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アーシィは二人組と別れてベッドに入った後も何となく目が冴えて眠れなかった。すると、どこかの家で電話が鳴っているのが聞こえた。同時にアンジェのケージからあまり聞き慣れない音が聞こえてきた。いつもはリビングに置いてあるが、寝るときはいつもアーシィの部屋に連れてくるのだ。アーシィは起き出して、ケージへと歩みよった。
「アンジェもそわそわするの? ぼくもなんだ……もう一度、あの幻獣に会ってみたくて」
夜行性のアンジェは夜に活発に動くことが多い。ケージの中段が運動場になっていて、その真ん中に置いてある滑車で一晩中遊ぶこともしばしばだった。そんなアンジェが今夜は中段に出てこず、ずっと巣箱の中でカタカタと小刻みに震えているような音を立てていた。
アーシィはそんな細かい違いは気にせず、自分の興味のことで頭がいっぱいだった。
「どんな格好をしてるんだろう? 一緒に遊んでくれるかな。翼が生えていたらいいのに。一体何を食べるんだろ……」
その時だった。
窓の外からほんのりと白い薄明かりが灯り室内を照らした。
(ーーお、おばけ!?)
アンジェの立てる物音がいっそう大きくなった。アーシィは布団を持ってきてケージごと頭から被って白い明かりが消えるのを待った。電話の音もなかなか鳴り止まなかったが、いつしか明かりと音と両方が消える頃にはアーシィも眠りについていた。




