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恋人は戦場の聖母 〜王子の全力溺愛物語〜  作者: 嘉多山 瑞菜
第3章 恋に落ちて
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車が到着した場所は市内から1時間ほど走った郊外の瀟洒な雰囲気の邸宅だった。


迎えに出てくれた王子に連れられて入った部屋は、アトリエのようで、前面の窓ガラスからは明るい日差しが入り込み、よく手入れされた庭が見渡せる。


部屋の中は、そこかしこに風景写真のパネルが壁に無造作に立てかけてあって、大好きなスピルナ・ホワイトの写真だと、真理はすぐにわかった。


ここはスピルナ・ホワイトの邸宅なのか・・・そう思うと写真への期待に胸が膨らむ。


ずっと腰に添えられているアレックスの手を気にしないようにしていたが、真理は写真に気づくと途端にそれらに夢中になった。


そんな真理の様子にアレックスが笑みをこぼしていることを彼女は知らない。


「アレックス!よく来たわね!!」


写真に見とれていると、溌剌とした声の女性が部屋に入ってきた。


60代と思われる穏やかな眼差しのマダムだ。


第二王子のことをアレックスと呼ぶあたり、かなり親しいことがうかがえる。


この時ばかりは真理の手を話し、彼女のかなりオーバーなハグとチークキスを受けるとアレックスがにこやかに挨拶を返す。


「やぁ、スピー、今日は時間を作ってくれて感謝する」


そんな王子を母親のような顔つきで見返すと


「まあ、そんな丁寧な大人の挨拶ができるなんて!!感謝できるあなたにびっくりだわ!やんちゃ坊主がどうした変化なの?

そちらの可愛らしい方のおかげ?紹介してちょうだい」


茶目っ気たっぷりの質問にアレックスが同じようにお茶目な表情で答えたが・・・


「ああ、真理、こちらの賑やかなのが、君がファンだと言ってたマダム・スピルナ・ホワイトで、俺の母方の親戚だ。スピー、彼女はミス・アメリア・ジョーンズ」


そこで一息いれるとアレックスが熱のこもった目で真理を見下ろした。


その瞳にまた真理の中の警報が鳴り始める。

わけのわからない怖さに怖気づいて、王子から一歩、身を引こうと後ずさろうとしたが、それを許さないように、また腰を抱かれると、次に王子が爆弾発言をかましたのだ。


「俺の恋人にしたい女性だ」


「ええっーーーー???!!!」


スピルナがはしゃいだように手を拍手をするのと、真理が卒倒しそうになるのは同時だった。


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