第三話 大空のイザナギ&大海のイザナミ2
敵キャラ初登場です。本格的に闘うのは次回ですけど。
豪雨が降り注ぎ、海が荒れる日本海上空を、二機の単独型ベルセルクが、神舟に向けて飛んで行く。大空のイザナギ、大海のイザナミ。双子の少尉が乗った機体は、二機だけで脆すぎる日本の防衛軍を援護しに行くのである。両機は共に装甲が白く、目も共に紫色をしており、体格は細いが筋肉質である。イザナミは赤光を帯びた二本の大剣で、イザナギは全身にレーザー砲やマシンガン、ミサイルを装備して武装している。
二機が天空城塞(神舟)に突貫し、その距離が千メートルに差し掛かった頃に、神舟は表面からついさっき突き出したレーザー砲の内の一つで、彼らに砲撃してきた。
二機はそれを易易と交わし、そのまま500メートルまで間合いを詰める。直後、砲台とは別の穴が大量に開き、巣を破壊された蜜蜂のように大量のベルセルク、黄兵が飛び出す。それらはグンタイアリのように二機にたかって来るが、イザナギは調度殺虫スプレーを撒き散らすようにマシンガンを乱射、イザナミは大剣で襲いかかる敵を次々に討ち倒しながら、また城塞へと向かっていく。
そして、まずイザナギが砲台の一つを破壊し、イザナミがそうして出来た穴から船内に侵入した。
奥には護衛のベルセルクがマシンガンとレーザー刀を持って待っていたが、イザナギが銃撃して弱らせ、イザナミが斬り裂いて息の根を止める。そうして、圧倒的劣勢に立たされた自衛隊を救うために、神風は指令室へ急いだ。
天空城塞神舟の指令室では、遠征軍総司令のマオ将軍が選局の逆転に顔を歪めていた。
坊主頭で、胴に巻き付く形で黄金の龍の刺繍が施された深緑の軍服を来ており、制帽は着けていないが、右目に黒い眼帯を着けていた。今は指令室中央の、総司令専用の肘掛け椅子に腰掛けている。
「将軍、指令室付近まで兵が…いかがなさいますか?」
彼の右横に立つ、マオよりは背が高いがひょろひょろした、イグアナの鰓のようなスポーツ狩りの上に制帽を被り、何の装飾もない緑の軍服を着た部下が言う。「関羽を出せ」
「はっ単独型ベルセルク、関羽に出陣命令!!」
「いよいよ俺の出番か」
城塞内に幾つかあるドックの一つで、赤い軍服を着た兵士が呟いた。
李・ルイス(18、♂)。ベルセルク、《強襲の関羽》パイロット。
目の前には漆黒のボディに赤いライン、赤い一つ目の機体。右手に矛、左手にレーザー銃。
これは、更に激しい日中戦争の幕開けを意味していた。