表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/14

第十話 北京攻防戦2

地中城塞帝舟の登場によって、連合軍は一気に窮地に叩き落とされた。

帝舟の装甲にびっしりと敷き詰められた大砲がレーザーを吐き出し、連合軍のベルセルクを撃ち落としていく。

撃ち落とされた連合軍のベルセルクは、地上で待ち構えていた中国側のベルセルク《魏兵》によって止めを刺される。

パイロットを蜂の巣にされたベルセルクは只の骸。あとは魏兵によって帝舟の内部まで引きずり込まれていく。構造を解析し、新たな量産型ベルセルク生産に応用するためだ。


「レオンハルト提督、俺に作戦があります」

イザナギの中の沙良が言う。

「作戦とは何だ」

ロキの中のレオンハルトが応じる。「帝舟の装甲に取り付いて、砲撃が当たらないようにします。すると、装甲の砲台とは別の部分が開いて、おそらく黄兵が飛び出して来るでしょう。そこが入り口です。入り口を破壊して内部に侵入し、城塞の機関部を破壊さえすれば、戦いは終わりです」


「前と同じだ」

ギルバートが呟いた。

「だな」

イルマが言った。

「今回はこちらの数も多い。犠牲は大きいでしょうが、それより増しな策は無いでしょう」

カンナが言った。

「我々ペルシア人種は殉教を何より名誉な死に方とする。俺が命と引き換えに城塞の艦長を殺してやろう」

カダフィー大佐が意気込んで言った。

「殺されて死ぬか、殺したと同時に死ぬかでは、後者の方が増しと考えます」

バーサーク少佐がやや知的に言った。そして決断が下される。

「全軍は城塞の装甲に取り付き、内部に侵入して指導者を殺害する!!!!!」レオンハルト提督は自軍の全残党に信号を送る。

数秒後、黄河の濁流のように数万機のベルセルクが帝舟に飛び掛かり、取り付こうとした。


そのとき…。


地中城塞帝舟の全身が橙色の光を帯び、下から炙られたクラゲのように膨張し、刹那―――――黄色の熱光が北京の街を包み、ベルセルクのパイロット達の意識は飛んだ―――。

―――――それからどれだけ経ったか解らない。

視界の果てまで続く灰の砂漠の中で、カンナ・アンダーソンは目を覚ました。まだ、ベルセルクに乗っているらしい。つまり生きているのは言うまでもない。ベルセルクは故障しているようだが、日常的なものを除けば、其れほど大きな怪我はしていない様だ。

しかし、皆の行方が分からない………。

ここは何処だ。さっきまで北京に居た。焼き尽くされた北京に、自分が焼いた街の上に……………………

「…………っ!!」

そして彼女は気付く。そうだ、ここは北京だ。焼き尽くされた北京、私が焼いた北京……………!!!!さっきの爆発で、ほとんどが白い灰(元は建物か屍か…)になっていた。

生きている者は見えない。サソリもスカラべも覇王樹サボテンもいない、本当の死の砂漠………。在るのは肉眼では果ての検討も付かない、雲一つ無い青空、こんな時に見ても嬉しくない。カリカリと地を焼く太陽、そして、ベルセルク………。

「よう、ゲームしようぜ……っ!!」

太陽を背にして浮遊するのは、李・ルイスのベルセルク、《強襲の関羽》だった…………!!ただし、下半身が人型から八本足の蟹のように改造されており、其れだけでも前回と比べた印象は大きく違う。

関羽(厳密にはルイス)はそれだけ言うと、右手に構えた大型ビーム銃を突き出し、身動きの取れないヴァルキューリ(厳密にはカンナ)に飛び掛かってくる。何て卑怯なと想うだろうか。いや、戦争に卑怯は無い。戦争は勝った者が正義、力のある、者だけが全てを決めるのである。

関羽はその蟹の体のような下半身でヴァルキューリの腹部を押さえ付け、調度コクピットがある胸の辺りにビーム銃を押し付ける。そして引き金が引かれ、エネルギーのチャージが始まる。

「機体ごと冥府に送ってやらぁ…!!!!」

今、毒薬のような桃色のレーザーが、カンナを蒸発させようとした。


《続ク》


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ