用語辞典①
一章で出てきた用語のまとめ&設定。
裏話的な記述も稀にあるので、ネタバレに注意。
五十音別
〈あ行〉
・慈愛の七つの円環
七つに重なった円環(=盾のような形状)が領域を形作り堅牢な防護壁となって攻撃を防ぐ。
またマナを含み煌めく風が防護壁内の負傷した人々の傷を癒やす。
治癒と防壁を兼ねた領域魔術。
・アディシェス帝国
エターク王国の南に位置する国家。
反女神教とも言える〝エクリプス教〟を興し、国教としている。
ルーカスが救国の英雄と呼ばれるきっかけとなった〝ディチェス平原の争乱〟で敵対した国。
帝国とは昔から幾度となく戦争を繰り返している。
・アルカディア
理想郷の意味を持つ。惑星の名。
・アルカディア教団/神聖国
世界の中心に聳え立つ世界樹の、その守り人によって築かれた宗教国家。
創造の女神を主神に、世界樹の守護と世界の秩序を守るを事を教義・使命とし、世界中に数多くの信者を抱えている。
一説によると開祖は女神の子孫であったとも言われている。
・うーちゃん
シャノンが大切にしているうさぎのぬいぐるみ。
左耳に赤とオレンジ色のリボン、ピンクのレース生地のワンピースを着せられくるっとした黒い目をしている。
・エクリプス教
アディシェス帝国の国教。
空想で作り上げた魔神を主神に据え、「力こそ全て。強さに勝る正義はない」という教義の下、殺戮、略奪、暴力による支配を肯定している。
非人道的で過激な宗教。
・エターク王国/城郭都市オレオール
惑星北東部に位置する王国。グランルージュ王家が治める。
首都(王都)は城郭都市オレオール。
中心部の王城を起点に、放射状に作られた都市。
外壁には十の監視塔があり、外周は水を引き込んだ堀で守られている。
また首都を囲う堀は上空から見ると十多角形の星状になっているのが特徴。
入口の門は北西・北東・南東・南西の計四ヶ所。
堀を渡るため掛けられた橋はいずれも跳開橋となっており有事には橋を上げ下ろしする事で通行を制限する事が可能。
都市の構造は円状に区画が分かれていて、中心から王族の住まう城、行政区、教育機関・研究機関特区、貴族などの富裕層の居住区、一般市民の居住区・商店街となっている
〈か行〉
・救国の英雄
ルーカスに与えられた称号。
王国の民は彼の戦果を称賛してそう呼び、その活躍は吟遊詩人の歌にもなっている。
・グランベル公爵家
エターク王国、王家に連なる血筋。
現当主は国王の弟。王家から貴族へくだる男性王族が継ぐ事が多々ある。
公爵家の実子との婚姻で王家の者が継ぐ場合、血が濃くなるのを避けるため二代以上続けて王家の者が入る事は厳禁とされている。
・グランルージュ王家/王家の赤目
エターク王国を治める家門。赤目と破壊の力が特徴。
王家の赤目。紅眼とも呼ばれ、王家の血筋に見られる。
直系であれば女性にも表れるが、血が薄まり二代以上になるとみられなくなってくる。
・詠唱士
声にマナを乗せ歌とする事で様々な術を行使する魔術師。
素質と感覚が求められ、扱いが難しいため魔術師の中でも稀有な存在。
〈さ行〉
・世界樹
世界の中心、アルカディア神聖国にある大樹。神秘的力の源であるマナを生み出す。
・創造の女神
創世の時代、アルカディアを創ったといわれる神。
アルカディア教団の主神。
世界の中心に世界樹を植え、また様々な恩寵たる神秘を人々に与えて遺した。
世界を愛し、慈悲深い存在であった。
伝承によると「銀髪青目の見目麗しい女性」の姿をしていたらしい。
・旋律の戦姫
イリアの二つ名。
時に魔獣という脅威を打ち滅ぼし、時に戦争の調停のため、歌声響かせて凛々しく戦う姿から、畏敬を込めてそう呼ばれている。
〈た行〉
・第一限定解除
腕輪型の魔術器で抑制されているルーカスの破壊の力、その力の一端の開放。
解除には五~六桁のΛコードが必要。
・特務部隊
エターク王国騎士団特務部隊。
軍組織の一つ。現団長はルーカス。
団員は戦闘(武術・魔術・治癒術)、知略、技術力のいずれかに特化した精鋭部隊、総員五百名。
主な任務は潜入・偵察・諜報・破壊工作・人質救出・対テロ作戦・魔獣討伐。
現状は非戦時下のため魔獣討伐任務を主に、潜入・偵察・諜報活動の任に当たっている。
・治癒術師
ヒーラー。回復魔術に特化した者。
治癒魔術は適性のある者にしか使えないため貴重な人材。
・ディチェス平原
エターク王国領と旧ゼナーチェ王国領にまたがって広がる平原。
六年前の戦争で大きく地形を変えてしまった。
・ディチェス平原の争乱
聖歴十九年、勃発。
ディチェス平原を舞台にエターク王国とアディシェス帝国の間に起こった戦争。
ルーカスの婚約者であったカレン王女が命を落とし、ルーカスが〝救国の英雄〟と呼ばれるきっかけとなった戦争。
戦争のあらましとルーカスの活躍は公に以下のように謳われている。
「〝アディシェス帝国軍はディチェス平原へと攻め入った。カレン王女は果敢に戦線へ立つが、奮闘も虚しく敵軍に討たれ、戦場で命を散らす〟
〝その場に居合わせたカレン王女の婚約者の青年は悲劇に胸を打たれ、生まれ持った〝破壊の力〟を覚醒させる〟
〝そうして王女の無念を晴らすため命を賭して戦った勇敢なる青年は、敵将を討ち取り、ついにはアディシェス帝国軍を壊滅させた〟
〝悲しみを乗り越え、戦争を終結へと導いた〝救国の英雄〟。其の名はルーカス・フォン・グランベル〟」
・瞬間移動
上級魔術。時空属性。
詠唱に魔術師が数十人、下手したら百に届く単位で必要。
一度に転移させられるのは一人〜二人が限度。
冒頭で高純度の魔輝石を用いて行使された。
〈な行〉
〈は行〉
・破壊の力
ルーカスが宿す力。あらゆる物を破壊する。
腕輪型の魔術器で力の抑制をされている。元はグランルージュ王家に伝わる力。
しかしその力は微々たるもので〝物を壊しやすくなる〟〝殺傷力が上がる〟〝魔術の破壊力が高まる〟と言う程度。
ルーカスのように魔術器で抑えねばならない程強大な力を覚醒させる者は稀。
・日々の恵みに感謝を
握った拳を胸に当て、目を閉じて行う食事の際の挨拶。
幅広い地域で浸透している。
起源は恵みをもたらす世界樹と創生の女神に捧げる祈りと言われている。
・聖地巡礼
世界各地に点在する女神を祀った祭壇を巡り祈りを捧げる旅である。
巡る祭壇の数は十。
五年に一度、教皇自らが執り行う一大イベント。
〈ま行〉
・魔獣
凶悪化した動物と見られており、昨今急増している。凶暴で人を襲う。
往々にして原型の動物と生態系が似ている。
禍々しい黒いオーラを放ち、赤い目をしている事が多いため、容易に見分けられる。
・魔術師/魔術
マナを用いて様々な現象を具現化する魔術を扱う者。
魔術の発動にはマナと詠唱または術式が必要とされ、心象と演算が最も要視な要素である。
熟練の術者であれば簡単な魔術の心象と演算を詠唱や術式に頼らず行う事ができるため、詠唱破棄して発動する事も可能となる。
・マナ
世界樹から生み出される神秘的力の源。
魔術・マナ機関の原動力。
・マナ機関
主に機構と魔術器の二つに分類。
機構…マナを動力に動く機構で組み立てられた物。機械。
魔術器…マナを動力に魔術的効果を発揮する物。魔術道具。
・魔輝石
マナが結晶化した鉱物。
マナ機関の動力とされることがあり、魔術の行使にも使われる事がある。
・マナ欠乏症
体内を巡るマナが著しく低下することにより体調不良に陥る病。
魔術の使い過ぎによる一過性のものが多い。
自然治癒する事が多いが、酷い場合には治療が必要。
近年、原因不明のマナ欠乏症が増えており問題となっている。
〈や行〉
〈ら行〉
・領域魔術
指定した空間・範囲・領域に展開する大規模魔術。
マナの消費量の大きさ、演算の複雑さから発動には魔術師複数~数十人による協力が必要と言われている。
・リンクベル
マナで動くマナ機関で魔術器の一種。
魔輝石に遠話をするための術式を施したもので遠く離れた場所とタイムラグなく連絡を取れる。
軍用と一般用があり幅広く流通している。
軍用の物は小型の装飾具に加工される事が多く耳飾りや首飾り、腕輪型で主である。
固有識別の術式が刻まれており、索敵魔術で探知する事も可能。
尤もこれは悪用される可能性があるため、幾重にも隠蔽が施され、厳重なセキュリティを敷いた上で運用されている。
一班に普及しているのは成人男性の手のひらより少し小さめの置物型。
コール番号を入力すると通信相手に繋げる事ができる。
・風纏加速
中級魔術。風属性。
風を纏い、身体速度を大幅に向上させる強化魔術。
最高時速三十~四十キロメートルでの移動が可能になる。
〈わ行〉
・瞬間移動門
設置型のマナ機関、国家レベルで運用されている物で、使用にあたっては出発点と転移先の双方での許可が必要で申請書類の提出が必須。
使用には高額な使用料金を払わなければならない。
一度に転移出来るのは人であればせいぜい十人前後、無機物であれば一トン程。
またマナを大量に必要とするため、一月の使用回数に制限が掛けられている。




