私が、
「あと一年が、私の一生だ」
そう言い切って私はギターと共に夜明け前の街に飛び出した。
そんな、できるわけ無い夢に殺された。
私は、世間一般から見ればありがたいほどに幸せであろう。毎日毎日、死の危険に遭遇することもなく、生きてこられた。
なのにだ。
何の理由も無いのに。
どうしようもないのに。
ただただ、
緩く重くのしかかる悲しみに、
死んでしまいたくなる。
この胸の苦しみに身を任せ、世界を壊せたら。
私の歌が、私の声が、私の言葉が、
何かを間違えたこの世界を、はっと気付かせることができたなら。
はっと、気付かせることができたなら。
明け方の滲む星が見えた気がした。
夜明けだ。
変わらぬ世界に負けぬように。
今は少しだけ寝よう。
まだ、朝じゃないから。
もう、夜じゃないから。