プロローグ
この話、異世界が舞台だが現実世界の日本と変わっているところは、そう多くない。
変わっていることのひとつに魔法の才能があるが、それを持って生まれてくる者は多すぎて、特殊技能ではない。足が速いとか、視力が良いとかそんなことと同じレベルで捉えられている。
もうひとつは、幻獣を扱うペットショップが一般的なこと。二股の尾をもつ猫や、砂金を食べる小鳥などが、かなりの高額ではあるものの街角の店舗で売られている。
もう少し時代が進めば魔法とは別に科学技術も発展して、カラーテレビや自家用車、果てはスマホなども世に出回るが、今はまだ冷蔵庫がようやく普及してきたところだ。家事のお助け道具として魔法じかけの洗濯板が好調な売れ行きをみせている。百回使うと寿命がくると言われており、普段は手で洗って急ぎの場合や体調が思わしくない時などだけそれを使うというスタイルがほとんどの家庭で定着している。
ただ、この話の主人公である少年は一人っ子の小学生で、まだ家事手伝いを頼まれる歳ではないので、あまり関係なかった。
彼は幻獣を飼うのに憧れており、ペットショップに足しげく通っている。