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恋人は戦場の聖母 〜王子の全力溺愛物語〜  作者: 嘉多山 瑞菜
第5章 それぞれの想い
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10日ぶりに会えた想い人の唇をアレックスは貪った。


テッドに案内されて入ってきた真理を見た瞬間に我慢がきかず、テッドの前から攫うと、リビングを素通りして寝室へ連れてきた。


慌てる真理を押さえ込んで、ベッドに押し倒すと乱暴とも取れる荒々しさで、アレックスは思うままに彼女の唇を蹂躙したのだ。


「・・・ぁっ、、、んっ、、、アレク・・・」


真理がうっとりとキスに応えて、ひとしきり口付けを交わす。

お互いの息が切れてきたところで、やっと彼女の唇を解放すると、どちらのともつかない唾液が糸を引いた。


潤んだ真理の瞳にもう一度キスを柔らかく落とし、濡れた唇を親指で拭うと、真理はふるっと肩を震わせる。


アレックスは上半身を起こし、両腕を真理の顔の横に囲うようにつくと彼女の顔を覗き込んだ。


「叔父さんはなんて?」


撮られた写真について真理の叔父がどんな反応をしたのか、気になっていたが、真理はメッセンジャーでは「大丈夫。ちゃんと説明したから」だけで、何も教えてくれなかったのだ。


アレックスの視線に怯えたように、彼女は顔を背けたが、王子はこれ幸いとばかりに無防備に晒された耳朶を食み、舌を耳の穴に入れてねっとりと舐めあげる。


「んんっ・・・それ、ダメ・・・」


鼓膜に直接響く水音は真理の性感を刺激するのだろう。

逃げるように真理は身体を捩ろうとしたが、アレックスの大きな身体の下では身動き出来なかった。


「真理、教えてくれ。何か言われたか」


真理の顎を掴み自分に向けさせると、視線を合わす。


真理は諦めたような目をした。


「王子様との恋愛は反対、もう会うなって言われたわ」


想定内だ、姪を大事にする叔父なら当然の言葉だろう。


「他には?」


真理は逡巡しながらも言葉を継いだ。


「私の存在が知れ渡れば、戦地で報道カメラマンとしての活動はできない・・・危険度が上がる、と・・・」


「・・・そうか、後は何を言われた?」

「私の価値観に見合う男性と、幸せな恋愛をしろって・・・」


そこが一番の叔父の本音だろう。


「そっか・・・」


アレックスは、真理の目を見つめながら、着ているブラウスのボタンを外し始める。

全部外して、前をはだけると、開いたデコルテに唇を這わせ、鎖骨を甘噛みした。


「あんっ!」


黙ったまま、ブラウスの下のキャミソールの中に手を這わせると、彼女の脇腹をさすりながら呟いた。


「価値観、、、か」


ついこの間まで処女の相手にガッつき過ぎだとは思うが、真理に会えない期間は彼女が不足過ぎて苦し過ぎて、肌に触れたくてたまらない。


しかも写真のこともあって、彼女が自分から離れてしまうのではと不安が大きくなる。


「真理は俺と価値観が違うと思うか?」


真理は愛撫にとろんとしていたが、問われたことに少し考えるような目をした。


それは一瞬で、アレックスが不安になる間も無く、ふっと柔らかく微笑むと、頭を左右に振った。


「違わないと思う。違ってたら、多分こんなことしてない」


彼女の言葉に胸が踊った。

見つめながら、キャミソールをたくし上げ、現れた可愛らしいそれを手のひらで転がすと、はぁっと気持ちの良さそうな蕩けた顔をする。


真理は甘えたような嬌声をあげた。


「あっ、あっ、あんっ!」


チュッと吸い上げるのが、気持ち良いのか、ダメダメと男の顔を抑えようとする真理に、アレックスは興奮を抑えながら顔を上げる。


「真理、俺も真理と価値観が違うなんて思わない。見てる先は同じだと、いつも感じてる」


欲情を堪えるような顔をして、真理の唇にキスを落とす。


でも、と真理はアレックスの身体に腕を巻きつきながら喘ぐ中から想いを絞り出す。


「でも、でも、私は貴方の、、、この国の弱みになりたくない・・・だから・・・」


誰でもない、彼女が一番守りたい信念と、それに続く言葉が予想できて、アレックスは、わかってる、と呟くと、それを言わせまいと、彼女の口を封じた。


ゆったりと舌を絡めて吸い上げる。

唇に甘く歯を立てて、敏感な胸の頂を指で摘んで捻ると、真理が喉の奥で声にならない嬌声をあげる。


「愛してる、真理。だから俺は君の報道カメラマンとしての活動も絶対に守る・・・絶対に」


アレックスは彼女の大事なものを自分のために捨てさせることは、絶対にしないと決めていた。

そういう自分で無ければ、彼女の恋人になる資格はないと考えていたからだ。


真理が驚いたような顔をしたのを見て、アレックスはこの話は終わりだとばかりに、胸への愛部を激しくする。





アレックスに抱き起こされ、腕からブラウスが引き抜かれる。

そして、胸元までたくし上げられていた下着をすぽっと脱がされると、その厚い胸板に抱き込まれた。


愛撫で敏感に立ち上がった胸の頂きが、彼の胸板に擦れて、じゅんと甘い痺れが背筋を走る。


いつも抱きしめられる瞬間はドキドキする。

彼の身体の中に取り込まれてしまうんじゃないかと思うのだ。


大きな身体に、隙間なく抱きしめられると、とても気持ちいい。


彼の体温は高くて、その熱が心地よいのだ。


アレックスの言葉は真理の不安を取り除いてくれるかのように真摯さに満ちている。


——-俺は君の報道カメラマンとしての活動も絶対に守る・・・絶対に——-


思ってもいなかったその言葉は心を揺さぶるのには充分だ。


戦場に行くことを止めろと言わない。

彼と一緒にいるなら、戦地で写真を撮ることは出来ないと思っているのに。


そんなこと出来るのだろうか・・・。


だが、アレックスはそんな真理の不安を払拭するように、抱きしめた肌にキスを落としていく。


「・・・んっ・・・」


真理が微かに喘ぐと、王子は切なそうに名前と愛の睦言を囁いてくれる。


「真理、好きだ、好きなんだ」


ゆっくりとした愛撫に、自分の中を押し広げて行く彼の脈打つそれに感じてしまって・・・その全てに真理は満たされたものを感じて、うっとりとアレックスの肩に口付けていた。


ほどなく彼が動き出して、真理はしなやかな脚を、彼の腰に回す。


劣情にかられた二人の夜がはじまった。


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