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日本から漢字が消えた  作者: 夏目 碧央
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中国との戦争

 20XX年、台湾が中国の脅威を感じ、日本の一部になりたいと言い出した。台湾国民は、アメリカは助けてくれないだろう、助けてくれるのは日本だと言う。台湾有事に、日本の自衛隊が助けに来てくれると信じている国民が4割を超える事が、世論調査で分かった。

 しかし、日本の自衛隊は「日本」を守る事しか出来ない。それとなく、日本側がそう台湾へ伝えると、それならばいっそ、日本の一部になってしまおうという世論が、台湾全体に浸透したのである。

 台湾で国民投票が行われ、圧倒的多数によって日本の一部になる事が支持された。しかし、日本国民からしたらどうか。日本になりたいと言われて、それほど悪い気分にはならない。しかし、何かが大きく変わる事を、漠然とした不安のせいで反対する人は多い。

 この頃、台湾出身の俳優が日本で人気を博しており、その俳優の発信もあって、日本国民の2割程度は台湾が日本の一部になる事に賛成した。だが、多くの人は反対だった。そこへ、台湾総統がこんな提案を持ちかけた。

「沖縄にある米軍基地を、全て台湾が引き受ける。」

これには、沖縄県民のみならず、日本政府が飛びついた。また、野党第一党が昔政権を担った時、公約に掲げたのが米軍基地の「最低でも沖縄県外」への移設だった。その約束が果たせないまま政権を担っていたという過去がある。そういった弱みもある事から、与党に強く反対出来なかった。そうして、台湾は日本の一つの県になったのである。

 台湾は中国の一部だ、という中国の主張からして、当然この決定は看過できないものであった。よって、中国軍が台湾へ攻めてきた。もう台湾は日本の一部であるため、当然自衛隊が出動する。まさに戦争になるかという状況の中、中国の国家主席が病気のために亡くなる。

 戦争は停戦となった。だが、これは日本と中国の戦争なのである。武力衝突こそしなかったものの、SNS上は戦火に見舞われたと言っても過言ではないくらい、炎上した。そんな中、

「敵国の文字を使うべきではない。」

という話が持ち上がった。つまり、漢字を使用するべきではないというのである。既に漢字は日本語には欠かせないものである。しかし、ずっとくすぶっていた事柄と結びついた。くすぶっていたのは、

「漢字の習得は難し過ぎる。外国人が日本語を学ぶ妨げになっている。」

という意見である。今や日本に住む人の3割以上が外国人だ。大人になってから日本にやってきて、日本語を習得するのは大変だ。しかし、日本人は日本語以外あまり話せず、日本で生活するには日本語の習得が不可欠と言ってもいい。彼ら日本に住む外国人の為にも、公文書などに漢字を使用しないようにしてはどうか、という議論がずっとくすぶっていたのだ。

 そこへ来て、今回の中国との戦争である。「漢字の廃止」がトレンド入りするほど、議論になった。


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