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第五話 黄金のラムセス

最近世界史の知識が豊富に手に入ったので、その影響が強いと思います。

香港自治政府を、インドを占領したイギリスは、かつての世界帝国の地位を取り戻しつつあった。

同様にドイツやフランスなどの西欧諸国も、次々に貧弱な旧植民地諸国の軍隊を打ち負かし、その領土を凌辱していった…。

また東側でもその動きは見られ、中国はモンゴルや中東に遠征軍を差し向け、ついさっき失敗したが、日本にも攻め込んで来た。

西欧諸国は植民地に制限された自由を与えたが、反対側の中国は、属州となった地域に言語と宗教を強制し、従わない者に過酷な弾圧を加えていた。

一方、ベルセルクの導入が遅れたロシアとアメリカは、軍事力の弱体化を招き、その活動は国防に留まり、存在感は空気以下になっていた。


□□□


アフリカにも、未だに抗争を続けている国家があった。


「こちらカンナ・アンダーソン兵長、現在カルタゴ上空、作戦開始します」

紅い装甲、黄色い二つの目、四枚の緑の羽根、白光を帯びた刀。紅蓮のヴァルキューリは西欧諸国と連合して、最後の砦、イスラム諸国連合の制圧に乗り出していた。現在地はチュニジア共和国の都市、カルタゴの上空。西欧諸国の連合軍は九千機のベルセルクで形成され、最前線のカンナの前方にも、遠方から襲ってくる、西欧諸国の約五倍のベルセルクの群れが見えていた。

黒い粒子の二枚の翼、黄色い装甲に緑の一つだけの目。量産型ベルセルク、《黄土のバステト》。諸国連合空軍の九割を、このベルセルクが占めている。

そして、その最前線には、全身に金の塗装が施され、赤色の二つの目を持ち、紅い四枚の翼、右手の槍と左手のマシンガンで武装した、《黄金のラムセス》。筋肉質な体格で、長身である。そのパイロットは、エジプト軍事大学を首席で卒業した、アルフォンス・バーサーク少佐(27,♂)である。

ゲルマン系の彼はイスラム圏においてよく差別の対象になっていたが、彼はその才能によって、偏見の鎖を絶ち斬ったのだ。

両軍が高速で接近し、数分後、混じり合うベルセルクの群れの中で、二機の機体は交わった。

黄金のラムセスは右手の槍をヴァルキューリの胸に突き立てる。ヴァルキューリは、胸の前に緑粒子のシールドを張って、其れを食い止めた。

「お前は………誰だぁ……!!」

アルフォンスと思われる掠れた息だけのような声が、ヴァルキューリのコクピットに届く。

「私はイギリス空軍のカンナ・アンダーソン兵長だ!!」

ヴァルキューリのコクピットで、カンナは無線に応じる。

ラムセスの槍先はジリジリとヴァルキューリのシールドを侵食し、今にも貫通しようとしている。

瞬間、シールドが消えた。同時にヴァルキューリはラムセスの後ろに廻り込む。体勢を崩したラムセスを、ヴァルキューリは後ろから銃撃し、四枚の羽根のうち、ヴァルキューリから見て右の二枚を消失させた。砂漠に堕ちていくラムセス。地面に衝突する直前に、ラムセスは羽根を再生し、体勢を立て直したが、ヴァルキューリが奇襲を掛けるのに、もう距離は十分だった…!!

突貫するヴァルキューリ。だが、槍を構えるラムセスの機体を、ヴァルキューリの刀が斬り裂こうとしたその時、カンナの脳髄に激しい頭痛が走った。

「こんにちは、ミュータント君」

声はカンナの後ろからだった。彼女には視えなかったが、そこには、もう一機の機体、蒼の装甲にほっそりした長身、赤い目、尖った頭、巨大な斧で武装し、緑の四枚の羽根を持った、《蒼穹のダレイオス》の姿があった。


次回辺り、人間ドラマも入ってきます

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