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恋人は戦場の聖母 〜王子の全力溺愛物語〜  作者: 嘉多山 瑞菜
第6章 束の間の熱
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桃の果肉ごと指をしゃぶるようにさせられる。

真理は羞恥を我慢して、桃を口に入れそのままアレックスの 指も舐った。


彼の手が器用にナイフで桃を切り、皮をつるりと剥くと、はい、とまた真理の口元に差してくる。


どうして、こんなことになったのか・・・桃は彼の好きな果物だから買ったはずなのに・・・


恥ずかしさでなかなか口を開けない真理を見て、アレックスはうっとりしたように笑むと、ナイフを置いて、果汁をまとわせた指で真理の唇を撫でた。


コンビニブランチを食べて、2人でまったりと色々と話しをした。

子供の頃のことや、好きなこと、学生時代のことや夢中になったものや懐かしい思い出なんかを大笑いしながらお喋りする。


夕食は日本の回転寿司に行きたい!という王子の願いを受けて、近くのスーパーで買い物しながら、回るお寿司を楽しんで。


少年のようにはしゃぐアレックスは、グレート・ドルトンでのエスコート上手でお洒落な男性とはまた違った魅力で、真理の胸はときめきっぱなしだ。


夕涼みしながら2人で指を絡めて手を繋ぎ、暗くなり始めた浜辺を散歩しながら、家に帰る。

途中、露店で美味しそうな桃が出ていたので、アレックスに食べさせたいと買ったのだ。


付き合い始めの、普通の恋人同士のような穏やかな時間に真理は幸せを噛み締めていた。

エステルの事を話さなきゃと思いつつも、切り出せないでいたのは、アレックスの愛情を前に臆病になっていたからかもしれない。



彼が真理の唇に桃の果汁を塗りつけ、そしてそれを自分の舌先で舐める。

真理に桃の果実を齧らせると、残りを自分の口に放り込んだ。


咀嚼して「美味いな」と笑うと、また口付けられて舌を絡ませ合う。甘い桃の味が混じり合う淫らな刺激にくらくらする。


丸ごと一個分、それを繰り返されて真理は息も絶え絶えだ。

満足したようにナイフをテーブルに戻すと、アレックスの手は我が物顔で真理をソファーに寝かせて身体を弄り出した。


ノースリーブのサマーワンピースの裾を胸まで捲り上げてするりと腕を抜かれると

露わになったお腹にキスを繰り返された。


そのまま腰や太腿を撫でられて、アレックスの唇が這い回ると、真理の腰は自分でも気づかないうちに揺れてしまう。

どんどん身体の奥から疼くような熱が湧き出てきてたまらない。


「んっ・・・ぁぁっ!」


我慢しきれず。真理の唇から甘やかな喘ぎが漏れる。


散々唇で甘やかしていた肌から顔を起こすと、アレックスが真理の顔を覗き込んだ。


満足そうな顔で、蒸気した頬を撫でられる。


「顔が蕩けてて可愛い」


額に軽くキスを落とすと、ちょっと待ってて、と立ち上がった。

急に自分を覆い尽くしていた熱が離れて寂しい。


真理の気持ちに気付いたのか、ふっと笑うと、すぐだから、と言って寝室に行った。


戻って来た手には、今朝彼が買ってきたゴムがあって。


それを見た瞬間、真理の中に不思議な感情が溢れてきて、自分もアレックスに触りたい、もっと気持ちよく感じさせたいという欲求が募る。


ソファーに座ろうとしたアレックスに真理は羞恥を忘れて願っていた。



*****




真理の唇が額に、瞼に、鼻先に落ちてくる。

唇に落ちてきたところで、捉えようとするが、すぐに離れて顎にキスされた。


そのまま、首筋から胸元を彼女の唇が辿っていくのをアレックスは興奮したまま荒くなる呼吸を抑えながら見下ろしていた。





「わ、私につけさせて・・・」

避妊具を手に戻っきた自分に潤んだ瞳のままそう言ったのだ。


一瞬、何を言われてるのか惚けたバカな脳みそを捨ててやりたい!と自分を脳内で殴った。

目の前の愛し人は煽情的過ぎて、理性が飛ぶのには十分。

すぐに我に帰ると、アレックスは彼女の腕を乱暴に掴んで立ち上がらせて、寝室へと連れ込んだ。






ベッドに座ってTシャツを脱ぎ捨てる。

彼女が、自分の足の間で膝立ちをして、身体にゆっくりと手を這わせてくる。


胸板に口付けながら、手で身体についた傷跡を辿る。

その柔らかな感触にアレックスの喉がコクリと鳴った。


「・・・傷が・・・多いのね」

「かすり傷ばかりだ・・・」


声が欲望で掠れるが、真理の身体を辿る唇と指先は止まらない。

胸や肩に受けた盛り上がった傷を愛しむように真理に舌先で擽られと、下腹部にどんどん熱が集まってくる。


脇腹のあの…傷の盛り上がりにも真理は触れた。

なにかを言ってくれるかと期待したが、それはなく黙ったまま、そこも舌先で舐めただけだった。


がっかりする間も無く、彼女は積極的で、ハーフパンツと下着に手を掛けると、一気にずるりと脱がす。

それを手伝って、真理の前にそれを晒すと、自分の欲望は、彼女の愛撫で凶悪なほど滾っていて。


仕方がないだろう。恋い焦がれて、しかも普段は清廉で純粋な穢れを知らないような彼女がこんな風にしてくるなんて!


彼女は自分が抱くまで男を知らなかった。


真理は一瞬、驚きに眼を見開いて、頬からうなじまで真っ赤にする。


焦れて先を急がせるように、ベッドに付いていた片手を上げて彼女の頬を撫でれば、真理がチラッと困ったように見上げてくる。

視線が絡むと、アレックスの欲望は昂まりすぎてヤバいと思う。


触られたら情けないことになりそうだが、でも触って欲しい・・・。


真理は意を決したように、おずおずとその塊に触れた。

はぁと熱い溜息を吐いて、両手で指を絡めると慈しむように擦る。


あまりの気持ち良さに、アレックスは慌てた。


「まっ!!真理っ!!まずいっ!やっぱっ!・・・くっ!!」


真理はアレックスの言葉を無視して、そのまま手を上下に動かし続けて、片手で避妊具を取ると次の瞬間・・・


ありえない感触と快感にアレックスの腰が跳ねた。


「くっ!・・・うわぁっ!!!!!!・・・ダメだっ!!」


彼女の唇がアレックスの先端にチュッとキスをしたのだ。


壮絶な快感に身体を震わせ、下腹に力を込めてなんとかやりすごすと、アレックスはピッと真理の手から避妊具を取り上げて彼女の腕を掴んで立ち上がらせる。


戸惑う真理を、そのままベッドに押し倒して、今度は自分が彼女の足の間に膝立つ。


真理が不安そうな、なんだか泣きだしそうな顔をする。


「ごめなさい・・・気持ちよくなかった?」


なんとか頭だけは落ち着かせたアレックスは、速攻ゴムを付けると、真理に覆い被さり軽くキスをした。


唇をつけたまま甘く囁く。

「君って本当に・・・その逆。すごい気持ちよすぎて、これ以上されたらヤバイ」


その言葉にホッとしたのか、次の言葉は拗ねたような感情が出ていて。


「せっかく、私が付けてあげたかったのに・・・」


アレックスはククッと笑った。


「やって欲しいけど、絶対ダメ。やば過ぎ。俺を情けない男にしないでくれ」


言って、真理が自分にだけ許したその泉に、自身をゆっくりと沈み込ませていった。


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