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恋人は戦場の聖母 〜王子の全力溺愛物語〜  作者: 嘉多山 瑞菜
第5章 それぞれの想い
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うわぁーーーーと、今まで数々の尻拭いをさせられた側近は、ニヤニヤしながら、悪い顔をして笑った。


「まあ、必ず起こるとは思ってたっすけど、あまりにも鉄板過ぎて笑えるっす」


しかも、二連ちゃん!と大喜びだ。


クロードのあけすけな物言いは、慣れてはいるが、さすがのアレックスも堪えていた。


「しかもエステル様が現れるなんて最悪っすよ、王道過ぎて、Viva修羅場っすね」


ドラマ以上のテンプレっすよ、とクロードは楽しそうだ。


「それで、ミス・ジョーンズは気分を害されてご自宅へ戻ったんすか?」


あの後の真理の様子は、相変わらず困ったような微笑を見せたが、怒っているようには見えなかった。


「分からん、そんな怒ってるようには見えなかった。俺はあの場の状況に気を遣ってくれたように感じた」


エスターを追い返そうとしたが、腕にしがみつき離れないのを見て、真理が空気を読んで、自分が失礼すると言ってしまったのだ。


止める間も、エスターのことを説明する間もなく、彼女は立ち上がると「殿下、今日はありがとうございました。失礼致します」と去ってしまった。


騒ぎを聞きつけたヘンドリックが、帰ろうとする真理を引き止めてタクシーに乗せてくれたので安心したが、当然ながら私邸ではなく自分の自宅に帰ってしまっていた。


スマートフォンで連絡しても、既読にならずレスも無し、電話も出ない。

アレックスは打ちのめされ気味だ。


「エステル様もソーディング侯爵家も殿下を狙ってますからね、王室と侯爵家の繋がりが貴族を守るために必要だと勘違いしてるっすから。あそこんちだけは21世紀じゃないっすからね」


言われてガックリする。


「ただの幼馴染がどうして婚約者になるんだ、俺はエスターなんか友達にすら思えないくらい、嫌いだ」


アレックスは小さい時から、マセてて高慢でワガママだったエステルが苦手だった。

何かにつけ、下僕のように扱われた幼い時の苦い記憶が蘇る。


クロードはますます楽しそうに言い返す。


「そうやって相手するのが面倒って言って、ちゃんと言わずに放っておいたツケっすよ。なんといっても甘やかされてワガママ放題に育った今時の貴族のご令嬢っすっから。自分の都合よく思い込んだり勘違いするっすよ」


腐ってもエステル様は貴族様っすから・・・クロードのその言葉に苦いものが込み上げる。


「貴族だから何しても許される時代じゃない、恋愛だってそうだろ」


そうアレックスが弱々しく呟くとクロードはひゃひゃひゃと面白そうに笑った。


「そりゃ、過去の殿下に聞かせたいセリフっすね。いずれにしろ、遊び呆けたのは事実っすけど、別格でエステル様ほどの難敵はいないので良かったじゃないっすか。最初にラスボス登場で」


アレックスは真理の「はい、殿下」と頷いてくれた時のことを思い出す。


「今の俺は真理だけだから・・・それは信じて欲しい」その言葉を信じてくれたのだ。


「真理は今を見て、信じる女性なんだ。過去の俺の事は気にしないでくれている。だから俺は真理に対して誠実に生きてみせる。エスターとの事はちゃんとカタをつけるさ」


グッと力を込めて言い切ると、アレックスは気分を切り替えるように、滞っていた執務を始めた。


クロードはガラにない王子の言葉に目を細めるとやれやれと何度ついたかわからないため息を吐いた。


だが、こんな王子は嫌いじゃない。

悪行の後始末をするよりか何倍も楽しいじゃないか。

アレックス殿下の恋を応援するのは。


そう考えて、クロードは王子の過去のお相手に気をつけることにしようと色々指示を出し始めていた。


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