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恋人は戦場の聖母 〜王子の全力溺愛物語〜  作者: 嘉多山 瑞菜
第6章 束の間の熱
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目を覚まして、自分の腕の中の温もりを確認するとアレックスの胸はじんわりと幸せに満たされた。


やっと真理を自分の腕の中に捉えることができたと思う。

みっともないこと、情けないことばかりだったが、それでも自分の想いも覚悟も通じたと感じていた。


昨夜の彼女は今まで以上に奔放に淫らに自分を受け入れてくれた。

あまりにも愛しさが溢れて我慢が出来ない。


抱き込んでいた腕を緩め、肌掛けをめくって彼女に付けた跡を指先でなぞる。


一瞬、真理はくすぐったそうな顔をするが、夢の中だ。

日が昇るまで彼女を愛して抱き潰してしまった。


仕方がないだろう、やっと彼女と気持ちを通わせて愛し合えたのだから。

こんな愉悦も快感も知らなかった・・・。

アレックスはそこまで考えて、またむくむくと勃ち上がりそうな欲望を宥めた。


真理の身体から腕を離して起き上がる。

このままゆっくり眠らせておこう。

今夜も抱くのだから、休ませないと・・・と不埒なことを真面目に考えながらアレックスはスエットを着て、リビングに出た。


昨日は余裕がなくあまり良く見てなかったが、狭いながらもここは居心地がよい。


壁際のサイドボードには、父親が撮ったのだろう家族写真がたくさん飾ってある。

幼い頃の真理の愛らしい写真や、良く似た美しい日本人の母親、数は少ないけどロナルドに良く似た父親のハロルドがそこにいた。


それらを慈しみながら一枚一枚丁寧に観る。

幼い頃の真理にも彼女の愛する家族にも会いたかったから、写真だけでも嬉しい。

もう少し落ち着いたらお互いの家族のことも話そう、と思う。


真理になら、誰にも話したことのないことも、話せそうな気がしていた。


眠っている真理にかわって、自分がブランチの支度をしようかと冷蔵庫を勝手にあけるが、食材が足りない。

買いたいものがあったから近くのコンビニに行こうと決める。


日本のコンビニは素晴らしい、ほぼなんでも買えていつでも開いてる。グレート・ドルトンでは考えられない発想だ。


持ってきたタブレットを起動し、この近くのコンビニを調べがてら、諸々チェックする。


アレックスはクロードとテッドと使っている特別なトークアプリを開いた。


そこにはクロードのありとあらゆる悪態と暴言が並んでいて、アレックスは思わず笑った。

凄まじい不敬な言葉が並んでいるが、迎えに来るための段取りは進めているようだ。残していった指示通りに動いていている。


そしてテッドからは一言「1週間」とある。


どうせ最終日は朝のうちに迎えが来るだろう。過ごせるのは、あと4日・・・真理と束の間の蜜月を愛しもう。

短いけど、気持ちが通じ合いはじめた今は大切な時間だから2人っきりで愛し合うのだ。


迎えにきた時の側近達は怖いが、さすが優秀な2人。後始末を引き受けてくれていることに感謝した。


アレックスは自分のGPSを入れると、上機嫌でコンビニへ行くために立ち上がった。





かなり珍しくて、色んなものを買ってしまった。

目当てものも、迷うことなく難なく買えて安心。


買ってきたものを、ガサガサ、キッチンで出してると寝室のドアが開いた。


肌が露わなタンクトップにルーズなハーフパンツ、大好きな黒髪は色っぽく寝乱れている。

そしてあどけない表情の彼女がいて、どきりとする。

露わな肌のそこかしこに自分の散らした跡が見えて、アレックスはゴクリと唾を飲み込んだ。無防備な真理は凶悪すぎる。


「起きた?おはよう」


腕の中に引き寄せて額にキスする。


「ごめんなさい、寝過ごした・・・」

「身体は辛くないか?無理させたから」


真理は恥ずかしそうに視線を逸らすと大丈夫、と答えた。


「腹空かない?コンビニ行ってきて、すごい感動してたとこ」


そう言うと、真理が面白そうな顔でアレックスを見上げた。


「コンビニ?王子様が買い物に行ったの?」

「ああ、日本のコンビニは凄い!なんでもあって驚いた」


アレックスの笑い顔に真理も微笑むと、一緒にキッチンで買ってきたものを覗き込んだ。


ブランチ向きに、野菜や卵のサンドイッチにドーナツみたいなもの。それ以外にサラダやマドレーヌにヨーグルト、ストレート果汁のジュースなどを買ってきた。


「王子様なのに堅実なお買い物ね」


ふふっと真理は笑って、ビニールから商品を取り出して置くと、最後に見たものにあっと小さく呟いて目元を赤くした。


避妊具のパッケージだ。


アレックスはそれをスマートに手に取った。

真理の耳元に唇を寄せて、甘さをわざと滲ませて囁く。


「昨日はごめん、夢中だったから・・・今日からはちゃんとする」


真理は恥ずかしそうに頷いた。

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