
光が泥沼の上を通過した。
俺は息を止めた。寄生体が俺の心拍数を毎分10回まで低下させ、仮死状態へと移行する。
『信号ロスト』
リーダーの声が歪んで響いた。
『ターゲットは軍事レベルの対抗措置を心得ている』
『散開して追跡せよ』
別の兵士が命じた。
『オークのフェロモンの痕跡はここで途絶えている』
彼らはそこで永遠とも思える一分間を過ごした。外骨格のサーボモーターが唸る音が聞こえる。
そして、手信号一つで、彼らは北へと飛び去った。サイバネティックな忍者のように木の枝の間を跳躍していく。
俺たちはさらに二分待った。
泥から這い上がった俺たちは、沼の怪物のような有様だった。
「人生最悪」
ルナが耳についたヒルを引き剥がしながら吐き捨てた。
「私、ポップアイドルだったんですよ。キラキラのラメをつけてたんですよ。それが今は硫黄の泥まみれ」
「泥が命を救ったんだ」
俺は顔を拭った。
「だが奴らはすぐにミスに気づく。中立地帯へ急ぐぞ。リッチが言っていた宿屋だ」
俺たちは行軍を再開した。今度はより慎重に。
夜が完全に更けた。気温はマイナス20度まで急降下した。
アーサー(寄生体)が再び飢えを訴え始めた。体温を維持するためにカロリーが必要なのだ。
突然、ヴァレリアが足を止めた。彼女は手を挙げ、静粛を合図する。
前方の霧の中に、明かりが見えた。
ソヴレニティの冷たく無菌的な光ではない。暖かく、オレンジや黄色に揺らめく光だ。
笑い声が聞こえる。アコーディオンの音楽。焼けた肉(本物の、味付けされた肉)の香りが漂ってくる。
シビック・センター(官庁街)だ。
廃墟と化した政府の建物が、城壁のように要塞化された居住区を囲んでいる。その中央、かつては博物館だったと思われる石造りの建物から、煙突の煙が上がっていた。
ドアの上に掲げられた木の看板が風に軋み、焼きごてで描かれた下手くそな絵が見えた。
『三つ首の犬亭』
そしてその下に小さく:『英雄、徴税人、パラディン(聖騎士)の入店を禁ず』
「陸地だ」
グリッスルが溜息をついた。食べ物の匂いで筋肉が蘇っているようだ。
俺たちはドアへと歩いた。スーツを着た二体のゴリラ・ゾンビ(文字通り、破れたタキシードを着た蘇生ゴリラだ)が入り口を塞いでいた。
彼らは俺たちをジロジロと見た。泥、血、違法武器、そして下水の臭い。
ゴリラの一体が唸り、手を差し出した。
ヴァレリアがリッチのスタンプが押されたパスポートを渡す。
ゴリラは書類を確認し、次に俺を見た。俺の首元の臭いを嗅ぐ。
彼は「人間」の臭いを嗅いだのではない。寄生体を嗅ぎつけたのだ。
門番の顔に、黄色い歯を見せる歪んだ笑みが浮かんだ。
彼が重いオーク材のドアを開けた。
中の熱気が俺たちを抱きしめた。会話のざわめき、グラスが触れ合う音、そして葬送行進曲のジャズバージョンを演奏するバンドの音が耳を満たす。
「入れ」
ゴリラが驚くほど丁寧な口調で唸った。
「本日のスープはドラゴンの骨のブイヨンだ。もし何か壊したら、同等の身体部位で支払ってもらう」
中に入った。
宿屋のロビーは、素晴らしきカオスだった。
吸血鬼たちが人狼たちとポーカーをしている(チップの代わりに歯を使っている)。サキュバスが鉱夫ゴブリンのグループに火のついた酒を運んでいる。隅ではビホルダーが浮遊し、五冊の本を同時に読んでいた。
誰も敵意を持って俺たちを見なかった。ここでは、怪物であること、のけ者であること、逃亡者であることは罪ではない。参加条件なのだ。
俺たちはカウンターへ歩いた。バーテンダーは一本角のミノタウロスで、ソヴレニティの旗に見える布でグラスを拭いていた。
「四人部屋を頼む」
俺は(オペラ座で略奪した)金貨を一枚カウンターに置き、言った。
「それと熱い風呂だ。すごく熱いやつを」
ミノタウロスが金貨を受け取った。
「三階だ。302号室のドアは開けるなよ、『オペラ座の怪人』が二日酔いで寝てる」
鍵を受け取った。
ルナ、ヴァレリア、グリッスルを見る。彼女たちは疲れ果て、汚れていたが、生きていた。
数週間ぶりに、俺たちは安全を手に入れた。
あるいは、俺の背中を焼くような視線を感じるまでは、そう思っていた。
振り返る。
暗い隅のテーブルで、フードを被った人影が俺たちを観察していた。怪物には見えない。人間のようだ。
そしてそのテーブルの上で、ヘリックス・ファーマの通信機が淡く光っていた。
寄生体がシューッと音を立てた。
【 警告:スパイを検知 】
俺は溜息をつき、鍵をポケットにしまった。
どうやら、怪物の国でさえ休暇は取れないらしい。
「ヴァレリア」
俺は振り返らずに囁いた。
「荷解きはするな。朝飯の前に、誰かを殺さなきゃならないみたいだ」




