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第七話 紫紺のオデュセイオン

新キャラ、そして、第弍幕序章です。

ベルセリウス・レオンハルト提督のベルセルク、《聖賢のロキ》は右手の銛を大きく頭上に振り翳した。振り下ろされた銛の先が辿った軌道上に、透明な衝撃波が発生する。衝撃波は蒼穹のダレイオスの、斧を持った右手を切断する。

武器を握ったまま、空を舞う右手。

同時に左手のビーム銃のトリガーを引き、薄赤色のレーザーがラムセスの頭を吹き飛ばす。

「白人風情が偉そうに!!!!」

中に居るカダフィー大佐の罵声と共に、ダレイオスは残された左手で腰の右側から短剣を引き抜く。短剣は直後、赤い粒子光を帯びる。そして、ロキに突貫する。

ラムセスはその場に残り、ヴァルキューリを捕獲する為に、左手の短銃から緑粒子のネットを撃ち出す。

捕獲されたヴァルキューリはラムセスによってイスラム諸国連合のホバーシップに運び込まれようとしている。

一方、ロキはダレイオスの短剣を素手で受け止め、豆腐でも握りつぶすように、ダレイオスの短剣を握った左手を握り潰した。ダレイオスの左手は辛うじて本体に付いているが、ヘナヘナになって力無くぶら下がっている。ダレイオスは撤退する。戦闘手段を失ったためだ。

そしてロキは、ヴァルキューリを運び込んでいるラムセスの両腕を、さっきと同じ衝撃波で切断する。ネットに絡まったままのヴァルキューリは、住民の避難した砂漠の中の煉瓦製の家屋に墜落する。ラムセスも撤退し、ホバーシップに戻る。

ロキの操縦者はヴァルキューリに向けて無線を掛ける。

「やはりミュータント同士が出逢うと頭痛を起こすか。カダフィーもイスラム諸国連合軍のミュータント、何故頭痛が起きなかったのか…。おい、起きろ日系人。もし今お前が闘っているなら、それは夢か妄想だ」

「ん………んぐぅ……」

カンナは起きた。口から泡を吹いている。

「作戦はバステトの奇襲によって失敗した。欧州連合軍も全て撤退したぞ、お前と私以外はな」

数分後、北の暗い空に、二つの機影が、粒子を軌道上に残して飛び去って行くのが見えた。


□□□


「へぇ、あれが東京湾かぁ…とても発展途上国とは思えねぇや…」

軍船の中、一室のソファーから窓の外を眺める金髪碧眼の少年。白いポロシャツにクロのズボン。日本の高校に来た留学生だろうか。いや、彼は学生ではないし、長身のせいで解り辛いが、年齢も中学生のそれである。ギルバート・ヴァレリウス特殊兵(14,♂)。カンナと同じイギリス空軍の軍人だ。

「この向こうが中国だな、オデュセイオン…」

そう言って、ギルバートは部屋の逆側の窓を見る。

其処には、広い筈のドックにぎっしり収まる機体。濃い紫の機体に緑色のライン、耳元まで割けた牙だらけの口、オレンジの目、全体的に生物っぽい。

《紫紺のオデュセイオン》。ギルバートの専用機。

彼は旅行でも留学でもなく、日本に対中国戦線を置くために派遣されたのである。


次回、ギルバートの性格に御期待ください。

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