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前半 スパイト行動は日本人の良いところでも悪いところでもある

筆者:

 本日はこのエッセイを選んでいただき誠に光栄です。


 今日は世界の中で日本人が最も取っている思考法である「スパイト行動」について触れていこうと思います。



質問者:

 あまり聞き慣れない用語ですね……。



◇スパイト行動とは「自分が損をしてでも相手にダメージを与えたい」



筆者:

 心理学や経済学を学んでいない方にはあまり聞き慣れない用語かもしれませんね。


 「スパイト行動」というのを非常に簡単に申し上げるのでしたら「自分が損をしてでも相手にダメージを与えたい」という思考のことを指します。



質問者:

 そんな偏屈な考えの人いるんでしょうか……? 



筆者:

 確かに単にそういう表現を聞くと抵抗感があるでしょう。


 しかし、日本は新型コロナウイルス渦においては他国と比べて長い期間「マスク社会」であったりしました。そうした傾向は、「同調圧力が強い」「出る杭は打たれる」と言われたりします。


 こういった思考法は自分自身はしていなくても多少なりとも意思決定において「スパイト行動的な影響」を受けてきたのではないか? と思います。


 例えば、「皆頑張っているのに、お前だけが有給休暇をとるのはおかしい!」という雰囲気を感じ取って有給休暇を取らなかったりすることです。



質問者:

 確かにありますね……。



筆者:

 こういった「スパイト行動」を起こすのは日本人が突出しているという事が研究結果で明らかになっています。


 1997年にティモシー・ケイソン氏、西條辰義氏、大和毅彦氏、横谷好氏らにより論文として発表された実験では、同様のゲームを日本の筑波大学と都立大学、アメリカの南カリフォルニア大学(USC)とパーデュー大学で実施し

 参加者がほかの不参加者の利益を下げるためスパイト行動を選んだ割合はアメリカの2大学では10%台なのに対し、筑波大学、都立大学では60%台でした。


 同様の実験はカナダ人や中国人など他国と比較しても日本人は顕著にスパイト行動を選ぶ人の割合が多いことが分かりました。


 

質問者:

 なるほど……日本人に何となくそういう傾向があることが分かったんですが、

 それが日本社会にとってどういったマイナス面があるんでしょうか?



筆者:

 僕は国民をカテゴリ別に自然に分け、それぞれに対して「羨ましい」と言う妬みの感情が「スパイト行動」に結びつき、社会全体を下げているのではないか? と思っているんですね。


 もっとも最たるものは高齢者に対する社会保障政策を下げろ! と言った論調です。

 確かにシステム的に今の高齢者と今の現役世帯との間に年金などの格差が生まれることは間違いないわけですが、それは年金システムが破綻しているからであり、瀕死の状態のシステムを無理やり「持続可能」なものにしようとしているから狂った状況になって言っているのです。


 その他にも優遇されていると言われている子持ち様、公務員、独身など様々なカテゴリについて攻撃をして、いいところを破壊しようとしていっているのです。


 僕はこれらの話を聞くたびに非常に悲しい気分になってしまうんですね。


 国に対して「自分たちを上げてくれ!」と言うのではなく「優遇されている奴らがズル過ぎる! 下げろ!」というのは国民全体を貧しくしていってしまうと思うんです。


 ここは「みんなで上がっていく」そういう発想が大事になってくると思います。



質問者:

 確かにこれでは30年ずっとゼロ成長でも仕方ない感じはありますよね……。



筆者:

 また新しいモノに対する抵抗感みたいなものも「スパイト行動」に現れ、テクノロジーの発展を阻害してきた過去もあります。


 今はアメリカや台湾などが圧倒的なシェアを持つ半導体、

 中国やアメリカが主要シェアを持つドローンなどは日本が先駆してシェアの大部分を持っていた時代もあるのです。


 しかし、日本人は抵抗感が強くあまり活用されてこなかった。

 それは、「出る杭は打たれる」みたいな感じになっていたのです。

 今もAIについては予算はつけられていますがまだまだ海外に比べれば少ないのも、「スパイト行動」のようなマインドが蔓延しているからだと僕は考えます。



質問者:

 ちょっと思わずため息が出たくなるような日本人の傾向ですね……。



筆者:

 ただ、これはデメリットばかりではありません。

 あらゆる事柄について言えることですが、プラスの側面とマイナスの側面は表裏一体です。


 こうした秩序だった行動を重んじる傾向があるからこそ、「世界一治安が良い国日本」というお金では買うことが出来ない評価を得ることが出来ているのです。


 また日本人が海外に移住した時でもその文化に馴染んだ秩序だった行動を取ることが出来ます。こうした“世界的礼儀正しさ”と言ったものもの「スパイト行動」のプラス側面だと思っています。


 ただ、今の日本は30年ゼロ成長が象徴するようにどう見ても上手い具合に回っていません。

 「スパイト行動」のプラスの面と言うよりマイナスの面が顕著に出ているという事です。



質問者:

 そうなるとどういう思考法でこの「スパイト行動」のマイナス側面から脱却することが出来るのでしょうか?



◇「他人本位」の視点を持つことが大事になる



筆者:

 やはり相手の「羨む部分」にばかり目が行くからこそ引き摺り下ろしたくなってしまうのです。


 タダ乗りする奴を許してはならない、なぜなら許せば社会の損失となるからだ――


 そうした深層心理を棄てきることが大事だと思います。


 ここからは僕独自の処方箋なのですが、

 そこから脱却していくためにはそのカテゴリの属性が「大変だと言える部分」や「社会に貢献している部分」にスポットライトを当てていくべきだと考えます。


 例えば、年金受給額の上で現役世代より優遇されることが確実で目の敵にされがちな高齢者の方々についてです。

 高齢者の方々はこれまで数十年社会に貢献されて、ようやくリタイヤされたわけです。

 そう言った労いの意味を込めての「年金」と言った形の「お見舞金」なわけです。


 しかも、若い方々からは極端な話「年寄りで使えないのに働かずしてお金をもらっている」などと目の敵にされ今の金額でも正直なところ生活苦に迫られているわけです。

 年末などにはわざと少額の万引きをして逮捕されて刑務所で温かいご飯を食べる――そういった高齢者の方が毎年のように出てくる始末ですからね。


 特に人は誰しも高齢者になることは早期に重病になるか大事故でも遭わない限り、は自ずとなってしまうわけです。


 高齢者を叩くことや負担増の許容は将来に対する自分への負担増を許容していることを意味するとこの件に関しては何度も申し上げている次第です。



質問者:

 あとは公務員の給料を下げろ! みたいな話もありますけどそれについてはどうなんですか?



筆者:

 公務員の方も大変苦労されていると思います。

 特に平時の際には“税金泥棒”などと罵倒されている始末です。

 最近では政治家の税金を徴収しないことから国税職員への風当たりが強いと思いますね。


 ただ現状において公務員の給料を下げると日本人のなり手が無くなってしまい、

 現在は非正規のみの採用である外国人の枠組みが増え、外国人が幹部に昇進可能、

 外国人が日本人の上に立ち、外国の利益のために活動する――そういった状況にも繋がってしまいます。


 こうした他者の立場に立ち、多角的な視点で思考していくことが大事だと思います。


 

質問者:

 基本的には少ない民族で運営されてきた日本が縁もゆかりもない外国人に支配されるのは問題ですね……。



筆者:

 それぞれのカテゴリに属する人の中にはそのカテゴリの属性を前面に押し出し、

 傍若無人に振舞っている方いると思うんです。

 

 ただそれは極少数だと思います。

 それをカテゴリに属している人物たちの“全て”だとしてしまうのはあまりにも暴論だと僕は考えます。


 基本的には、皆さん懸命に生きておられ、日々の生活を悩み、悶え苦しんでいると思うんですよ。


 それぞれ良いところと悪いところや苦しい要素があります。

 それをお互いに理解し合って支え合うような形が大事になってくると思います。


 後半ではこの日本人の特性とも言っていい「スパイト行動」を政府が“利用”しているという事を指摘していこうと思います。

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